暗殺者は異世界でスローライフ

satomi

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満員御礼という感じで、俺の養鶏場は繁盛していた。ただし、このままだと聖女がここにいることがバレてしまう。

対面販売はサグルに任せてある。ここに聖女がいることは絶対に口外しないようにと口を酸っぱく言っている。

「ここは卵も美味いんだよね」
「有精卵だし、鶏を放牧飼育しているからでしょうか?」
「放牧飼育?鶏を盗もうとする輩とかいるんじゃないか?」
「それはなぜか牧場主が100発100中見つけるんですよねー。今のところ被害ないですよ?」
「鶏の数を把握しているのか?」
「そのようです。僕のような未熟者にはできないですけど、師匠はそのようにしているようですよ」
「ふーん…」


その日の夜、日中サグルが接客した客が愚かにも鶏泥棒を試みた。
ユウジは気配で目が覚め、自らの気配を消してターゲットに近づいた。
「俺の牧場から鶏を盗んでどうするんだ?」
日中の客の首には血抜きで使うナイフがあてられ、ひんやりとした感覚がする。
「盗むなんて誤解ですよ。私を攻撃してきたから、逆に…正当防衛です!」
「鶏ってだけあって。鳥目なんだわ、こいつら。夜に攻撃を鶏の方から仕掛けるというのはおかしい。夜は寝てますからね」
こうして鶏泥棒は捕まった。夜に動いたユウジは昼間眠かった。働いたけど。経理。
数字がダブって見えてかなりヤバかった。

それからというもの、鶏泥棒は来なかった。

平和なのは素晴らしい!
毎日、目覚めると聖女の力で卵を回収。俺達が必要なのは朝食で食べる卵が3つあれば十分だ。卵は一日一人1個って言われてたしなっ。
その後は、俺と聖女(聞いた名前はカオリ。偽名かもしれない。名前的に転生者か?)は鶏の肉をなんとかする。今日の予約を確認。そののち〆る。
サグルは接客、ホントにくれぐれもここに聖女がいることは隠すようにと言っている。


サグルは恐ろしいミスをした…。ここ最近うちの養鶏場が好調なのは俺が嫁をもらったからだと言った。嘘はいかんよ、嘘は。
うーん、カオリを嫁扱いにするか。夫婦的な事は一切しない。ただご近所(あぁ地平線の果てかな?)さんとかにはそのように伝えるのがいいかな?

「サグルー。隠すのはいいけど、嘘はいかんよ」
「難易度高いっすね」
「努力をしろ。頭をフル回転して接客をするんだ。卵だって、いきなり100個ほしいとか言われても「無理です」って答えるだろ?肉も完全予約販売になってるからいいけど、無茶ぶりする連中ってどこにでもいるからなぁ」


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