褐色の歌姫は竜頭の戦士に恋をする

今泉 香耶

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10.竜人族のアレ

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「アルロ様……シャツ」

「ん?」

「脱いでください。わたしも触れたいのに……」

「脱ぐと、あなたを傷つけやすくなってしまうだろう」

「せめて前だけでも……体、くっつけて欲しいです」

 彼女に覆いかぶさるように上から覗き込んでいたアルロは小さく笑った。

「可愛らしいことを。触りたいなら、脱がせなさい」

 その言葉に嬉しそうに笑うと、イーヴィーは彼のシャツに手を伸ばす。怪我の手当てをしていた時も、彼のシャツを脱がせるのは彼女の役目ではなかった。初めて自分の手でシャツのボタンを外して、愛しい男性の体に触れる。惚れ惚れとする体。今からこの人と結ばれるのだと思うと、胸の鼓動が高鳴っていく。イーヴィーはそっと彼の腹部に指を這わせ、傷がすべてふさがったことを再確認した。

「傷、残らなくてよかった」

「綺麗にふさがっただけでなく、近くにあった古傷の傷痕も消えたので驚いた」

「そうなんですね……アルロ様」

 それから、彼のシャツをぐいぐいと引っ張って甘えるイーヴィー。

「体……重ねて欲しいです」

「うん」

 体を落とし、むき出しになった逞しい胸をイーヴィーの豊かな胸にゆっくりと押し付けていくアルロ。イーヴィーは嬉しそうに腕を伸ばして彼の背に絡めながら、胸の下にまだ着ていたベビードールをもどかしそうに脱ぎ捨てた。

「大丈夫か、鱗に触れてないか」

「大丈夫です。ああ、凄い……」

 彼女を潰さないように、けれど彼女の我侭に応えるように出来るだけアルロは体を押し付け、少しだけ体重を預ける。はあっと息をつきながら、イーヴィーは嬉しそうに

「くっついてるの、嬉しいです」

「ああ……凄いな、これは気持ちが良いものだ……」

 しっとりとした肌と肌が触れあうだけで、愛されているという実感が伝わるような気がする。お互い言葉はしなかったが、イーヴィーもアルロも、共に同じ感情を得て、しばらく言葉に出来ない。

「……うふふ、気持ちいいですね」

「だが、どうにもな。わたしの顔が近付くのは、傷つけそうで怖いな」

 そういって体を起こそうとするアルロを引き止めたくて、イーヴィーは彼にぶらさがるように腕を伸ばして、もっと触れていたい、と名残惜しそうに腰を逸らして押し付けた。

「あっ」

「むう……」

 そんなつもりがなかったのに、たまたまアルロの固い場所に腰を押し付けてしまい、イーヴィーはぱちぱちと瞬いた。

「まったく、可愛らしいことを求めてくれたと思えば、直接的なこともする」

「今のは、事故みたいなものです……」

「すべて脱いで煽った後に更に誘惑を重ねるとは」

「あっ……!」

 アルロはイーヴィーの両胸をゆっくり揉みながら乳首を指先でこりこりともて遊びだした。先ほどまでの、愛情が込められた愛撫と違い、今度は体を即物的に求められているようにイーヴィーは感じる。だが、それはそれで、女である自分を求められているのだ、と彼女は高ぶっていく。

「んっ、んん、ふっ……それ、好き……あ、あんっ!」

(乳首、気持ちいい……すごい、あの人の、太い指で……簡単に気持ちよくなっちゃう……!)

 きゅっと抓られればびくんと喉をのけぞらせて声をあげてしまう。決して強すぎない力加減で、きゅっ、きゅっ、と何度か乳首を抓るように外側へ引っ張られ、その都度イーヴィーの腰はひくんひくんと跳ねて自然と足が開かれる。

「んんっ!」

 ぐりっ、と指の腹でこすられた瞬間、跳ねた腰の動きと共に愛液が零れ、イーヴィーはその感触に戸惑った。

「あ、あ……わたし……」

「気持ち良かったようだな」

「濡れてしまいました……」

 わざわざ報告されたのがおかしかったようで、アルロは「はは」と小さく笑って彼女の髪を撫でた。それから、彼女の横に座って腰布を取って、昂ぶってきた股間のものをむき出しにする。

「すまんな。大きくなりすぎて、苦しいので、許してくれ」

「許すも何もないのに」

 今度はイーヴィーの方が笑う番だ。初めて見たそれは、どのように服の中にそれが収まっていたのだろうかと思うほど、大きく膨らみ硬く反り返っている。根元に少しだけ鱗が見えるが、それは柔らかい鱗で、ぴっちりと皮膚に張り付いており、イーヴィーを傷つけもしないし、剥がれもしない。
 その下の奥側に精子が作られる場所もあるが、そちらも柔らかな鱗が根元の方に見える。

「触れてくれるか」

「はい……えっ、あ、あ、んっ……」

「ほら、ちゃんと触れて」

「だ、だって……」

「自分で足を広げなさい。甲の鱗で傷がつく」

 イーヴィーがアルロのものに手を伸ばすと、同時にアルロはイーヴィーの股間に手を這わせた。しっとりと濡れている内ももを撫でてから、愛液が滴る入口に触れると、彼女はきゅっと力を入れた。

「拒むな」

 珍しく命令口調で言うものの、その声音は優しい。手の平をクリトリスに押し当てて円を描きながら、愛液で十分に柔らかい入口を愛撫する。

「あっ、あ、あっ、そこ……」

 イーヴィーは喘ぎながらもアルロのものに手を這わせて、硬いペニスを軽く握った。思った感触と違って驚いて一度手を離すと、それはぶるんと大きく震える。凄い。少なくとも自分の体には、これと似た場所が全然ない。こんな風に大きく反り返って、柔らかいのに硬い、意思で動かせるのか動かせないのかも、見ただけではまったくわからない、不思議なもの。

「すごい……熱いです、アルロ様……んっ、ん、ん……」

「優しく上下にしごいてくれると嬉しいんだが」

「こ、こう、ですか」

「ああ、そうだ……もう少し強く」

 ぎこちない動きながらも、イーヴィーはアルロのものをしごいた。こんな風に体の一部が硬くなって、反り返るなんて。それに、たまにびくんびくん動く。

「なんだか、可愛……っ! あっ、あ、あ……ああ、アルロ様っ、そこ……」

 突然熱が下腹部に集中して、意識がそちらに持っていかれてしまうイーヴィー。それでも、彼にも気持ちよくなってもらわなければ、と必死に彼のペニスをしごく。彼女が思っているよりも彼女は愛液をだらだらと溢れさせており、それをなすりつけられてこすられたクリトリスから、尖った刺激が脳をつきぬけた

「ひあっ!!」

 イーヴィーが背を仰け反らせて体をよじると、アルロはそのまま指先でクリトリスを刺激し続けながら、彼女の入口から指を入れていく。

「あっ、あ……あっ、はい、っちゃう……」

 ぬるりと内側に異物が入る感触。それを不快に思うわけでも、恐れるわけでもなく、ただ気持ちが良いとイーヴィーは目に涙をじわりと浮かべた。クリトリスから伝わる快楽は絶え間なく、体をひくつかせて弛緩するタイミングで差し込まれた指は、たやすく彼女が感じる場所を探り当ててしまう。

「ここが気持ちいいのかな」

「あっ、あ、あっ……い、いい……」

「ここに、今あなたが握っているものが入ることになる」

「あ、あ、これ……これが……?」

 アルロの太い指が、ゆるゆると肉襞を掻き分けていく。イーヴィーは手にした熱い塊が自分の中に入るのだ、と想像をしただけで高ぶって、彼の指を存分に濡らしてしまう。

「あっ、あ……やだ、どうしよう、アルロ様」

「どうした」

「あなたのものが……入ると思ったら、わたし……なんだか、おなかが熱くなってきて……」

 絶え間なく刺激されるクリトリス。そして柔らかくなっていく内側を探る指。それらに高められて、息を荒くするイーヴィー。半開きの唇から僅かに見える舌、潤んだ瞳、その扇情的な表情を見て、アルロは一気に2本指を増やして奥へと指を進ませた。

「あっ! あ、おおおっ……そんな、そんなぁ……中、あ、あんっ……」

「あなたは十分に内側で感じられるようだな」

 指で内側を探り、擦れば擦るほど、突けば突くほどにイーヴィーの声は熱を増す。ぐじゅぐじゅと愛液は溢れ続け、自ら開いた足はがくがくと震える。彼女は必死に彼のものをしごこうと手を動かすが、高められ送り続けられる下半身からの強い刺激に抗えず、やがて、その手はペニスから離れて彼の腿の上で彼の服をぎゅっと掴んで震え始める。

「んっ、ん、んっ!」

「気持ち良さそうだな」

「ん、あっ!」

 内側からとんとんとアルロが叩く場所に、それまでにない鈍い快楽が生まれ、それがじわりじわりと全身に拡がっていく。

「覚えておくといい。これからあなたはわたしの上でわたしのものを入れて、気持ちよくならなければいけない。ここと」

「んっ!」

「奥と」

「あっ、あっ……」

「ここかな。この辺り。自分で、自分の中をえぐるように、勝手に気持ちよくならなくてはいけないからな」

「は……いっ……」

 ぐぽぐぽと淫猥な音をたててアルロの指は抜き差しされた。上に跨って、こうやって動くのだ、こうやってこするんだ、と何度も言われながらイーヴィーは軽く達してしまう。
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