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学園編

61.最後の中間イベント2

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 生誕祭に向けて、生徒たちはどことなく浮ついているようだけれど、その前に忘れてはならない学生の必須イベントがある。
 期末試験だ!
 まあ、私は勉強しなくてもすばらしい成績を収めることができるんだけど、自分の成績はどうでもいいんだ。マリー・トーマンの成績こそ、大事!

 ――というわけで、例によって例のごとく、旧図書館で私やらクリストフ殿下やらパトリックやら、最近加わったボディーガード軍やらに、勉強を教えてもらっている。
 毎回思うけど、マリー・トーマンは、やっぱり優秀。
 総合成績で学年トップは無理みたいだけど、五位にはついている。
 ちなみに私は百番台。現在の、一年次総生徒数は百四十五名だ!

「今回はトップ行けるかな?」
 マリー・トーマンの現在の学力を確認するため、私お手製のテストを解いてみてもったんだけど……全問正解。すばらしい成長っぷりだ!
「え?」
 マリー・トーマンがびびった顔でこちらを見ている。
 思わず口に出ていたらしい。でも、ここでじ気づくことなく、本格的に挑んで欲しいものだ。
「ええ、ナナミ嬢の言うとおりですね。このままいけば、次の学力考査では、最優秀成績優秀者も夢ではないでしょう」
 うん、うん。
 マリー・トーマンにれている欲目もあるんだろうけど、例のボディーガード君の発言はあながち荒唐無稽な話ではないと思う。
 というか、私の最終目標はそれだし。






 ――マリー・トーマンに疲れが見えてきたので、一旦、小休止を挟むことにした。

 マリー・トーマンと雑談をしていてもよかったんだけど、なんか殿下といい雰囲気になりそうだったので、気を利かせて遠くの本棚へと急いだ!

 いやぁ、人のためになることをするといいことがあるもんだ。
 随分と古めかしい大きな蔵書が並んでいる棚を見つけた!
 このアンティーク感漂う装丁、昔から好きなんだよね。
 おっと……『国宝について』、結構、資料あるんだ。
 う……古くて、ちょっとかび臭い。それに、文字が小さい上に古語? を使っているようで、読みにくい。
 ルーペはこの世界にもあるけど、今は手元にない。

「こちらにいらしたのですね、ナナミ様」
 ん? 誰かと思えば、例のボディーガード君だ。
 マリー・トーマンは……まあ殿下といい雰囲気だったから、気を利かせたのかもしれない。それにしても、私に何か用かな?
「今回はナナミ様も参加されるとお伺いしましたが」
「ええ、学園生活最後なので。それに、ちょっと面白そうですし」
「そう……ですか。では、貴女も『国宝』に興味が?」
 なんでここでその話を――ああ、この本か! 『国宝について』というタイトルの大きな蔵書を手に、中身をペラペラとめくっている私を見れば、誰もがそう思うか。

「え? ああ、はい」
「それで生誕祭に参加を?」

 ちょっと、私の予想と話が違う方向に流れてきた。
 確かに、『王家の秘宝』の話を仕入れたのは、生誕祭でのこと。え、この人も?

 いえ――あの頃のが、ちまたに流れているような種々雑多なうわさ話に、振り回されるはずがない!

「あの、生誕祭と『王家の秘宝』って何か関係があるんですか?」
「知らないのか? 今度の生誕祭で『王家の秘宝』のお披露目ひろめがされることになっているらしい」

「………………………………えっ??!」

 あの国宝って、問題不出な国家機密なんじゃなかった?!



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