ワガママ令嬢には釣書が1通

satomi

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第11話

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「はははっ、心配無用だったな。ルリの方があの王子よりも上手だな」
なーんか胡散臭いのよね。王子の父親があの国王だからかなぁ?なんか裏があるような?

「バードらしからぬ希望的観測。私はなんか変だなぁって違和感あったんだけど?」
そうなのよ。なんかわからないけど違和感よ。

「俺もなんか違和感だな。あの国王の子があの王子っていうのがなぁ。その時点ですでにおかしいんだけど、それだけじゃなくてまだある違和感」

「兄さまが言うならそうなのかなぁ?ルリはまだあんまり勉強してないからわかんない」
ライクがルリの頭を撫でてやる。そういうのがルリは兄さま大好きなのよ~。

とにかくあの王子がルリ好みのスマートなイケメンにならないと始まらないし、その後で考えても遅くないかな?

「ところで、父さん。今度買い付けで東方の国に行くんだろ?『ラルク商会』に行くんだろ?俺もついて行きたい!」
「兄さまも行くなら私も!」
「あら、私だけ残されるのは嫌だ。私も行くわよ」

「はぁ、買い付けなんだが…家族旅行だなぁ…」
言われてみればそうかも。でも家族旅行したことないし、いい機会かと思う。のは私だけかなぁ?


買い付け当日。
バードとライクはスーツを着ている。ルリは遠足に行くんだろうか?私はリゾートな感じのワンピースをチョイスしました!

「俺とライクで『ラルク商会』の幹部の人と商談してくるから、二人は東方の国を観光していなさい。案内は『ラルク商会』から楓さんを案内兼護衛としてお借りした。楓さんは元・ニンジャだ」

「え?ニンジャなの?シュリケン?忍術?」
ルリが質問攻めにしそうだった。楓さんが困っている。

「本日、リラ様とルリ様の案内兼護衛を務めます、楓と申します。よろしくお願いします」
すごい丁寧な人だ。

「あ、私が妻の方のリラで、この子が娘のルリです。すいません、好奇心が旺盛で…」
恥ずかしい限りです。

「ルリ様の名前はルリ色からとったのですか?」

「はい。主人からはそのように聞いていますが、私は実際にルリ色という色を見たことがないんですよね。出来れば見てみたいです」

「おまかせください。簡単です」

私達はゴフクトンヤというキモノを作る布を売っている店でルリ色を見せてもらった。
鮮やかな青。深い。やや緑かかった。ルリはそんな色から名前をつけているのね。

「ルリ、この色があなたの名前の由来よ。父さんがつけたのよ」

「私はこんなんにキレイじゃない…」
え?いつも自信家なくらいなのに凹む?

「これから磨けばいいでしょ?あなたはまだ10才にもなってないんだから」
そうなんだ、まだお肌もピチピチの年齢一桁!
なんだか楓さんが驚いている。

「え?ルリ様はまだ10才になっていないのですか?大人っぽいからてっきり10才は軽く超えてると思っていました」
うーん、東方の国の人と見た目年齢違うのかな?

「ルリが8才で、私が29才です」
一応、年齢も楓さんに伝えた。案内する場所もこれで変わるかもしれないから。

「わかりました。ちなみに私は25才です」
うん、やっぱり国が違うと見た目で年齢わかんない。


その頃のバードとライク…
「うちとしてはアキヤ貝から採れるあの石の販売権が欲しいんだけどなぁ」
「それだけはちょっと無理かなぁ。なんせ『ラルク商会』が大きくなった縁起物だからなぁ」
言葉は緩いけど、相手の腹の中を探る交渉が続いた。

ライクが目を付けたのは護衛が持っているカタナだった。
「あの護衛という護衛が手にしているカタナはどういったもので?」
「あぁ、西の方の剣は突く、叩くが主流でしょうけど、カタナは切るんです。実際にやってみましょうか?大根でも持って来て。いいよ~。今晩のおかずにでもするから。あ、俺が作る」

そう言って、カタナでサクッと切ってしまった。
「包丁のような?」

「それよりも刃の部分が長くて、どこでも斬れます。突けば、貫通します」
ライクは興味があるようだった。
確かにカタナは西にはない。軍事部門に入れるんだろうか?ライクの趣味か?

「大根を突いてみます?」
大根にカタナが突き刺さった。

「非常に切れ味がいいので人体でも斬れるし、突き刺さるんですよ。もうちょっと短いカタナだとニンジャがよく持っていますね」

「ワキザシというやつですか?」

「よくご存じで。カタナは刃の部分を鍛えるんです。刀鍛冶という職業がありまして、その職業の方たちが作るのです」

「父さん、俺もカタナを一振り欲しい!」

「あ、鍛冶職人にお願いして、しばらくしたら完成という形になりますよ?」
顧客一人ゲット!

「いい刀鍛冶職人を紹介しますよ」

「カタナは量産できるだろうか?できたら軍事品として輸入したいのだが?」
大規模顧客ゲット!

「刀鍛冶職人組合と相談しますね」

「いい返事をお待ちしています」
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