親バカ戦線異状アリ

satomi

文字の大きさ
上 下
14 / 20

14.

しおりを挟む
留学期間が終わり(親父から離れる期間が終わってしまった)俺とトロはアーバンクルク王国へと帰った。帰らざるを得なかった…。

帰ると、‘王子お帰りなさいパーティー’なるものが盛大に開かれるらしい。ハッキリ言って迷惑だ。不敬になるから言えない。きっとトロも思ってる。疲れているのにパーティーは嫌だ。と。
俺はカイスター侯爵家の次期当主としてパーティーに参加した。親父をこんなパーティーに参加させたくないのが本音。
トロは流石だな。着飾るとTHE王子って感じだ。王子なんだけど。

色んな貴族が挨拶に来てるんだか、他国の腹の内を知りたいんだか、ケネス帝国について知りたいんだか、蠅のようにたかってくる。蠅取り紙が欲しい。
さっさとパーティーがお開きにならないもんか?俺は帰ってゆっくり休みたい!
それなのに、あの入り口付近に見えるシルエット…。まさか…。親父…?
「ケネス帝国の事なら私にお聞き~!!」と高らかに宣言した。女装したカイスター侯爵。こういう場ではカミングアウトしてなかったはず。何故だ?
まさか、ケネス帝国の皇帝と話してるうちにこうなったのか?俺はハヤクカエリタイ。

壇上では流石の国王も目を見開いている。トロは親父の姿を二度見した。
「トロ…あれはカイスター侯爵で間違いないのか?」
「はい、カイスター侯爵本人に誓って間違いありません、国王」
なる会話がなされていた。

「ヴィックス~♡とーさん、置いてかれて寂しかったんだから!プンプン!」
「そんで追いかけてきたわけか…俺は早く帰りたかったんだが…」

「カイスター侯爵及び、その令息陛下がお呼びだ」
…流石に陛下もこの姿には度肝を抜かれただろうな。


「カイスターよ…お前…その姿は本気なのか?」
「本気です」
親父はやや低い声で答えた。
「令息としてはどう思ってるんだ?」
「本人の自由ですし、侯爵としての仕事をしてくれれば問題ないか。くらいですね」
「このことはトロは知っているのか?」
「そもそも父上の趣味が発覚したのが私の学園初等部での父兄参観でしたので、トロ王子は昔からご存じでしたよ」
「トロ、お前はずっと報告を上げなかったのか?」
「こればっかりは本人の意志ですし、報告すべきほどでもないと思いました。その見た目が侯爵としての能力に影響をしているならば報告をすべき案件でしょうけど、彼は侯爵として全く問題ない訳ですし…」
「陛下に申し上げます。私カイスター侯爵子息は疲れていて、一刻も早く床につきたく存じ上げます。おそらくトロ王子も私と同じ状態では?」
「あぁ、トロの帰宅が嬉しくてこのようなことを!トロとカイスター令息の帰宅を許可する」
「有難きお言葉。さぁ、さっさと帰ろう♪」

俺もトロも帰宅モードに入った。

俺がいなくてもケネス帝国のことは親父が知ってるし、なんなら親父の方が詳しいし、帰ろう。

トロはなんだか申し訳なさそうにしていたが、結局王宮の自室に下がった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...