僕達の恋は運命だと信じたい

ひな

文字の大きさ
上 下
2 / 26

2話

しおりを挟む
 職場に着くや否や、店のドアまで駆け足で行く。

「翔さん!何してんですか?」

たった一人のアルバイト店員である莉緒ちゃんが睨んできた。
 生活指導の先生が遅刻をしてきた生徒を校門前で待ち構えているかのように。

「ごめん。ごめん。」
「ごめんって、謝れば済むと思っているでしょ!」
「ちょっとは思ってるかも。」
「もう!私、机拭いたりするんで、翔さんは仕込みしてください。」

ー この子、怒らしたら怖いんだよな。
 これ以上怒らせないように急いで準備をし、9時ぴったりにお店をオープンさせた。
 今日も先代の時からの常連さんが来てくれて、気がつくと営業時間が終了し、店の片づけを終えた莉緒ちゃんと入れ違いで腐れ縁の梓が入ってきた。
「よ!しょーやん、久しぶりだな。」
「梓、もう閉店しちゃってるけど。」
「細かいことはいいじゃねーか。どうせ、今日もお客さん少なかったんだろ?」

 不満そうな顔をして、皮肉口を叩かれながらもいつものように冷蔵庫から冷えたビールを取り出す。

「どうぞ。」
「おう。ありがとさん。」

 缶を渡した時に手に違和感を覚え、手を注視していると

「これか?俺結婚するんだよね。」

 左の薬指がゴールドに輝いているのを、これ見よがしに自慢しながら伝えてきた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

十年目の離婚

杉本凪咲
恋愛
結婚十年目。 夫は離婚を切り出しました。 愛人と、その子供と、一緒に暮らしたいからと。

貴方の事なんて大嫌い!

柊 月
恋愛
ティリアーナには想い人がいる。 しかし彼が彼女に向けた言葉は残酷だった。 これは不器用で素直じゃない2人の物語。

〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。

藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった…… 結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。 ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。 愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。 *設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 *全16話で完結になります。 *番外編、追加しました。

【完結】愛も信頼も壊れて消えた

miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」 王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。 無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。 だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。 婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。 私は彼の事が好きだった。 優しい人だと思っていた。 だけど───。 彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。 ※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。

【完結】忘れてください

仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
愛していた。 貴方はそうでないと知りながら、私は貴方だけを愛していた。 夫の恋人に子供ができたと教えられても、私は貴方との未来を信じていたのに。 貴方から離婚届を渡されて、私の心は粉々に砕け散った。 もういいの。 私は貴方を解放する覚悟を決めた。 貴方が気づいていない小さな鼓動を守りながら、ここを離れます。 私の事は忘れてください。 ※6月26日初回完結  7月12日2回目完結しました。 お読みいただきありがとうございます。

【完結】貴方の望み通りに・・・

kana
恋愛
どんなに貴方を望んでも どんなに貴方を見つめても どんなに貴方を思っても だから、 もう貴方を望まない もう貴方を見つめない もう貴方のことは忘れる さようなら

第二王子妃教育を受けていたけど、婚約破棄された~浮気も酷いし、仕事も押し付けるしで清々しています~

マルローネ
恋愛
侯爵令嬢のルリア・ヴェールは、第二王子殿下と婚約し教育を受けていた。立派な第二王子妃となる為に。 しかし、第二王子殿下のガストは部屋に別の女性を連れ込み、浮気三昧。 さらには自分の書類仕事までルリアに押し付ける始末だった。 ある日、ルリアはそのことを注意するが、彼の逆鱗に触れ、婚約破棄をされてしまう。 ルリアとしても彼にはうんざりしていただけに、清々する結果だった。 その後、ガストは浮気三昧の結果、自分の子供がたくさん出来てしまい……パニックになる。 国王陛下に知られれば大変だと、ルリアに助けを求めて来るが……その時のルリアは幼馴染の公爵との婚約で忙しかった。邪魔しないでもらえますか? と第二王子殿下のガストを一蹴する。 王族がパニックになっている中、彼女は思う……やはり、優先すべきは愛情なのだと。

ずぶ濡れで帰ったら彼氏が浮気してました

宵闇 月
恋愛
突然の雨にずぶ濡れになって帰ったら彼氏が知らない女の子とお風呂に入ってました。 ーーそれではお幸せに。 以前書いていたお話です。 投稿するか悩んでそのままにしていたお話ですが、折角書いたのでやはり投稿しようかと… 十話完結で既に書き終えてます。

処理中です...