暗殺者は異世界でスローライフ

satomi

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「まず、うちが売るのは卵だが取るのは地球の養鶏場のような感じではない。放牧で鶏を育てているからな。土地のどこに卵があるのかはわからない。また、取りすぎてもいけない。次の世代を作らないてはならないので、その加減が難しい。当然有精卵だ。
 次に肉だが俺には愛用のナイフがあるんだが、精肉において一番大事なのは血抜きだ。上手く血抜きをした肉は美味い。鶏のこの部分をサッと切るわけだな。で、一気に血を出す。あ、きちんと精肉工場があるからな。ここ。そこらへんで血の匂いを漂わせてるわけにいかないからな。今までは若い雄鶏>雄鶏>卵を産まなくなった雌鶏 の順で値段を決めていたが、サグルの血抜き技術だなぁ。どんなもんかで値段を決めよう。肉は完全予約制。一見さんのみ肉をその場で売る」
そんな感じかなぁ?
「奥が深いですね。僕もナイフを持っていればいいんですけど」
普通は持ってないから…。
「放牧スタイルだから、結構毎日が鶏との戦いだぞ?」
「はい」
「目はガードするようにな。目ばっかりは治せないから」

毎日痛い。これも慣れるしかないんだよなぁ。

翌日。今日も人を拾った。カミサマの差し金か?

その女の子が言うには自分は‘聖女’という職業(?)らしい。
とりあえず、日々の養鶏で傷ついた俺の傷を癒してもらった。

光が俺を覆う。さながら俺から後光がさしているようだ。違うんだけど。
光が消えると、俺が蓄えた(?)傷が治っていた。

その子は、自分はどこでもいいから匿ってほしいという事だ。
養鶏の仕事に役立つならここにおいてやると彼女に告げた。

「仕事内容はサグルに聞くように」と、俺はサグルに丸投げした。
癒し系の力が養鶏に役に立つのだろうか?
鶏との戦いによる傷は癒されるけど。

説明を聞き、彼女が大地に手を置く。採るべき卵のみが集まってくる。便利だ。
正直、放牧型なので卵を探して牧場の中をウロウロするのはかなり疲れる。しかも鶏との格闘付き。やつらの攻撃は突っつくだけにとどまらず、蹴る。鉤爪状態になっているので、かなりのダメージを受ける。

ダメージ回避のために厚着をすると、歩きまわる障害となる。暑いし、重い。薄着をすると、ダメージが大きくなる。結構厄介なのだ。

そんななので、彼女が卵を集めてくれたのは非常に役に立ったと言えよう。

精肉だが、普通の女なら「血抜きなんて見れない~」とか言いそうだが、ガン見。
聖なる刃を用いて俺のナイフさばきをコピーした。
よって、今の彼女の地位はサグルよりも上ということになった。

サグルには接客を頑張ってもらいたい。


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