僕達の恋は運命だと信じたい

ひな

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17話

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「結婚式の準備進んでいるのか?」
「1週間後に簡単な式挙げるつもりなんだけど、ムービーで流す写真決まんねーのよ。スマホに写真入れてるから一緒に選んでくんね?」
「いいよ。ほら、歩美も一緒に選んであげよう?」
「しょうがないな。」

 三人でまだあどけなさが残る僕達を見た。

「これ、三人で行った夏祭りの写真!」

 二人の時しかスキンシップをしない彼女が興奮のあまり僕の手を握ってくる。
ー これ、告白する前の写真か。この時はまさか付き合えるなんて思っていなかったな。

「懐かしいな。」

 僕と歩美がお互いの顔を見て、昔を懐かしむように笑い合う。

「明後日、その祭りあるみたいだぜ。二人で行ってこいよ!」

 勧められた僕達は満場一致で祭りに行くことにした。

 帰りの車の中で鼻歌を歌う彼女。

「明日、楽しみだね!」

ー あの浴衣、二人ともアパートに引っ越す時に持って行ってたよな。

「あの時着ていた浴衣、明日着ない?」
「ナイスアイデア!」

 ハイテンションで答える彼女は思い過ごしかもしれないけど、何かを隠しているみたいだ。

 家に帰ってから明日着ていく浴衣を試しに着てみる。

「どう?似合う?」

 微笑みながら尋ねてきたがそれとは裏腹に当時は純粋に綺麗だと思っていたが、今はうすいピンクの浴衣をきた姿はどこか切なくて、消えていきそうな、儚い散りゆく桜のようだ。

「. . . 似合ってる。」
「なんで泣きそうな顔してるの?そんなに綺麗だった?」
「うん。綺麗すぎてさ。」
「やっぱり!」
 
 普段なら僕の気持ちを察知するはずなのに、気づいていないフリをする彼女を見てもっと切ない気持ちになっていく。

「翔もかっこいいよ、すごく。」
「ありがとう。」
「よし!じゃあ明日のために早く寝よう。」

 その夜、眠りについた僕は不思議な夢を見る。

「あなた、幻の花咲きましたよ。」

 見たこともないぐらい綺麗な白い花をお墓の前に置いて手を合わせる浴衣を着た女性がいた。

「来世でもちゃんと私達巡り会えますように。」

 そう祈ると花が消えていく。
 そして、女性がこちらを振り返ろうとすると目が覚めた。

ー あの女性の横顔、歩美そっくりだったな。

 目を覚ました僕はなぜか泣いている。

ー なんで僕泣いているの?

 考えれば考えるほど意味が分からなくて、考えるのをやめた。
 そして寝息をたてている彼女の背中を抱きしめて眠りについた。








 
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