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学園編
34.縁結び計画2
しおりを挟む新興成金を貧乏貴族に紹介するサイドビジネスをしていた関係で、私には清貧貴族の取り巻き――もとい、協力者がいる!
これについては、パトリックにも報告済みだし、彼等は素晴らしき人格者だ。
悪役令嬢ミーシャ・デュ・シテリンなどよりも遥かに――――。
この国の貧民に対する法律は不備だらけだ。
だから、自領の苦しむ貧しい民を救おうとすれば、多大なる損失を覚悟しなければならない。それを実践してきた家の子供たちだ。
平民だからといって、考えもなしに貶めるようなことはしないだろう。
グニラ・オレーンはちょっと異例の事態だった。
彼女とは学園に入学するまで知り合う機会がなかった上に、彼女の家は中流階級者の被害者だ。変にこじらせてしまったのだろう。
最悪の事態になる前に、引き返すことができてよかった。
協力者の皆様の中で、この学園に通っているのは数十名。
マリー・トーマンに対して悪意を抱いている生徒たちの数百分の一だ。彼女を中傷する噂をかき消すには少々……数が足りない。
何か、イベントが必要だ。
◇◆◇ ◇◆◇
「『学生主導の舞踏会』? ああ! お前が前やろうとして失敗したやつか!」
……はい、全くもってその通りでございます。
旧図書館での勉強会を数日続けた後、頃合いを見てパトリックに提案した――最近見つけた旧図書館裏の空間で。
前回の長期休暇中、わたくしは学園で舞踏会を開かせた。
『身の程を弁えない平民に、格の違いを見せつけるため』に。衆人環視の下、彼女を徹底的に貶めて学園から追い出してしまいたかった。
市井へ戻った後も、人前に出られないほどに、日の光の下を歩くのを恥じてしまうほどの恥辱をあじあわせてやりたかった。
結局、その目論見は失敗に終わった。
わたくしの野望を阻んだのは――クリストフ殿下だった。
「あの時、クリストフ殿下とマリー・トーマンは完璧なダンスを披露していたけれど……練習していたのですか?」
「ああ。町屋敷に引っ込んでるはずのお前がそんなこと言い出したんだ。誰だって警戒すンだろ」
――も、申し訳ない。
「えっと、どのようなスケジュールで練習していたのですか?」
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「は?」
パトリックが、面食らったような顔でこちらを見る。
はい。気持ちは分かります。
だが、考えても見て欲しい。王家が諸々の反論も織り込み済みで、特別待遇の平民を入学させたのだ。それを、虐げるとは即ち王族への叛意ではないのか?
パトリックにクリストフ殿下を説得して、舞踏会を開くよう働きかけてもらおう。
――マリー・トーマンのために。
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