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第五話 俺たちの異変~カナエの異変??

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 そんな中、カナエがスナキツネを拾ってきた。
「この子は正真正銘動物!ちゃんと見たんだから!」
 そうか……それはいいが、飼うのか?
 うーん、こいつとギルドにいる男が入れ替わる可能性もあるから気をつけろとカナエに言ったものの、「えー、何でー?」という返事。
 俺が自分の力を理解してなかったのと同じでカナエはギルドで人気って理解してないな。まあ、替わってるの感じたら、替わってるやつしばくけどな。



 ギルドマスターに呼び出された。何事だ?
「言いにくいんだが……、そのスナキツネの親な、討伐対象だ」
 言いにくいんじゃなかったのか?
「しかもA級で金もいいぞ」おぉ、スナキツネは強いのか。カナエが俯いてスナキツネをギュッと抱いている。そうかカナエの事を考えたんだな。
「いつか誰かがやらなきゃならないミッションだから、お前らに伝えた」
 冒険者として色々あるんだなー。このスナキツネ(子)もそのうち大きくなったら討伐対象になるんだろうな。カナエには酷だな。

 さて、「カナエ、このミッションはどうする?」と問うと、意外にも「私たちがやらなきゃっていうかね、他の人がこのミッションをやるのが気に入らない」という返事だった。
「数年後にこのスナキツネ(子)も討伐対象になることが考えられるけど、どう思う?」
「私たちはミッションをこなすのみ!それに数年後までA級のつもりはない。S級になる」
 “私たち”ねぇ。数年後も俺と組んでるんだな。ほぉーお。

「で、スナキツネって弱点とかあるの?」
「んー、最近発見されたからねー。よくわかんないんだよ」
 それ、討伐しちゃう?益になるかもしれないじゃん。
「まぁ、俺には弱点とかなくてもイケると思うけど」
「同感」
「討伐しちゃってもいいもんかねー?」
「ふえ?私なら気にしないでよ~」
「カナエを気にしてじゃなくて、最近発見だろ?益とも害ともわからないのに、討伐っておかしくねー?」
「そうなんだよね」
「依頼主は……」
 俺とカナエはカードに送られて来ているミッションの山からこのミッションを探し出し、依頼主を見た。そして同時に声を出した。
「あの馬鹿王か……」俺たちは頭を抱えた。

 確かに金払いはいいが、このミッションには裏がある。
 これもノコノコとスナキツネの所に行った俺らがやられるってのが王のシナリオなんだろうな……。
 しっかし馬鹿王、俺らを殺すよりも国民を労われよ……。

「カナエー、依頼料ムシしてこのスナキツネを親に戻すってミッションに変えようぜ。生態もわかってないのに、討伐って乱暴だし」
「わかった。明日ね」
「ラジャー」


 翌日、このスナキツネは親元覚えてるんだろうか?今やカナエに懐いているが?うーん考えすぎか。生態がわかっていないのに、親の場所がわかるとはまた矛盾のような。うーん。
「何を一人で唸ってるのよ!」とカナエに言われた。
「いや、生態わかってないのに親の場所がわかるってなんかひっかかるんだよなー」
「あー、それは思った。依頼主はサタハユの王だし」
「だろ?またやる気かねぇ?」
「そうだねぇ。なにせ馬鹿王だからね」
 呆れてものも言えない。暇なのか?と言いたいくらい俺らに固執している。

 親元とギルドで伝えられていた場所に到着した。
 子スナキツネは何も反応しない。……やはりか。
 うーむ。と考えている暇もなくまた王直属騎士団が湧いてきた。包帯したりしてるけど、大丈夫かな?治癒魔法で治してもらえよ……。
「面倒だなぁ。今度は前より加減しないでいきますか!準備運動がランニングに変わったみたいなもんだけど。カナエ、後方支援とそいつの保護をよろしく」
 カナエは思う「支援しなくても勝つじゃん……。私は保護に全力を尽くそう」

 そう言うと、続々とケガ人の騎士団の山ができてくる。一番下の人が心配だなぁ。俺がやったんだけど。
「おーい、カナエ。何か縛るものない?この人たちに罪はないけど、なんとかしたいんだけど……」
「あー、それならやっと魔法使いらしい魔法使えるような気がする……」そう言って俺がしばき、カナエが動けなくする。という事になった。

 そして、「この塊をどうする?」とカナエに聞いた。
「ギルドに嘘は王といえどもタブーだから、ギルドに提出する」すると、騎士たちは次々と口から血を吐いた。
「えー?私、何もしてないよ?」カナエはオロオロしている。
 どうやら騎士は奥歯に毒を仕込んでいたみたいだな。証拠は残さないのか……。で……も……俺は死んだ騎士たちの服についてる“証”をブチブチっと取って集めた。ご愁傷さま、死の意味なし。
「ずいぶんな数あるなぁ。ん?生き残りじゃん。騎士的じゃないな」
「生き証人なんだから、チョーハツしないで」
 こうして俺とカナエはスナキツネ(子)と生き証人を連れて、騎士の服から取った証を携えてギルドに行った。



 俺への目線が痛い。こんな視線は慣れてない。無視とかそういうのは慣れているんだが……。
「ギルドマスターに会いたい」とカードとチップを少々多めに渡した。
 あっさりと「お待ちしてました」とギルドマスターのところまで連れてきてくれた。

 やはり猫だ。何度会っても猫に変わりない……。
 そうでなくて、重要なサタハユの王の嘘の証拠の数々を見せた。
「サタハユの王かぁ……。常連みたいな感じなんだけどな」
 なんでもかんでもギルドに丸投げしてたのか?金で。そんなだから騎士団が弱っちい。俺は3度目か?4度目か?の抹殺の常連だけどな。
「嘘はいかんなぁ。ところで、その男は?」
「「生き証人でーす」」と俺とカナエは言った。
「名前はなんていうんだ?」「デサロ……」
「そうだなぁ、私からのミッションだ。ライガ、カナエ、デサロをパーティに加えろ。デサロが生きているとわかればサタハユの王は口止めに急ぐだろう。既に手遅れだが。だから、パーティという形でデサロの保護をしろ。いいな。拒否権はない」
 俺はカナエと2人がよかったのに、ここにきて子スナキツネとデサロが仲間に加わるとはなぁ。
 カナエは「この子スナキツネの名前はどうしよう?」「テキトーにつけたらいいんじゃないか?」
 そこ、問題なのか……。

 そして……。

ライガ age18 HP 計測不能   体力 計測不能
 戦士      MP 0      知力 4
     戦士に珍しくオールラウンダー

カナエ age18 HP 1505↑   体力 5
 魔法使い      MP 25033      知力 10
     魔法使いの戦闘としては後方支援、家事のようなことをする

デサロ age18 HP 68902   体力 7
 騎士      MP 40561      知力 5
     ジョブチェンジを考えている

テキトー age0 HP 5493   体力 9
 スナキツネ      MP 2771      知力 3

「おい!カナエ、マジでテキトーって名前にしたのかよ」
「だって、テキトーって言ったじゃん」
「デサロはジョブチェンジ考えてんのか?と、その前に。カナエ、こいつの奥歯の毒、魔法で取ってやれ」
……と同時にサタハユの王からのスパイの可能性も調べてほしいというような手紙を渡した。
「デサロは騎士から何にジョブチェンジしたいんだ?」
「俺は魔力も低くて……」カナエの顔に青筋が浮かんでいる……。カナエの倍近い魔力あるもんな。
「騎士団で馬鹿にされてたから戦士になりたい」
 俺は「ほう」と言った。内心戦士をナメるなよと思った。
「戦士ってことは俺の弟子か?」と俺は言った。
「ライガ、調子にのりすぎ!」……とカナエは言いながらメモが渡された。彼はシロ。
「戦士なら、自分を律することだな。とりあえず、毎朝剣で素振り1000回するか」と俺は言った。このパーティに戦士は2人も要らない。
「え゛?俺、戦士ムリかも……」そうだろう。戦士は甘くない。俺がここまで来るのに18年かかってる。その間、何度親父に半殺しにされたことか……。

 うーん、魔法使いでも戦士でもない職業。うーん。狩人とか?それなら良さげだけど、いいかなぁ?
 俺も弓できるんだよなぁ。特に頭がいいわけでもないし。うーん。
「狩人は?」カナエよ……。俺も弓できるんだけど。「わかりました」即決かよ?おい!カナエ狙いか?

デサロ age18 HP 34451   体力 7
 狩人      MP 20230      知力 5
     新人

おぉ、カードが自動で更新された。
「狩人なら弓の練習だな。弓はやったことあるだろ?」と俺は軽く言った。
「ないです」おいー、だから弱々なんだよサタハユ!
 狩人ならそこらの草木で自作の弓矢を作れるようになるといいね。
「戦闘では後方支援を期待してるよー」
「え?カナエさんは?」“さん”をつけてきたか……。
「あいつにはテキトーを守るという仕事がある。あと、服の汚れを取ってもらったり」
「だって魔法使いは後方支援じゃ……」とデサロは言う。
「あぁ、でもねー、ライガ強すぎて支援は正直必要ないくらいなの。少なくとも魔法で後方支援は必要ないかな?」
 俺はドヤ顔でデサロを見た。
「デサロー、明日から弓の練習な。的は俺が作ってやる。俺は弓もできるし」
「やっぱそうですか、ライガさんなら戦闘系を全部マスターしてるだろうなーって」
「まぁな、スパルタ親父の影響でな。ところで、俺ら同い年だし、敬語を使う必要なし」
「そうだよデサロー」カナエも言う。
「じゃ、また明日な」

 どうしよう……デサロ……壊滅的に弓が下手だ。射ると矢が足元に落ちる。うーん、基礎的な筋力がないのか?何故だろう?弓に張った弦がきつすぎるのか?ちょっと緩めるか……。お、ちょっと進んだ。 という事は、緩めるもとい調節すればいいんだな。
「ねー」カナエは言った。「一番最初の弓ってライガ仕様じゃない?体力が全っっく違うんだから」
 
そういえばそうかも。うーむ、反省。
「カナエ、魔法でチョチョイと調節してくれよ」
「都合よく魔法に頼るんじゃない!」不条理な気がする。正当か?常人の基準がわからん。俺は自分と親父しか知らないから。

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