クズは聖女に用などない!

***あかしえ

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第一部

 2話

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 我が家は代々続く由緒ある家だったのですが、父の代になり私の目にも分かる程に領地経営に失敗し、多方面より叱責を受け年々領地を召し上げられ続けている、落ち目の子爵家なのです。
 そんな状態だというのに、両親はプライドだけは山よりも高く、下の者には浅ましいほどに厳しく、上の者に対しては愚かなほどに卑屈になります。

 そんな両親に傷物扱いされいずれ、金のために老害に私は売られるでしょう。
 それでも、平民からみれば遊んで暮らせる良いご身分であることに代わりはないから、私は恵まれているはずです。

 私の座右の銘は『長い物には巻かれろ』『出る杭は打たれる』。
 下手な正義感など身を滅ぼすだけです。たとえ聖女様軍団が白痴を振りかざし、野を焼き地を穢そうと、私の知ったことではありません。





 ◇◆◇


『モニカ、ずいぶんとひねくれてるね~。? ……ね!』
 パーマでもかかっているかのようなふわふわとした白い尻尾を振りながら、目の前のひづめも持たない馬擬きがまたしても喧嘩を売ってきました。
 しかも仔犬のように部屋中の匂いを嗅いで回ったり、太く短い前足で器用に籠に入った果物を取ろうとしたりして、人の部屋で随分とリラックスしているようです。
 果物に夢中になっているの頭をつついてみたら、後ろへ転がりました。
『何するのーっ?!』
 これまた可愛らしく怒っています。

 なにコレ、ちょっと面白い。

 学園も休みで面倒な約束もなく、一日自室で優雅にダラダラ過ごせると思っていた私の目の前に、いきなりこの謎の生物は現れたのでした。

『ボクは、大精霊なの!』
 とてもそうは思えないのですが?
『返事ーっ!!』

 よりにもよって、なぜそれを名乗る? といのが正直な感想です。
 確かにこの世界には精霊というものが存在してはいます。
 人々は彼等の恵みを受けて命を育み育て、人としての幸福を手にする。それは知っています。

 けれど、精霊の姿を見ることができるのは、心身共に清らかに磨き上げられた選ばれし者のみのはず! 大精霊なんて特上の精霊を見ることができるのは、教皇様や聖女様といった雲上のお歴々くらいのものだというのは一般常識です。
 王太子殿下も見ることができると、風の噂で聞いたこともありますが真偽は不明です。

 ――大精霊を語る悪魔なんて、ありふれ過ぎていて欠伸が出る存在です。
 さて、愛らしい姿に別れを告げるのはそれなりに感傷的になりますが、きっと直ぐに、忘れるでしょう。
 私はこれでも、神聖魔術をそれなりに扱えるので、悪魔は――瞬殺です。

 本来、聖女様しか使えないはずの技らしいので、公言していませんけどね!

【世ノ光成リシ者ヨ、――混沌ヨリ出デシ汝ガ敵ヲ……撃チ滅ボセ!】

 呪文を唱えながら周囲に聖なる光が満ち、杖の先に収束していくのを感じます。呪文を唱え終わる頃には、膨大な力を内包する球体が杖の先に出で、それを目の前の不審物に叩きつけてやれば終わる――――――はずでした。
 なんということでしょう! 物体Xは神聖魔術を、まるで木漏れ日でも浴びるかのように心地よくその体内に吸収していくではありませんか。

『わぁ。気持ちいい。純度の高い神聖性だね! やっぱり凄いや!』
「何を言って……え?!」
 神聖魔術をくらって、あんな心地よさそうにしているなんて?!
『え? またくれるの? わーいわーい』
 二度目の魔術を発動しようとしていたのを察知されたのか、犬馬擬きは私の足下へ降りて、白い尻尾をちぎれんばかりに振りながら上目遣いで見上げてきます。

 靴に前足を乗せている。これはおねだりポーズ?!

「本当に大精霊なら、愛し子である聖女様の下へ行くべきでは?」
『セイジョ様? んー??』
 ――なんで聖女様が伝わらないのよ!! あの人、愛し子なんでしょう?!

『ボクはね、モニカの腐った性根を叩き直しに来たんだよ!』
 何なのでしょう、このあくまでも喧嘩を売ってこようとするスタイルは?

「なんで私個別なのよ。そもそも、精霊の類いは聖女様の管轄じゃないの?」
『えっと、それはね?』


 ◇◆◇


 長くて面倒なクソどうでもいい話を、半日かけて聞かされました。
 マクマ自身も、言わされてる感が半端ない話しっぷりでしたけれども!

 要約すると、聖女様はまだ未熟で、精霊の存在を感知することができないらしいです。聖女様ですけれども? 愛し子とやらですけれども?
 そのため、世界に<穢れ>が満ちているそうです。
 ああ、今日も空気は美味しいですけれども?

『本当なんだよ! 穢れが溜まって世界が危機に瀕しているのは本当なんだ!』
「だったら尚のこと、聖女様の下へ行かないとダメなんじゃないの?
 聖女様にはアンタが見えなくても高位神官や教皇様は見えるでしょ、流石に」

 そう言ってやれば、相手は言葉にならない苦悶の声を上げ始めました。動作が一々愛らしいですね。精霊って皆愛らしいものなのでしょうか?

、モニカがやるんだよ!』
「何がなの?!」
『え? あ~うん、えっと……そう! モニカがセイジョ様? を助ける。ボクはそのお手伝いをするために来たんだ!』
「話がどんどん変化してるんだけど?」
『してないよ? モニカは世界の穢れを払ってセイジョ様? を助けるの!
 その全方向にスレてる心を何とかしなくちゃ!』
「ちょっと待った! 世界の穢れを祓うのは聖女様の仕事よね?!」

 幼児がまた「あうあう」言い始めました。

『えぇとぉ、小さな事も一歩からだよ! モニカには危機感が足りない!!』
 なんなのでしょう? この、兎にも角にも私に文句を言わなければ気が済まないらしい感じは。
 言い終えるや否や大精霊(仮)が、頭を垂れながら角を光らせると――私が頭にしていたサークレットが熱を持ち始めました!
『そのサークレットに、ボクから特別な祝福を送ったよ! あのね、力がね――』
「祝福? そういうのは聖女様にあげた方がいいんじゃないの?
 世界はなるようになっているものよ。溢れた穢れとやらで世界が滅ぶのだとしたら、それが運命――――――――痛っ!」
 ――頭が痛い! サークレットが締め付けてくる!
 え、何これ外れない!?

『えっと……大丈夫?』
「大丈夫じゃない!!」
『だっ大丈夫だよ! モニカにはボクがついてるから! うん、安心して!』
「アンタが元凶なんだけど?!」

 大精霊(仮)は、その後、私が何を言っても頑として家から出て行こうとせず、結局、我が家に住み着いてしまいました――――。




 ◇◆◇


「コーベル公爵令嬢の学園での様子はどうなっている?」
 学園での不穏な空気が、大人の世界にどのように伝わっているのかは分かりませんが、突如、父が晩餐中の私に詰問をしてきました。
 誰もいない小ダイニングでゆっくり夕食を、と思っていたのに。
 誰も来ないと思っていたのでをするのを忘れていました。

「さっさと答えんか! 使えん娘だ」
 父がテーブルを強く叩きながら怒鳴るものですから、お皿が不安定な動きを見せてヒヤリとしてしまいました。こぼれはしなかったようです。
 メイドが料理を用意してくれないので、全て自分で作りました。私の姿を見つけると皆、職場放棄をするので人払いをする手間が無く助かります。

 父様、言外に漂う『お前如きを視界の端にも入れたくない!』という強い意志を、何とかしていただけないかしら? 使用人にも移るのですよ? そういう態度!

 実の母は私が物心つく前に鬼籍に入りました。今、この家には母の死後迎えられた若き後妻とその娘と弟が暮らしています。父の行動も露骨なもので、後妻とその家族用に屋敷を増設し既存の私達の生活エリアとは隔絶した生活を送ることを可能としました。台所や浴室、その他の設備まで分けて設置させました。こちらの区画とそちらの区画を明確に仕切るために防音効果のあるベーズの扉まで設置しました。しかも、あちら側からのみ鍵をかけることが可能な仕様なのです。

 そんな環境ですから当然、義母と義妹との関係は寒いものです。
 醜い傷物であり社交の道具になり得ない私は、落ち目のこの家には必要のない存在なのでしょう。貴族の娘がこんな状況だというのに、全く問題になっていないようですから。

 義妹は私の一つ下、義弟は私の五つ下です。義弟はともかく義妹は、同じ学園に通っているのでしょうか? 彼女の動向は把握できません。
 私と同じ血が流れているのは長兄のみですが、結婚して独立して以来この屋敷に訪れることは無くなりました。遠い空の下で生きていることでしょう。

 父は自称・コーベル派の人間です。幼少の頃、誕生日会に招待されたのもそれ故の関係でした。とても迷惑な話です。後日聞き及んだところによると、父が無理に頼み込んでのことだったと言うではありませんか。「分不相応なことを」と社交界の嘲笑の的になっているのが、なぜ、分からないのでしょうか。


「何のお話をされているのか全然わか――っ!」
 ――頭痛きたっ!
「何の真似だ? 父の質問に答えんかっ! この愚図がっ!!!」
 料理が入っている皿を投げつけてきました! 間一髪で避けましたが。

 ――頭痛を訴えている実の娘を、多少労るくらいの余裕もないのかしら?!

「もうしわけありません。……ええと、最近のコーベル嬢が置かれている状況は……まあ、芳しくはありませんね」
「お労しい……お前は当然、コーベル嬢をお守りしているのだろうな?!」

 するわけないでしょう――――とか考えていると第二波が! ……鎮痛薬で防げないかしら?

「おい! 返事をせぬか!」
「……ええ、はい分かりました! 明日から守らせていただきます!!」
「当然だ。姑息な真似で下らん慈悲を請う前に、己の資質を磨くことだ。お前はいつ見ても、陰気で愛想もなく見苦しいな!」

 ――仮病を使い、貴殿の気を惹こうとしているとでも?
 自惚れないでいただきたい。貴殿がこちらを金蔓としか見ていないのですから、こちらも相応の――……。




 ◇


 ――ああもう! 最悪!
 表立ってそんなことしたら、確実に聖女派に睨まれて面倒毎に巻き込まれてしまいます。あんな人のために!
『どうしたの?? なんでまた頭痛になってるの?! 何があったの??』
 ――アンタのせいなんだけど?!

 頭痛に満ちた晩餐を終えて自室に戻ると、満足げな空飛ぶ幼児マクマが余計なお節介を焼いてこようとしています。

 マクマの姿は、両親にも兄弟にも使用人にも見ることは出来ていないようです。
 大精霊というよりはまるで子供のようです。意味も無く風や光を起こしては、一人で喜んでいます。
 この部屋には私以外、立ち入ることなどないのでいいのですけど……。

『――で、何があったの?』
 ・
 ・
 ・
 マクマのその質問を、ギリギリまで適当に交わし続けていたのだけれど、度重なる追求に終に口を割らされてしまいました。

『モニカの目から見て、どう見えるの?』
 答えにくい。実に答えにくい質問をしてきます。

 あれは……聖女様の取り巻きたちのコーベル嬢に対する所業は、はっきりいって正常なものではありません。今はまだ、些末ないやがらせレベルで済んでいるようですが、いつ悪化しても不思議ではありません。
 ……見ていて、気分がいいものではありません。ですが、割って入って火の粉を被る気になるほど、彼女のことを信じているわけでも……好意を抱いているわけでもありません。

 ――そう。いっそのこと、このまま学園へ来なくなれば、私は――――――!


「痛っ!!!」
 サークレットが締め付けてくる! ……はぁ、もう……醜い。
 こんな醜い考えを抱く自分ほど、要らないものなんて、きっとない――。


「アンタもしかして、私にコーベル嬢を守らせたいの? 彼女は今や聖女様の敵よ?
 精霊は聖女様の眷属のようなものなのでしょう?」
『モニカの言ってること分からないよ。え……モニカ、その人のこと滅ぼしたいと思ったりは……してないよね?! こんな世界要らない! とか思ってないよね?
 ね? ね?』
「……どこの破壊神よ。アンタね、ホントに人をなんだと――」
『だ、だったら! 助けようよ! ね! ね!』
「却下。面倒」
『モニカぁ……』

 ――その困っている人、苦しんでいる人を作り出しているのが、件のコーベル嬢であり、アンタ達の愛し子である聖女様なんですけどね。


 明日のことを考えると憂鬱になります。
 面倒毎には関わり合いになりたくないというのに。

 心が清らかになったならば、幸福になれるとでも言うの?
 苦労は必ず報われると? そのために傷ついた心は癒やされると?

 はあ、明日なんか来なければ良いのに――――……。













 ◇◇◇ ◇◇◇


『愛し子への接触はすんだかい?』
『はい、あるじ様! でも……全然ボクの話聞いてくれないんだ。どうして自分が愛し子だって分からないの? 教えちゃダメなの?』

『今の彼女は、愛と光を憎んでいる。下手に告げれば、我々との縁が完全に切れてしまうだろう。けれど、諦めてはいけないよ? が穢れれば、全ての精霊はに堕ち、僕もまたへ堕ちるしかないのだから』
『う、うん! ボク頑張る!!
 モニカがを取り戻せるように……明日からビシバシ行くよ!!』

『期待しているよ――――――――――……』








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