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それでも生きてるし
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「本日をもって、お前との婚約を破棄しこの可愛いベティと婚約を結び直すことをここに宣言する!」
劇場からは割れんばかりの歓声があがった。
*****
「お疲れ様、スチュワート殿下♪」
私は皮肉を込めてそう呼んだ。
「やめてくれ、ただの役名だろ?婚約破棄が流行ってるのか?俺は平民だからわからないけど~♪」
うそ……。
彼はこの国の第何番目だろう?忘れちゃったけど、そのくらい王位継承権が遠い王子のハズ。とても‘平民’ではない。役者をやっているのは趣味だ。
「あ~水飲みたい~。ダルイ~。マリィ、水ちょうだい」
水くらい自分で用意しろよ。と内心思いつつも、彼のルックスに騙されるのかなぁ?毎回彼の要求を飲んじゃうんだよなぁ。
だって……、銀髪で深い緑の瞳、引き締まった体躯、後ろで一つにまとめてある髪の彼が弱った感じでソファに寝転がり、弱々しく要求してくるんです。断れるか?否!要求を飲んでしまうんです。仕方ないですよね?私が悪いでしょうか?意志が弱いでしょうか?
私は彼の幼馴染兼マネージメントをしてます。この男……絶対自分でマネージメントとかできないだろうし。仕事を取ってくるとか無理だろう?
「失礼します、ココはハングル様の楽屋でしょうか?」
「俺に用かな?なんだろう?」
楽屋の彼はダラダラしているのに……。どうした?人が来るとキラキラオーラが出てるぞ?楽屋に荷物を持って来てくれた彼女もドキドキしているみたいだし。ある意味詐欺だなぁ。
応対中はしっかりとしている。舞台にいる時みたいだ。
ハングル様は王子という立場ながら、実に様々な役をこなし、今回は王子役だけど。乞食の役もやるし……。それがまた‘上手い’と演劇評論家みたいな人に称賛され、新聞に載ったためにさらに売れっ子俳優となり……って感じです。
歌も上手いし。王子じゃなくて、役者として生まれてくるべきだったんじゃないかなあ?と私は思います。第何番目なのかも忘れたし。
「マリィ~、今回の舞台はあと何回同じのをやるの?俺、もう飽きた~」
「飽きたじゃないですよ!仕事ですよ!し・ご・と!予定ではあと10回はありますけど、好評ならば、この舞台をもっと見たいってなって、回数が増えますね」
「え~?マジで~?」
「マジです」
こんなですけど、実力派俳優として売れてるんだから仕方ないです。大変だったのは‘乞食’の役をやる時でした…。
「えー、食事制限しなきゃなんないの?」とか言ってきたんですよ。肌艶ピチピチの乞食がどこの世界にいるんですか?肌艶はメイクでなんとかんなるにしても、体型……。健康的な体型の乞食ってのはメイクでもどうにもなりませんから、そこは努力をしていただきたかった。
まだ売り出し中の頃だったから彼のワガママも通じなかったし、舞台とはいえ問題アリじゃないかと思ったんだけどなぁ。
監督が……「イイね。まわりを欺いて生活する乞食だから、体型は気にしなくていいよ。はははっ」と言うから、ハングル様も調子に乗ってしまったわけです……。
私がこの次に彼に持ってきた役は‘暗殺者’です。体型的にOKじゃないかな?
しかし……監督曰く、「暗殺者なんだから、もう少し体に筋肉をつけてほしいなぁ」
これにはハングル様も流石に参りました。乞食役よりも暗殺者役の方が面倒なのです。
「マリィ~なんとかならない?」
なんともなりません。私はここは厳しく応じました。甘やかしてばかりではいけません。
「ハングル様、所謂筋トレを地道にしてください。役者としての義務です!」
「……」
ハングル様は不貞腐れてしまってようです。そんな子供のようなことをしても私の決意、及び監督の決意は変わりません。いい舞台を作りたいという思いは変わらないのです。
とはいえ・・・、この王子(継承権第何位だろう?)にはアメも必要ですね。
「舞台ですから、凝視するわけではありません。まぁ、ある程度『あんなにブヨブヨで暗殺者できるの?』と観客が思わないような体型になればいいのでは?と私は思いますよ」と私はアメをハングル様にあげました。
ソファに寝転んで(足がはみでてる)背もたれの方を見ている。しかもクッションを抱きしめている。乙女かよ!と突っ込みたくなるイケメン。がチラチラとこちらを見てくる。
「あー、観衆ってどんな舞台を見たいのでしょうね?やっぱり完成された舞台でしょうけど、ジャンルとか……」
「近頃、世間を騒がせる話をフィクションで脚本化したような話じゃないのか?」
とすると、乞食とか暗殺とか王家とか実際にあったんでしょうか?
「世間では王家とか貴族ネタが好まれてるみたいだな。庶民には遠い話だし?」
なるほど、そういう理由なのか。しかし……舞台を観に来た貴族が自分をネタにした話だって気づいたらいたたまれないだろうなぁ。合掌!
「ハングル様!大変です!!今の舞台!ロングランになるだけでなく、続編決定です!」
「へ~、脚本の人頑張ってね~」
何故他人事?演技をするのは自分なのに!主役の舞台が続編決定なんだからもう少し感動してほしかったなぁ。
「マリィは感動するかもだけどさぁ。続編は誰が主役かわからないよ?誰目線で話が進むかわからないんだから。それより、なんかいい役ないの~?」
「えーっと、主人公が王子で「はぁ……庶民は王家のスキャンダルが好きなんだねぇ。それで?」」
話に割り込んできたくせに、話の先を要求するとは!!
「王子の護衛騎士の役ですね。護衛騎士が王子の婚約者に一目惚れ・・・みたいな?」
「あるあるかぁ。そういうアコガレはあるかもなぁ。王子の婚約者と言えば、美人で教養もあって、家柄もいいしとなるなぁ」
「でも、そこにはだかる身分の壁!」
「マリィ……それよりもさぁ。職業倫理として、主人の婚約者に横恋慕はダメでしょう」
「王子の婚約者さんも護衛騎士に浮気はダメですよね」
「で、俺は主役なの?」
「護衛騎士なのに主役ですね。微妙なところだと思いますけど」
「王子が主人公なのにどうやって話が進むの?」
「王子目線で話が進むみたいです。ラストは婚約者さんと護衛騎士さんは駆け落ち~みたいな?」
「実際にはありえないな」
「舞台ですから」
なんで舞台の話をしている時はしっかりしているんだろう?舞台好きなのかなぁ?役者は向いてると思うけど。近くで見ても目鼻立ちしっかりしてるからちょっと化粧すれば劇場の端からでもよく見える顔立ちしてるし、歌唱力あるし?……普段はナマケモノだけど。
***********
「ここまで来たらもう無理です。二人が結ばれるのはやっぱり無理なんですよ」
「そんなことを言わないで下さい。私の瞳には貴方しか映らないのです!」
(ハングル様が歌いだす♪←目立つだろう?早く逃げろよ。とツッコミたい。)
二人が手に手を取って隣国へと駆け落ちをしてラスト。客席は大歓声!
**********
「お疲れ様でした~♪」
私はわざとミュージカル調に水をハングル様に差し出した。
「マリィ……音痴だな。水はサンキュ」
これなぁ、実際に婚約者と護衛騎士が駆け落ちなんてしたら、貴族の社交界で笑いものじゃ済まない。一族処刑だろうか?処刑じゃなくとも何らかの厳しい処罰を受けることとなるだろう。爵位は返上かなぁ?恐ろしいものを舞台にするものだ。フィクションだからいいんだよねぇ。
私とハングル様が帰ろうと劇場を出たところ、「「「きゃあー!!ハングル様ぁ!!」」」
……これは所謂出待ちというものだろうか?ハングル様が有名になった証と言えばそうなのだけど、迷惑と言ってしまえばそれまでだ。
「あー、これから家に帰るから迷惑なんだよね」
……言った!この男は。フォローするこっちの身にもなれ!
「あー、ハングル様は明日も舞台に立たなきゃいけないからゴメンね」
そう言って、私とハングル様はその場を立ち去った。……その場に悪意が残されたことに気付かずに。
「マリィ~、今日の夕飯何?」
そうなのだ。私はハングル様と同居している。同棲ではない。同居なのだ!そこ重要。もう一度言う。大事な事は復唱しよう。同棲ではなく同居している。
ハングル様は家事全般ができないので、私がすることになる。はぁ、家事をしてくれる方を募集したい。
これでは私が、家事とマネージメントの二足の草鞋を履いている状態で正直キツイ。
「ハングル様!使用人を雇いませんか?家事をしてくれる方を募集するのです!」
「え~?どこで~?」
「うーん、酒場とかで聞いてみましょうか?」
その日はやむを得ない。私が家事をしました。もうクタクタです。
翌日、早速酒場で聞き込みをしました。ハングル様の名前を出しては下心いっぱいの肉食女子が募集にのっかりそうなので、そこはあえて家事の得意な男の方ということにしました。
さすが、酒場です。
「あー、それなら‘あいつ’がピッタリだな」と、すぐに紹介してもらえることになりました。
紹介してくださった方は生物的には男性になるのでしょうか?
「いや~ん。男に間違って生まれてきたのよ♡家事全般得意ヨ、ヨロシクネ♡」
ハングル様の貞操は守られるのでしょうか……?募集するにあたってハングル様の名前は出さなかったのですが……。
彼(彼女?)の名前は源氏名でしょうか?フェアリアというらしい。
「フェアリアさん、これからよろしくお願いします。えーと、家の中でのことは他言無用という事でお願いします」
「もう、堅いわねぇ。えーっとマリィさん?」
「年齢も近いようですし、『マリィ』でいいわよ」
「それじゃあ私のことも『フェアリア』って呼んでね?長いかしら?うーん『リア』って呼んでね♡」
「もう一人同居している人がいるんだけど……彼の事は他言無用。絶対よ!」
「わかったワ!」
リアは神妙な顔で了承してくれた。
ハングル様の部屋に続くドアをノックする。
「私です。入りますよ?」
返事がない。ま、入ろう。入ってしまえ。
「マリィ?え~後ろの男性は誰~?」
「ぎゃ――!!!」
ハングル様と二人、鼓膜が破れるかと思った。
「本物なの?本物のハングル様?」
「えーっと、もう一人の同居人のハングル様よ。他言無用なのはわかった?」
「私の特権みたいで逆に嬉しいワ♡家事を頑張っちゃう♡」
「マリィ~?家事をしてくれるのは彼なの?」
「間違って男に生まれてきたのよ(自称)。フェアリアさん。『リア』って呼んであげて」
「わかった~」
ハングル様はマイペースな様子。私はハングル様の貞操を気にしてるのに、ハングル様は気にしていらっしゃらない様子。
リアにハングル様が王子(王位継承権は第何位なのか忘れたけど)だって伝えたほうがいいかなぁ?
「えーっとねぇリア?リアっ?」
リアはハングル様を凝視していた。
「リアー!ハングル様の話なんだけど?」
「ハイ聞きます!」
変わり身速いな……。
「ハングル様は一応第何か忘れたけど、王子なのよね。リアル王子よ。本人全く気にしてないんだけどね。だいたい王位継承権第何位なのかもよくわかんないから」
「リアル王子……。ますます素敵♡」
「だから、このことは外部に漏らさないようにね!あと、舞台に関係してない時のハングル様はだいたいだらけてるから(幻滅するかな?)」
「私達だけが知るひ・み・つ♡ あー、今日の夕食何作ろうかしら~?」
「今日の夕食何~?」
「いや~ん。こんなやり取りも新婚さんみたいでドキドキしちゃう♡」
ジタクハカオスジョウタイニナッタ。
次の日、とりあえずハングル様の貞操は守られたみたい。ほっと一安心。
「リアはハングル様のどんな舞台が見たい?」
「え~?それはやっぱり王子様かなぁ?」
「ジャンルは?」
「恋愛もの一択!」
(ハングル様はあんまり好まない系だけど黙っておこう)
「歌が映えるもんね。舞台は?こないだは学園が舞台だったでしょ?」
「うーん、学園恋愛もいいけどぉ。そうだ!先生と生徒のイケナイ関係っていうのは?」
「ソレ…舞台で表現できるかな?」
「ハングル様は天才だもの、出来るわよ!」
「俺は無理だと思う」
「あ、おはようございます。起きたんですね。リア、ハングル様に朝食を用意してくれる?」
「わかったワ♡」
リアの意見は私も想像できない……。
そうだわ!ハングル様は歌もお上手だし。この考えならいけるかも!
「リアリア!ハングル様が学園で男版セイレーンみたいに歌で女生徒を魅了するってのは?」
「マリィ!なんて素敵なの!女生徒のみならず先生も含めましょうよ?」
「せっかくだから、リアが脚本を書いてみたら?」
「え~?私にできるかしら?でも、素敵なハングル様のためだもの。やってみるワ」
「その意気よ!」
うちの中に人気俳優と人気脚本家が……ってことになるのかなぁ?人気脚本家になるのかわかんないけど、男版セイレーンはかなりイイと思う。
この二人の女子(?)の様子をハングル様はバッチリ見ていた。
「俺が男版セイレーンねぇ。舞台で歌いまくるのか……。喉は大丈夫だろうか?」
********
「♪~~~~~♪」
「なんだよ、今日もあいつは噴水のそばで歌ってやがるな」
「あ、あそこにいるの。俺の婚約者!俺の婚約者まで手を出したのかよ?」
「心外ですね。手を出しているわけではないですよ。彼女が私の方へ近寄ってくるのです。貴方よりも魅力があるのでは?」
ハングル様が殴られる(演技で)と客席から「きゃーイヤー!」という声が!
「貴方の拳など効きませんよ」
「♪~~~~~♪」
傷が治る。
「ひぇーっ化け物―!!」
と男たちは逃げていく。
歌ったことで学園の女性がますます集まる。
が、逃げた男が化け物と騎士団に通報したことで、ハングル様は連行される。
ラストはセイレーンとして騎士団の庭で泡になって消えてしまう。
(消えないでー!!等の観客席からの叫び声とともに幕が下りる)
*********
「ハングル様!打ち上げに誘われていますけど、どうします?」
すでにダラダラしていて半分まぶたが降りている状態のハングル様が答える。
「疲れて眠いから帰る」
子供か!?職場の付き合いとかもあるんだけどなぁ。主人公だし、歌いまくって疲れてるのは事実で、翌日に酒焼けで上手く歌えませんとかシャレにならないから強く言えないな。どっちかというと、コンディションは最終日までキッチリして欲しいし。
打ち上げは最終日にしましょうよ?と私は舞台スタッフの皆様に連絡をした。
ここまでやってやっとこさ王家までハングル様の名声が伝わったらしい。ハングル様父(国王陛下)から召喚状が届いた。
ハングル様も私もリアも平民として生活しているから、断る余地はない!
初めて見る国王陛下はハングル様に似て、あ、逆かハングル様が国王陛下に似て、精悍な顔つきだった。リアは大興奮なのを我慢していた。ように見える。銀髪だった。瞳は青。ハングル様は髪の毛は父に似て、瞳は母に似ているのだろう。
「久しぶりだな。お前の活躍はついに私の耳にまで届くようになった」
「光栄なことです(面倒くさい。帰って昼寝したい)。」
私にはわかる!
ハングル様。言葉とはウラハラ、帰って昼寝したいとか絶対思ってるんでしょう?
「っていうか、今更、私に何の用ですか?王位なら私の上に兄上がたくさんいらっしゃるでしょう?まさかの全滅ではないでしょう?」
なんて恐ろしいことを言うんでしょうか。不敬ですけど、王子だから許される不敬でしょうか?
「いや、市井で有名になっている舞台俳優が王子だと分かってなぁ。とりあえず、顔の確認」
「しかしながら、第何番目の王子かはわからないのでしょう?それについては思うところもありますが、心のうちにしまっておきます」
多分、陛下が無計画に子供作り過ぎ!とかそんなことだろう。まぁ、気持ちはわかる。
「以上ですか?では、お暇して我々は帰らせていただきます」
本当に人物確認だけだった。陛下は一応子供の人相を覚えてるんだなぁ。ということは、第何番目の王子かもわかるんじゃ?謎の王家だなぁ。庶民とは一線を画すというか……。
とにかく、陛下にまでハングル様の名声が轟いていることがわかった。ハングル様の収入…もしかしたら、国の予算に近いかもなぁ。
多くの舞台の数をこなしてるのもあるけど、彼のギャラも爆上がりだし。そうなると、国としてはハングル様に国に所属して欲しいのかな?ハングル様の収入の何割かを国に収めてほしい…とか?
ハングル様はお金じゃなくて面白い役柄だったら、仕事OKしてるから、国に貢献とかはしたくないだろうなぁ。
と、思う私なのです。ハングル様は先ほどからずっと昼寝に勤しんでいます。明日からはまた違う公演なので、ゆっくりやすんでいただきたいものです。
劇場からは割れんばかりの歓声があがった。
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「お疲れ様、スチュワート殿下♪」
私は皮肉を込めてそう呼んだ。
「やめてくれ、ただの役名だろ?婚約破棄が流行ってるのか?俺は平民だからわからないけど~♪」
うそ……。
彼はこの国の第何番目だろう?忘れちゃったけど、そのくらい王位継承権が遠い王子のハズ。とても‘平民’ではない。役者をやっているのは趣味だ。
「あ~水飲みたい~。ダルイ~。マリィ、水ちょうだい」
水くらい自分で用意しろよ。と内心思いつつも、彼のルックスに騙されるのかなぁ?毎回彼の要求を飲んじゃうんだよなぁ。
だって……、銀髪で深い緑の瞳、引き締まった体躯、後ろで一つにまとめてある髪の彼が弱った感じでソファに寝転がり、弱々しく要求してくるんです。断れるか?否!要求を飲んでしまうんです。仕方ないですよね?私が悪いでしょうか?意志が弱いでしょうか?
私は彼の幼馴染兼マネージメントをしてます。この男……絶対自分でマネージメントとかできないだろうし。仕事を取ってくるとか無理だろう?
「失礼します、ココはハングル様の楽屋でしょうか?」
「俺に用かな?なんだろう?」
楽屋の彼はダラダラしているのに……。どうした?人が来るとキラキラオーラが出てるぞ?楽屋に荷物を持って来てくれた彼女もドキドキしているみたいだし。ある意味詐欺だなぁ。
応対中はしっかりとしている。舞台にいる時みたいだ。
ハングル様は王子という立場ながら、実に様々な役をこなし、今回は王子役だけど。乞食の役もやるし……。それがまた‘上手い’と演劇評論家みたいな人に称賛され、新聞に載ったためにさらに売れっ子俳優となり……って感じです。
歌も上手いし。王子じゃなくて、役者として生まれてくるべきだったんじゃないかなあ?と私は思います。第何番目なのかも忘れたし。
「マリィ~、今回の舞台はあと何回同じのをやるの?俺、もう飽きた~」
「飽きたじゃないですよ!仕事ですよ!し・ご・と!予定ではあと10回はありますけど、好評ならば、この舞台をもっと見たいってなって、回数が増えますね」
「え~?マジで~?」
「マジです」
こんなですけど、実力派俳優として売れてるんだから仕方ないです。大変だったのは‘乞食’の役をやる時でした…。
「えー、食事制限しなきゃなんないの?」とか言ってきたんですよ。肌艶ピチピチの乞食がどこの世界にいるんですか?肌艶はメイクでなんとかんなるにしても、体型……。健康的な体型の乞食ってのはメイクでもどうにもなりませんから、そこは努力をしていただきたかった。
まだ売り出し中の頃だったから彼のワガママも通じなかったし、舞台とはいえ問題アリじゃないかと思ったんだけどなぁ。
監督が……「イイね。まわりを欺いて生活する乞食だから、体型は気にしなくていいよ。はははっ」と言うから、ハングル様も調子に乗ってしまったわけです……。
私がこの次に彼に持ってきた役は‘暗殺者’です。体型的にOKじゃないかな?
しかし……監督曰く、「暗殺者なんだから、もう少し体に筋肉をつけてほしいなぁ」
これにはハングル様も流石に参りました。乞食役よりも暗殺者役の方が面倒なのです。
「マリィ~なんとかならない?」
なんともなりません。私はここは厳しく応じました。甘やかしてばかりではいけません。
「ハングル様、所謂筋トレを地道にしてください。役者としての義務です!」
「……」
ハングル様は不貞腐れてしまってようです。そんな子供のようなことをしても私の決意、及び監督の決意は変わりません。いい舞台を作りたいという思いは変わらないのです。
とはいえ・・・、この王子(継承権第何位だろう?)にはアメも必要ですね。
「舞台ですから、凝視するわけではありません。まぁ、ある程度『あんなにブヨブヨで暗殺者できるの?』と観客が思わないような体型になればいいのでは?と私は思いますよ」と私はアメをハングル様にあげました。
ソファに寝転んで(足がはみでてる)背もたれの方を見ている。しかもクッションを抱きしめている。乙女かよ!と突っ込みたくなるイケメン。がチラチラとこちらを見てくる。
「あー、観衆ってどんな舞台を見たいのでしょうね?やっぱり完成された舞台でしょうけど、ジャンルとか……」
「近頃、世間を騒がせる話をフィクションで脚本化したような話じゃないのか?」
とすると、乞食とか暗殺とか王家とか実際にあったんでしょうか?
「世間では王家とか貴族ネタが好まれてるみたいだな。庶民には遠い話だし?」
なるほど、そういう理由なのか。しかし……舞台を観に来た貴族が自分をネタにした話だって気づいたらいたたまれないだろうなぁ。合掌!
「ハングル様!大変です!!今の舞台!ロングランになるだけでなく、続編決定です!」
「へ~、脚本の人頑張ってね~」
何故他人事?演技をするのは自分なのに!主役の舞台が続編決定なんだからもう少し感動してほしかったなぁ。
「マリィは感動するかもだけどさぁ。続編は誰が主役かわからないよ?誰目線で話が進むかわからないんだから。それより、なんかいい役ないの~?」
「えーっと、主人公が王子で「はぁ……庶民は王家のスキャンダルが好きなんだねぇ。それで?」」
話に割り込んできたくせに、話の先を要求するとは!!
「王子の護衛騎士の役ですね。護衛騎士が王子の婚約者に一目惚れ・・・みたいな?」
「あるあるかぁ。そういうアコガレはあるかもなぁ。王子の婚約者と言えば、美人で教養もあって、家柄もいいしとなるなぁ」
「でも、そこにはだかる身分の壁!」
「マリィ……それよりもさぁ。職業倫理として、主人の婚約者に横恋慕はダメでしょう」
「王子の婚約者さんも護衛騎士に浮気はダメですよね」
「で、俺は主役なの?」
「護衛騎士なのに主役ですね。微妙なところだと思いますけど」
「王子が主人公なのにどうやって話が進むの?」
「王子目線で話が進むみたいです。ラストは婚約者さんと護衛騎士さんは駆け落ち~みたいな?」
「実際にはありえないな」
「舞台ですから」
なんで舞台の話をしている時はしっかりしているんだろう?舞台好きなのかなぁ?役者は向いてると思うけど。近くで見ても目鼻立ちしっかりしてるからちょっと化粧すれば劇場の端からでもよく見える顔立ちしてるし、歌唱力あるし?……普段はナマケモノだけど。
***********
「ここまで来たらもう無理です。二人が結ばれるのはやっぱり無理なんですよ」
「そんなことを言わないで下さい。私の瞳には貴方しか映らないのです!」
(ハングル様が歌いだす♪←目立つだろう?早く逃げろよ。とツッコミたい。)
二人が手に手を取って隣国へと駆け落ちをしてラスト。客席は大歓声!
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「お疲れ様でした~♪」
私はわざとミュージカル調に水をハングル様に差し出した。
「マリィ……音痴だな。水はサンキュ」
これなぁ、実際に婚約者と護衛騎士が駆け落ちなんてしたら、貴族の社交界で笑いものじゃ済まない。一族処刑だろうか?処刑じゃなくとも何らかの厳しい処罰を受けることとなるだろう。爵位は返上かなぁ?恐ろしいものを舞台にするものだ。フィクションだからいいんだよねぇ。
私とハングル様が帰ろうと劇場を出たところ、「「「きゃあー!!ハングル様ぁ!!」」」
……これは所謂出待ちというものだろうか?ハングル様が有名になった証と言えばそうなのだけど、迷惑と言ってしまえばそれまでだ。
「あー、これから家に帰るから迷惑なんだよね」
……言った!この男は。フォローするこっちの身にもなれ!
「あー、ハングル様は明日も舞台に立たなきゃいけないからゴメンね」
そう言って、私とハングル様はその場を立ち去った。……その場に悪意が残されたことに気付かずに。
「マリィ~、今日の夕飯何?」
そうなのだ。私はハングル様と同居している。同棲ではない。同居なのだ!そこ重要。もう一度言う。大事な事は復唱しよう。同棲ではなく同居している。
ハングル様は家事全般ができないので、私がすることになる。はぁ、家事をしてくれる方を募集したい。
これでは私が、家事とマネージメントの二足の草鞋を履いている状態で正直キツイ。
「ハングル様!使用人を雇いませんか?家事をしてくれる方を募集するのです!」
「え~?どこで~?」
「うーん、酒場とかで聞いてみましょうか?」
その日はやむを得ない。私が家事をしました。もうクタクタです。
翌日、早速酒場で聞き込みをしました。ハングル様の名前を出しては下心いっぱいの肉食女子が募集にのっかりそうなので、そこはあえて家事の得意な男の方ということにしました。
さすが、酒場です。
「あー、それなら‘あいつ’がピッタリだな」と、すぐに紹介してもらえることになりました。
紹介してくださった方は生物的には男性になるのでしょうか?
「いや~ん。男に間違って生まれてきたのよ♡家事全般得意ヨ、ヨロシクネ♡」
ハングル様の貞操は守られるのでしょうか……?募集するにあたってハングル様の名前は出さなかったのですが……。
彼(彼女?)の名前は源氏名でしょうか?フェアリアというらしい。
「フェアリアさん、これからよろしくお願いします。えーと、家の中でのことは他言無用という事でお願いします」
「もう、堅いわねぇ。えーっとマリィさん?」
「年齢も近いようですし、『マリィ』でいいわよ」
「それじゃあ私のことも『フェアリア』って呼んでね?長いかしら?うーん『リア』って呼んでね♡」
「もう一人同居している人がいるんだけど……彼の事は他言無用。絶対よ!」
「わかったワ!」
リアは神妙な顔で了承してくれた。
ハングル様の部屋に続くドアをノックする。
「私です。入りますよ?」
返事がない。ま、入ろう。入ってしまえ。
「マリィ?え~後ろの男性は誰~?」
「ぎゃ――!!!」
ハングル様と二人、鼓膜が破れるかと思った。
「本物なの?本物のハングル様?」
「えーっと、もう一人の同居人のハングル様よ。他言無用なのはわかった?」
「私の特権みたいで逆に嬉しいワ♡家事を頑張っちゃう♡」
「マリィ~?家事をしてくれるのは彼なの?」
「間違って男に生まれてきたのよ(自称)。フェアリアさん。『リア』って呼んであげて」
「わかった~」
ハングル様はマイペースな様子。私はハングル様の貞操を気にしてるのに、ハングル様は気にしていらっしゃらない様子。
リアにハングル様が王子(王位継承権は第何位なのか忘れたけど)だって伝えたほうがいいかなぁ?
「えーっとねぇリア?リアっ?」
リアはハングル様を凝視していた。
「リアー!ハングル様の話なんだけど?」
「ハイ聞きます!」
変わり身速いな……。
「ハングル様は一応第何か忘れたけど、王子なのよね。リアル王子よ。本人全く気にしてないんだけどね。だいたい王位継承権第何位なのかもよくわかんないから」
「リアル王子……。ますます素敵♡」
「だから、このことは外部に漏らさないようにね!あと、舞台に関係してない時のハングル様はだいたいだらけてるから(幻滅するかな?)」
「私達だけが知るひ・み・つ♡ あー、今日の夕食何作ろうかしら~?」
「今日の夕食何~?」
「いや~ん。こんなやり取りも新婚さんみたいでドキドキしちゃう♡」
ジタクハカオスジョウタイニナッタ。
次の日、とりあえずハングル様の貞操は守られたみたい。ほっと一安心。
「リアはハングル様のどんな舞台が見たい?」
「え~?それはやっぱり王子様かなぁ?」
「ジャンルは?」
「恋愛もの一択!」
(ハングル様はあんまり好まない系だけど黙っておこう)
「歌が映えるもんね。舞台は?こないだは学園が舞台だったでしょ?」
「うーん、学園恋愛もいいけどぉ。そうだ!先生と生徒のイケナイ関係っていうのは?」
「ソレ…舞台で表現できるかな?」
「ハングル様は天才だもの、出来るわよ!」
「俺は無理だと思う」
「あ、おはようございます。起きたんですね。リア、ハングル様に朝食を用意してくれる?」
「わかったワ♡」
リアの意見は私も想像できない……。
そうだわ!ハングル様は歌もお上手だし。この考えならいけるかも!
「リアリア!ハングル様が学園で男版セイレーンみたいに歌で女生徒を魅了するってのは?」
「マリィ!なんて素敵なの!女生徒のみならず先生も含めましょうよ?」
「せっかくだから、リアが脚本を書いてみたら?」
「え~?私にできるかしら?でも、素敵なハングル様のためだもの。やってみるワ」
「その意気よ!」
うちの中に人気俳優と人気脚本家が……ってことになるのかなぁ?人気脚本家になるのかわかんないけど、男版セイレーンはかなりイイと思う。
この二人の女子(?)の様子をハングル様はバッチリ見ていた。
「俺が男版セイレーンねぇ。舞台で歌いまくるのか……。喉は大丈夫だろうか?」
********
「♪~~~~~♪」
「なんだよ、今日もあいつは噴水のそばで歌ってやがるな」
「あ、あそこにいるの。俺の婚約者!俺の婚約者まで手を出したのかよ?」
「心外ですね。手を出しているわけではないですよ。彼女が私の方へ近寄ってくるのです。貴方よりも魅力があるのでは?」
ハングル様が殴られる(演技で)と客席から「きゃーイヤー!」という声が!
「貴方の拳など効きませんよ」
「♪~~~~~♪」
傷が治る。
「ひぇーっ化け物―!!」
と男たちは逃げていく。
歌ったことで学園の女性がますます集まる。
が、逃げた男が化け物と騎士団に通報したことで、ハングル様は連行される。
ラストはセイレーンとして騎士団の庭で泡になって消えてしまう。
(消えないでー!!等の観客席からの叫び声とともに幕が下りる)
*********
「ハングル様!打ち上げに誘われていますけど、どうします?」
すでにダラダラしていて半分まぶたが降りている状態のハングル様が答える。
「疲れて眠いから帰る」
子供か!?職場の付き合いとかもあるんだけどなぁ。主人公だし、歌いまくって疲れてるのは事実で、翌日に酒焼けで上手く歌えませんとかシャレにならないから強く言えないな。どっちかというと、コンディションは最終日までキッチリして欲しいし。
打ち上げは最終日にしましょうよ?と私は舞台スタッフの皆様に連絡をした。
ここまでやってやっとこさ王家までハングル様の名声が伝わったらしい。ハングル様父(国王陛下)から召喚状が届いた。
ハングル様も私もリアも平民として生活しているから、断る余地はない!
初めて見る国王陛下はハングル様に似て、あ、逆かハングル様が国王陛下に似て、精悍な顔つきだった。リアは大興奮なのを我慢していた。ように見える。銀髪だった。瞳は青。ハングル様は髪の毛は父に似て、瞳は母に似ているのだろう。
「久しぶりだな。お前の活躍はついに私の耳にまで届くようになった」
「光栄なことです(面倒くさい。帰って昼寝したい)。」
私にはわかる!
ハングル様。言葉とはウラハラ、帰って昼寝したいとか絶対思ってるんでしょう?
「っていうか、今更、私に何の用ですか?王位なら私の上に兄上がたくさんいらっしゃるでしょう?まさかの全滅ではないでしょう?」
なんて恐ろしいことを言うんでしょうか。不敬ですけど、王子だから許される不敬でしょうか?
「いや、市井で有名になっている舞台俳優が王子だと分かってなぁ。とりあえず、顔の確認」
「しかしながら、第何番目の王子かはわからないのでしょう?それについては思うところもありますが、心のうちにしまっておきます」
多分、陛下が無計画に子供作り過ぎ!とかそんなことだろう。まぁ、気持ちはわかる。
「以上ですか?では、お暇して我々は帰らせていただきます」
本当に人物確認だけだった。陛下は一応子供の人相を覚えてるんだなぁ。ということは、第何番目の王子かもわかるんじゃ?謎の王家だなぁ。庶民とは一線を画すというか……。
とにかく、陛下にまでハングル様の名声が轟いていることがわかった。ハングル様の収入…もしかしたら、国の予算に近いかもなぁ。
多くの舞台の数をこなしてるのもあるけど、彼のギャラも爆上がりだし。そうなると、国としてはハングル様に国に所属して欲しいのかな?ハングル様の収入の何割かを国に収めてほしい…とか?
ハングル様はお金じゃなくて面白い役柄だったら、仕事OKしてるから、国に貢献とかはしたくないだろうなぁ。
と、思う私なのです。ハングル様は先ほどからずっと昼寝に勤しんでいます。明日からはまた違う公演なので、ゆっくりやすんでいただきたいものです。
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