17 / 82
第一部
17話
しおりを挟む音楽は講堂から漏れてくる音、光は不審者対策で明るくしてるのでしょう……ということで、ジャン様は納得されたようです。周囲を軽く見回った後でのことですが。
「すみません、手筈が甘かったようで要らぬ心労をかけてしまいました」
私の我が儘のせいで苦労し挙げ句にしょんぼりしてしまっているなんて、申し訳なさ過ぎます!
「こちらこそ、我が儘に付き合わせてしまってすみませ――」
「この間からモニカ嬢が何を謝っているのか、皆目見当がつかないのですがもし、今のこの状況を貴女の我が儘の帰結だと考えているのなら、貴女もこの状況を望んでいたのだと、理解してもいいですか?」
「え? ええ……」
「なら、いいです」
そう言うとジャン様は私の手を取り、交差部まで歩き出しました。
彼には見えていないのでしょうが……精霊達の……生暖かい視線が……。
人のいない静かな空間、天井のステンドグラスから暗闇に降り注ぐ光、どこからともなく聞こえてくる音楽……幻想的でかなり美しい光景です。
精霊達が『キャーキャー』と騒いでいるのを除けば。
ジャン様には、精霊の存在の一切が感じ取れていないようで、ただ純粋にこの光景を楽しんでいるようでした。
祭壇前で沢山の精霊達が踊っていて、こちらを誘うように見ていますが、なぜでしょう?
『モニカ、何で踊らないの?!』
マクマが不思議そうな顔をして突進してきました! 何事?!
『今までの子みんな踊ってたのに?? ここってそういう場所なんじゃないの??』
――マクマが何を言っているのか皆目見当がつきません。礼拝堂で踊る人がいるでしょうか? 奉納演舞? ……だからそれは聖女様の役目だと――。
『え? 何がダメなの? ここはそういう場所なのに! とにかく、モニカが踊れば、この辺の邪気を一気に払えるからさ!』
――だからそれは聖女様が行う<神気の舞>では? 私がしても意味がな――。
『あー! えぇっと、誰でも大丈夫なんです! 誰が踊っても払えるものなんです!』
――ミントまで!! ……何企んでるのかしら?
「どうしました? モニカ嬢?」
「え? あっいえ、何でもありません。俗世から離れて幻想的な空間にいられて、落ち着くな……と思っていただけです」
――私の我が儘でも大変な思いをさせているというのに、更に精霊の我が儘にまで付き合わせるわけには参りません!
『わがまま扱い!?』
マクマがショックを受けていますが、ジャン様にご迷惑をおかけするわけにはいかないのです!
『モニカ様! ここで踊るか、地道に集積場を回るかの二択なのです!』
――だから、どうして私に言うのよ! 聖女様は?!
「それに……この光景は、今回みたいな機会でもなければ見ることができなかったものです。貴女と同じ綺麗な物を見れて、俺は嬉しいですよ」
――――――――――――――――――――――――――――同じじゃ、ない。
同じ景色を……見ることが、できればよかった。
ずっと隣にいることはできなくとも、ずっと……同じ景色を見ることができれば私は…………私は――――。
『モニカ、大変だ!』
「――え?」
突如、マクマの切羽詰まった声に思考がかき消され――気付けば和気あいあいとしていた精霊達の様子が一変しています!
「モニカ嬢! 離れないで下さい!」
突如礼拝堂内が真っ暗になり、先程まで鳴り響いていた音楽まで消えている――それに驚いたジャン様が私を守るように背に庇い周囲を警戒し始めました。
――マクマ!
『モニカ、大変だよ! 誰かがあっちの方で穢れを暴走させたみたい!』
――講堂方面? 聖女様とコーベル嬢で何かあった?! ……あの聖女様、いつになったら神聖魔術を使えるようになるのかしら?!
「ジャン様、講堂の方で穢れが暴発してるらしいです!」
「どうして貴女がそれを――」
「それは……あの、後で説明します! あの、講堂って……どうやって行――」
「ボクがご案内しましょう。弟に事情を説明するより、ボクと共に講堂へ急いだ方が人々のためだと思いますが、いかがでしょう?」
礼拝堂の入り口から現れたウェルス卿は、はじめから全てを分かっていたかのように、そこにいました。
◇◆◇
マクマとミントの様子から、一刻の猶予もないであろうことは分かっていました。ジャン様になんと説明をしたらよいのか……そんなことを考えている余裕はありませんでした。
なぜでしょう?
私は一体何のために……穏やかなひとときをなげうってまで、この胡散臭い男と行きたくも無い場所へ全力疾走をしているのでしょう?
薄暗い講堂への道すがら、既視感を覚えました。
遠く聞こえる悲鳴と、現場から逃げてくる生徒達…………。今回は道端に生徒達が転がっていることはないようですが……。
「――わたしは聖女なのよ! わたしを守るのは当然でしょう?! アンタ達――」
……という、非常に残念な声が聞こえてきます……。
あと、講堂への道が外灯が付いているにも関わらず暗かった原因が分かりました。常軌を逸した穢れです。あんなに綺麗だった礼拝堂の直ぐ側にこんな穢れがあったとは……ああ、もしかして、それでマクマ達は踊れと騒いでいたのでしょうか?
……いや、だとしても私には本来関係ない事象なのでは??
「貴女は聖女なのでしょう?! この体たらく、恥ずかしいとは思わないの?!」
――コーベル嬢の怒鳴り声も聞こえてきます。思わず『はしたのうございます』の意を込めて、ウェルス卿をチラ見してしまいました。
……黒い笑みをいただきました。
薄暗い講堂内へ足を踏み入れると、穢れの発生源と思しき暗闇状の一画が目に入ってきました。
「モニカ・ホーグランド! 貴様っ! 今までどこに行っていた!」
暗闇から聞き覚えのある、品がなく軽い調子の罵声が聞こえてきますが……どなたでしょう?
「リューは尊い存在であるというのに、貧民にも等しい貴様如きを友人として側に置いていたのだぞ! それをよくも! 少しは身の程を弁えたらどうだ!!!」
暗闇から現れたその人は、グスタフ卿でした。お元気そうで何よりです。
ですが、阿呆の相手より何より、一番初めに対処しなければならない問題が、目の前に立ちはだかっています! 見覚えのある失敗獸はグスタフ卿の召喚獣で間違いありませんね? ……啓蒙するより召喚獣使用不能のツボを指した方が早いでしょうか?
この暴走獸、自分で勝手に配下を呼び出して講堂内を滅茶苦茶にしているようです。講堂内には逃げ遅れたと思しき生徒達がまだ残っています。
仮にも聖女なのですから三文芝居よりも彼等の救出を優先して欲しいところですが……。
暗闇の中からは未だ争い合う声が聞こえてきますね。姿は見えませんが、再び始まった三文芝居を要約すると――。
殿下及びジャン様と連絡が取れずに落ち込んでいた心優しい聖女様がいました。彼女を真に愛する者達は、傷心の彼女を守り慰めるために共に夜会へ赴くこととなりました。
ところが! そんな心優しいが故に傷を負った麗しい聖女様の目の前に、コーベル嬢が殿下を引き連れ勝ち誇ったように笑ったのです!!
高貴で選ばれし清らかな彼女を愛する者達が、悪役令嬢へ正義の鉄槌を下すべく、聖女の御名の下、聖なる獸を召喚したのです……!!!
――ということらしいです。
どっちもどっちの情けない顛末です。聖なる獸とは、穢れに穢れまくり放置すれば悪魔に変質しそうな、あの、暴走獸のことでしょうか。道徳中心のカリキュラムを、組み直したらいかがですか?
いつもの様子で聖女様がコーベル嬢に喧嘩を売ったのでしょうが、今回はコーベル嬢にも逆ハーメンバーがいた為、揉めに揉めてこんなことになったようですね。
……参りました。神聖魔術を使うには、人目に付きすぎますし……。
聖女様の偏狂集団に絡まれつつ、殿下の姿を探しているのですが……もしかしなくとも、あの暗がりにいらっしゃるのでしょうか? 殿下にはあの穢れが見えないのでしょうか?
「ウェルス卿! なぜ、貴女がこの女と……!」
暗闇から聞こえてくるこの声は、コーベル嬢の偏狂的ご友人である例の二人の内の一人のようです。
「ユーグ・ゴセックか。この見苦しい諍いは、一体どういうことかな?」
ユーグ・ゴセック様でしたか。ゴセック伯爵家の長男、御年十八。隣国へ留学に行っておりましたが、なぜか緊急帰国しコーベル嬢の例のご友人に加わりました。もう一人のフラン・アジェ辺境伯子息も同じような経緯でここにいらっしゃるようです。隣国とは友好関係にあるとはいえ、ここまで自由に行き来はできないはずなのですが――自衛のため、ここまでは調べましたが、これ以上は興味ありません。
「申し訳ございません! ですが、彼等の愚行故にアンが傷つけられるのは耐えられないのです!」
「この愚かな者達に、アンの気高さを理解させることなど不可能であることは、分かっているのですが、それでもっ……!」
……また三文芝居ですか? そんな悠長なことをしている場合でしょうか?!
「聞いているのか、モニカ・ホーグランド!!!」
誰の怒鳴り声なのか分かりかねますが――本来、私がする必要のない『一般生徒の救護活動』を行っているのです。これ以上邪魔をしないでいただきたいのですが?
まず、暴走獸対策用の結界を張り、次いで暴走獸が勝手に喚び出した魔物擬きを、害虫を駆除するように叩き潰しつつ、動ける生徒達を外へ誘導し、外にいたジャン様に仮設救護室の手配をお願いして等――――忙しいのです!!
「そいつらなど捨て置け! リューを守らんか愚か者!!」
いつの間にか近づいてきていたアベル卿が、私に殴りかかってきて――――怒ったマクマとミントから、ダブル制裁を喰らいました……。
『モニカ様! あの穢れを祓うのに、神聖魔術を使えないのであれば、パックをお呼び下さい!』
――ミントがウェルス卿の目の前で、私にそう提案を持ちかけてきます。……ウェルス卿の目が、見開かれております…………。
『急いでモニカ! このままだと、悪魔になっちゃう!』
マクマから爆弾発言が飛び出しました。一刻の猶予もないというのに……この場の全員、実に元気ですね……皆さん実は、私以上に屑なのでは?!
『モニカ早くーっ!!!』
マクマが少々苦しそうです。もしかしなくとも、状況が悪化しないよう彼なりに働いていたということでしょうか?!
……心の中で喚べば、目立たずに済むでしょうか。届きますかね?!
――パック!!!
「…………」
『…………』
――――――――――――――――――届かないようです!!!
――ああもう、こうなったら!
「――殿下!!! 今すぐ全員をここから連れ出して下さい。貴方の権限で!!!」
「分かった!」
やはりあの暗がりにいらしたようです。私と殿下のやり取りに、愚かな仲間達がまた三文芝居を始めようとしていましたが、殿下の一喝でようやく全員講堂の外へ避難しました。
ウェルス卿以外は。
非常時につき遠慮はなしで、出て行けと言ったのですが出て行きません。押し問答をしている内に、暴走獸の動きが止まりました。
これはいよいよ、本格的に悪魔へ変化し…………終えてしまいました。禍々しい出で立ちですね。流石悪魔。ウェルス卿も緊張しているようです。……私を盾にしたりしないでしょうね?
私の神聖魔術で対処できるでしょうか? 素直にパックを喚びますか?
ウェルス卿の目の前で? 彼、信用できないのですが――張った結界も限界のようなので、仕方がありません。
【世ノ光成リシ者ヨ、――混沌ヨリ出デシ汝ガ敵ヲ……撃チ滅ボセ!】
心配は無用でした。一撃必殺無事完了です!
「……へえ? 間近で神聖魔術を見たのは初めてだよ。しかも、これほどのものを」
背後で、いかにも悪いことを考えています、と言わんばかりの声を出すウェルス卿の記憶を消す呪文を調べておけばよかったと、心底後悔しております……。
さて、さっさと邪気を払って、この場からトンズラしましょう!
【世ノ光成リシ者ヨ、――混沌ヨリ出デシ汝ガ業ヲ……滅セヨ!】
さて、これで問題は全て片付きました。後は、救護活動に回っているジャン様のお手伝いを――。
「君は……何者だ?!」
誰もいないと思っていた穢れの巣窟から、見知らぬ白髪交じりの男性が現れました。あの場にいたのですか?! え、殿下の命令に従わないって……この人一体……?!
「……ご無沙汰しております、枢機卿――」
……聞かなかったことにします。
顔と名を覚えられる前に、逃げることにしました!
1
お気に入りに追加
2,752
あなたにおすすめの小説
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。

強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは

成人したのであなたから卒業させていただきます。
ぽんぽこ狸
恋愛
フィオナはデビュタント用に仕立てた可愛いドレスを婚約者であるメルヴィンに見せた。
すると彼は、とても怒った顔をしてフィオナのドレスを引き裂いた。
メルヴィンは自由に仕立てていいとは言ったが、それは流行にのっとった範囲でなのだから、こんなドレスは着させられないという事を言う。
しかしフィオナから見れば若い令嬢たちは皆愛らしい色合いのドレスに身を包んでいるし、彼の言葉に正当性を感じない。
それでも子供なのだから言う事を聞けと年上の彼に言われてしまうとこれ以上文句も言えない、そんな鬱屈とした気持ちを抱えていた。
そんな中、ある日、王宮でのお茶会で変わり者の王子に出会い、その素直な言葉に、フィオナの価値観はがらりと変わっていくのだった。
変わり者の王子と大人になりたい主人公のお話です。

【コミカライズ決定】婚約破棄され辺境伯との婚姻を命じられましたが、私の初恋の人はその義父です
灰銀猫
恋愛
両親と妹にはいない者として扱われながらも、王子の婚約者の肩書のお陰で何とか暮らしていたアレクシア。
顔だけの婚約者を実妹に奪われ、顔も性格も醜いと噂の辺境伯との結婚を命じられる。
辺境に追いやられ、婚約者からは白い結婚を打診されるも、婚約も結婚もこりごりと思っていたアレクシアには好都合で、しかも婚約者の義父は初恋の相手だった。
王都にいた時よりも好待遇で意外にも快適な日々を送る事に…でも、厄介事は向こうからやってきて…
婚約破棄物を書いてみたくなったので、書いてみました。
ありがちな内容ですが、よろしくお願いします。
設定は緩いしご都合主義です。難しく考えずにお読みいただけると嬉しいです。
他サイトでも掲載しています。
コミカライズ決定しました。申し訳ございませんが配信開始後は削除いたします。

聖女に負けた侯爵令嬢 (よくある婚約解消もののおはなし)
蒼あかり
恋愛
ティアナは女王主催の茶会で、婚約者である王子クリストファーから婚約解消を告げられる。そして、彼の隣には聖女であるローズの姿が。
聖女として国民に、そしてクリストファーから愛されるローズ。クリストファーとともに並ぶ聖女ローズは美しく眩しいほどだ。そんな二人を見せつけられ、いつしかティアナの中に諦めにも似た思いが込み上げる。
愛する人のために王子妃として支える覚悟を持ってきたのに、それが叶わぬのならその立場を辞したいと願うのに、それが叶う事はない。
いつしか公爵家のアシュトンをも巻き込み、泥沼の様相に……。
ラストは賛否両論あると思います。納得できない方もいらっしゃると思います。
それでも最後まで読んでいただけるとありがたいです。
心より感謝いたします。愛を込めて、ありがとうございました。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

私は聖女(ヒロイン)のおまけ
音無砂月
ファンタジー
ある日突然、異世界に召喚された二人の少女
100年前、異世界に召喚された聖女の手によって魔王を封印し、アルガシュカル国の危機は救われたが100年経った今、再び魔王の封印が解かれかけている。その為に呼ばれた二人の少女
しかし、聖女は一人。聖女と同じ色彩を持つヒナコ・ハヤカワを聖女候補として考えるアルガシュカルだが念のため、ミズキ・カナエも聖女として扱う。内気で何も自分で決められないヒナコを支えながらミズキは何とか元の世界に帰れないか方法を探す。
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる