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石作りの窓のない部屋が揺れる
暗く陰鬱な部屋で手元を照らす光だけで本を捲り続けていると、
叩きつける様にドアを叩く音に一時本を捲る指が止まった。が、またすぐ元の単純作業に戻る。
すると、重厚なドアを乱暴に開けると男が1人イライラと入って来た。
「リュート、何をしてるんですか⁈」
手元の古びた本に目を落としたまま、小さく溜息が漏れる。
「もう少し静かにはできないのか?アテノール」
仕方なく本から目を上げる。
「今の状況が分かってるのか⁈世界の終わりだぞ!もう少し「分かってる!」」
本を叩きつける様に置くと
「そんな事自分が一番わかっている!」
この荒れ狂う気持ちを抑えて必死に古い古い神話の様な古書にまで手を出したのに何もできない、何も見つけられない…
髪を掻きむしる。
「…すまない。」
「…」
もはや大丈夫だとも、気にすらないとも言えない。
もういっそ世界もろとも消えてしまえば楽になれるかもしれんな。
でも…
その時、体が震える、考える前に蹴破られたドアに向かいその向こうの石壁を突き壊し荒れ狂っていた外へ
雨は止み、風は収まった空へ翼を広げ真っ直ぐ飛び出していた。
居る、この世界に居る
早く、早く見つけなくては
落ち着け、落ち着け、乱れれば世界が荒れる。
失うなんてありえない。
俺の唯一、俺の宝
絶対にこの腕に、捕らえてみせる。
暗く陰鬱な部屋で手元を照らす光だけで本を捲り続けていると、
叩きつける様にドアを叩く音に一時本を捲る指が止まった。が、またすぐ元の単純作業に戻る。
すると、重厚なドアを乱暴に開けると男が1人イライラと入って来た。
「リュート、何をしてるんですか⁈」
手元の古びた本に目を落としたまま、小さく溜息が漏れる。
「もう少し静かにはできないのか?アテノール」
仕方なく本から目を上げる。
「今の状況が分かってるのか⁈世界の終わりだぞ!もう少し「分かってる!」」
本を叩きつける様に置くと
「そんな事自分が一番わかっている!」
この荒れ狂う気持ちを抑えて必死に古い古い神話の様な古書にまで手を出したのに何もできない、何も見つけられない…
髪を掻きむしる。
「…すまない。」
「…」
もはや大丈夫だとも、気にすらないとも言えない。
もういっそ世界もろとも消えてしまえば楽になれるかもしれんな。
でも…
その時、体が震える、考える前に蹴破られたドアに向かいその向こうの石壁を突き壊し荒れ狂っていた外へ
雨は止み、風は収まった空へ翼を広げ真っ直ぐ飛び出していた。
居る、この世界に居る
早く、早く見つけなくては
落ち着け、落ち着け、乱れれば世界が荒れる。
失うなんてありえない。
俺の唯一、俺の宝
絶対にこの腕に、捕らえてみせる。
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