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2.「胸をいじられているだけで、ぐちゃぐちゃだぞ」

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「ああ、お前、案外と可愛らしい顔をしているな。結構好きな顔だちだ……ほら、脱げ」

「ひっ……」

「どうした?」

「あっ、今、今……」

 脱ぎます、とはうまく声に出せず、カロルは俯いてドレスを脱ぎ始めた。が、がくがくと手が震えて、余計に焦る。胸の下に並んでいるボタンをひとつずつ開けようとするが、なかなか進まない。

「あっ、あ……!?」

 そうこうしているうちにベッドの上にあがった男は、カロルを後ろから抱きしめ、むき出しになっている乳房を揉んだ。なんてことだ。カロルはあまりのことに泣きそうになる。

「あのっ……」

「早く脱げ」

「そ、そんな……」

 初めての感触にかあっとカロルの全身は熱くなる。ボタンをはずそうと下を見れば、自分の乳房が男の手で揉まれている。そんな光景は見ていられない、とボタンに集中をした途端、乳首を摘ままれて「んあっ!」と声をあげた。

「はぁっ、あっ、あっ、あ……」
 
 男は、彼女の両乳首を嬲るようにゆっくりと指先でこね回す。じんじんと痺れるような感覚がカロルの体を包み、ボタンを外そうとする手が止まる。

「大きな胸に、大きな乳輪に、大きな乳首。全部、俺好みだな」

「ふあっ……! ほ、本当、でしょうか……」

 それらはこれまでコンプレックスだった。子爵邸は彼女が生まれた時には既に貧乏だったため、ドレスは亡き母のものをお下がりで着ていた。しかし、いつの日か胸がきつくなり、入らなくなってしまった。

 胸の部分以外は出来あいのものでも……と頼んでも、そんな風には作っていないと言われたし、そもそも出来あいのものは、貴族のドレスとは言えないものしかない。仕方なくオーダーメイドで毎回作ることになり、資金難も含めて、ついにはパーティーなどにはいかなくなってしまった。

 なのに、まだ育つ。畑作業をしていれば少しは小さくなるかと思えば、質素な食事をしていれば少しは小さくなるかと思えば、乳房以外が痩せるだけ。悩みの種だったのだが、良いと思われたのか、とカロルは少しだけほっとする。

「あっ、あん……」

「本当だ。大きな胸はだらしがない者が多いが、お前の胸は張りがあって更に好みだ……何より、乳首がいいな。ああ。いい」

「ひっ……! ふあぁっ……」

 トントン、と乳首を刺激される。そんな風に他人に触られたことなぞ、今まで一度もない。びくりとカロルは反応をして、鼻にかかった声をあげる。

「おい、早く服を脱げ」

 そう言いながら、男は指先でカロルの乳首を扱く。あまりに直接的な愛撫だったが、それが大層「効いた」ようで、我慢出来ずにカロルはびくびくと腰を動かす。

(あ、あ、あ、わたし、何、何……胸の先が熱くて、熱くて……そこが熱いのに、どうして、腰が動くのでしょうか……?)

「はあっ……あっ、あっ、ああっ、あ……」

 ドレスのボタンを外そうとしていた両腕が脱力して力なく落ちる。なのに、腰は動いてしまう。男は「はは」と笑って

「しょうがないな」

と、片方の乳首を扱きながら、もう片方の手でボタンをあっさりと外した。手慣れている。それから、ずるりとドレスを足から抜いた。雑にベッドの下にドレスを落として、再び両手でカロルの乳房と乳首を弄る。

「なんだ、お前、足を閉じることすら忘れたのか」

 耳元で囁かれ、ハッ、と慌てるカロル。うっかり、快楽の波に流されて体を完全に男に預けていた。そして、足を心持ち開いていたことに気付いて、どうにかきゅっと閉じる。

「うう……」

「随分気持ちが良さそうだな? 確かにまあ、俺はされるよりもする方が好きだからいいが……」

 ぼんやりとカロルは「そりゃそうよね……何もわからない『初物』相手ですものね……いいえ、でも、初物に色々教えたりしないのかしら……?」と考える。だが、乳首を擦られれば、腰が浮き、嬌声があがってしまい、それどころではない。

「いいだろう? ああ、よく感じる胸だ」

「んんっ、ん……!」

 カリカリとひっかかれれば、背が反る。抓られればびくりと体が強張る。指先でぐりぐりと擦られれば体を捩らす。何をしてもカロルが反応をしてすすり泣くのが楽しいのか、男の手は休まない。

 それからどれぐらい経過したのか、カロルの思考は乱れてわからない。耳元で囁かれ、耳たぶを噛まれ、首筋を舐められながら、胸への愛撫だけを執拗にされる。ただ、途中から熱くて硬いものが自分の腰の後ろにあたっていることは、薄々気付いていた。

「お前、わかってるか? 胸をいじられているだけで、ぐちゃぐちゃだぞ。まだ他の場所を弄っていないのに。堪え性がないな?」

「え、え、え……」

「ほら。見てみろ」

「!」

 すっと男の腕が伸びて、カロルの太ももをぐいと外側に開く。既に彼女の入口から愛液が漏れており、太ももの内側はぐちゃぐちゃだ。男は手を開いてそれをカロルの滑らかな太ももに塗り広げる。

「はは、どれだけ、内側が柔らかくなってるか……なあ?」

「あ、あ……」

「くそ、我慢出来ないな……とりあえず、一回お前の中に入れさせろ」

「!」

 ついに、先程からずっと背中にあたっていた、あの熱いものが中に入るのか。カロルは怯えて、目の端に涙を浮かべた。

「……ん?」

 カロルの体を倒してベッドに仰向けにした男は、その涙に気づく。

「なんだ?」

「うう、父の、借金っ……これで……これで、無くしていただけますでしょうか……!」

「は? 借金?」

「わたしっ、わたし、の、純潔とっ、引き換えに……」

「……なんだ……初心だとは思っていたが、まさか本当に初めてだったのか」

 男はそう言うと、カロルの顔を覗き込む。

「お前の名前は」

「カロル……カロル・ロンダーヌです……」

「ロンダーヌ……? もしや……子爵か?」

「は、はい」

「なるほど……そうか。お前が、カロルか……」

 しばらく何かを考えこむ。カロルは「わたしの純潔と本当に引き換えになるのか、考えているのだろうか」と怯えて彼を見上げた。

「お前、避妊は」

「し、し、して、おりま、す……い、一週間、今日の日のために、薬を飲んでまいりました……」

「そうか。まあ、何にせよここに来たのはお前だしな。今更、処女だからといって止めるつもりはないが……」

 そう言って、男はカロルの片足を肩に担ぎあげた。恥ずかしい場所が丸見えになって、カロルは半泣きになる。

「う、うう……」

「ああ、綺麗だな」

「え……」

「お前のここ」

「ひゃっ……! 嫌っ……そんな、ところ……!」

 男は、カロルの入口を親指の腹で上下に擦る。嫌だ。怖い。カロルは震えながら、首を横に振る。

「入れる前に」

 そう言って、男は自分の一物をカロルの股間にぴたりとあて、彼女の入口と擦り合わせる。

「あっ、あ、あ、あ、あっ……!?」

 硬い。熱い。それに、大きい。怖くてそのものをじっと見ることは出来ないが、それが自分の入口を擦る感触に、じわりじわりと快楽が混じる。ぐちゅぐちゅと厭らしい音が響いていたが、カロルはふわふわとした感触に身を委ね、その音が何の音なのかもわからなくなっていく。

「凄いな。これだけ濡れていれば……おい、入れるぞ。力を抜け。深く息を吸って、深く吐いて。深く息を吸って……」

 言われるがまま、呼吸を整える。入口にぴったりと当てられたものが、息を吐くと同時にぎちりと侵入をしてくる。怖い。少し痛い。怖い。少し痛い。だが。

「お……っと」

「んあああああああ!?」

 ずるりと男のものが、一気に深く突き立てられる。カロルは、ぞりぞりと内側を擦り上げられ、一瞬で何かがバチンと弾けたように感じ、腰や背を反らせてびくびくと痙攣をする。

「悪い。思ったより……中が柔らかく……あ? どうした……なんだ、お前……」

「あっ、あっ……ああ……あ……」

 おかしい。体が言うことを聞かない。だが、なんだか気持ちが良くて下腹部から熱がじわじわと広がるようだし、手や足の指先は痺れている。

「嘘だろ? 半分しか入ってないのに、しかも、処女でちょっと擦られただけで……はは」

「あ……?」

 何が起きているのかわからず、カロルは呆然と男の顔を見た。男は楽しそうに笑ってから「いや、すまん。初めてでわからないか」と言って、カロルに手を伸ばし、彼女の頭を撫でる。

「とりあえず、そのままでいろ。中は締め付けるなよ……」

 ぐい、と更に男は彼女に覆いかぶさるような体勢で腰を進め、軽く達したばかりの内側を扱く。

「んっ、んんんんんん!」

「ああ、いいぞ……そのまま……」

 カロルは混乱をして腕を伸ばし、男の首にしがみついた。ぎゅうっと掴まれていささか男は苦しそうに「こら」と言って、カロルの腕をトントンと叩く。だが、その力は緩まない。

「はは。可愛いな……じゃあ、掴まっていろ」

 そう言うと男はカロルに口付け、彼女を奥まで貫いた。
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