暗殺者は異世界でスローライフ

satomi

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おーっとここに来てうちの養鶏場がというか、俺が国家反逆罪で訴えられたぞ。
なぜに?俺は反逆した覚えないけど?
ああ、俺の「王家も平民も差別しない」発言か?そんなので反逆罪ねぇ。安い国家だ。


「あのー、俺は反逆した覚えはないんですけど?」
「口を慎め平民!」
そっかぁ、俺は今平民なのか。
「貴殿を国家反逆罪の罪で死刑とする」
ほー、で?
「貴殿は「王家も平民も差別しない」という発言をしたそうで。これは明らかに国家反逆罪にあたる!」
そうかあ?

断首台に上がる。ボディーチェックされる。
「ああ、俺の体に触る怪我するよ?」
俺、暗殺業してた名残だなぁ。ついつい暗器を体中にしちゃうんだよな。こればっかりはクセだから。
「イテっ、こいつ何本体にナイフつけてるんだよ?」
俺も知らない。さて、そろそろこの茶番をやめるか。
「なあ、そこの貴族」
「なんだ?平民風情が!」
「年収はいくらだ?その10倍払おう。俺を見逃したらな」
「王家に逆らう事はできない」
「そうか?俺の養鶏場に来た奴らは全員城を去ってるんじゃないか?恐らく王家に嫌気がさして。年収の12倍」
男の手が緩んだのを俺は見逃さない。
「そうだよなぁ、信じてた王家に従って俺のところに来た男はタマを切り取られ、女は顔に傷つけられるんだもんな。あ、年収の15倍」
「マジでタマ切り取ったのか?」
「ああ。それは俺だって男だ。切り取りながら痛そーって思った。年収の18倍」
「わかったよ。交渉成立だ。王家よりもあんたの方が信用できそうだからな」
「そりゃどうも。今現金持ち合わせてないから、悪いんだけどうちの養鶏場まで来てくんない?」

こうして俺は養鶏場まで帰った。帰り際に懲りないなぁ、また落とし穴に落ちてる…。馬肉も最近飽きてきたんだよな。鍬をお借りしたご近所さんにおすそ分けで一頭丸々プレゼントしようか?
男だし、精肉工場まで引っ張って行って、ちょん切った。そして、遠くに放逐。
馬のプレゼントは非常に喜ばれた。
「馬なんて高級肉どうしたの?」
「偶然手に入ったんですけど、うちでは食べきれないので…」
という事にした。ただ飽きたんだけど…。


養鶏場まで来てくれた断首台の男は一連の様子を見ていたようだ。
「マジでちょん切ってるし。馬肉はご近所にプレゼント。王家より健全だ」
「言ったじゃん。王家なんてそうでもないって。あ、言ってないか。王族は下のものはどうでもいいんだよ、自分たちが良ければな。それに比べれば俺らなんて、健全健全!」

「あ、金な。ちょっと待ってて」
俺は米の貯蔵庫から男の年収の18倍の金額を渡した。
「そうだなぁ。お前もその金持って他の国にズラかる方がいいかもな」
「俺もそう思ったところだ。あの王家じゃ長く続かないだろう。とりあえず、家族つれて隣国にでも行くよ」
「おう、じゃーな」
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