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なんだか噛み合ってない?

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「はーい、失礼しまーす。
お二方はそこから出ないでねー。」


私は木のウロの前に立つと注意を促した。
二人が外にいるよりも守りやすいからね!




「えっ、あの、貴女は···?」


若葉色の髪を後ろにまとめた少年?が私に声をかけた。
多分彼がアシッダール王国のリョクア・アシッダール第二王子。
てことは、そのとなりの明るい若菜色の子がシュカナ・アシッダール第三王女かな。


「私はアズライト国皇から要請を受けて参ったものです。
とりあえずお二人はそこから出ないでくださいねー。
賊を片付けてからゆっくりお話したいので。」


「なめんじゃねーぞ!
たかが女のガキじゃねーか!!」


「誰がガキだって!?私はこれでも元娼婦だー!!」


私は私をガキ呼ばわりした賊の一人に目一杯力をこめて拳大の石を投げつけた。


「ぐはっ!」


石が当たった賊は胃の中身を吐き出しながら前のめりに倒れた。
鳩尾辺りに当たるようにコントロールはしたので死ぬことはない、···おそらくは。


「なにやってんだ情けねぇ。」


「おい、大丈夫か!?
ダメだ、意識がねえ。なんちゅう馬鹿力だ!」


なんかいっぱい集まってきたなぁ。
久しぶりの戦闘だから少し多い位がちょうど良いけれど···。


とりあえず、私を囲んだ賊の人数をおおざっぱに数える。



···全部で約20人くらいか。
思ったよりはいないな。久しぶりだからおもいっきり暴れたかったのに。


つい肩を落としてため息をつけば賊たちはニタニタと笑い始めた。
私が人数に圧倒されたと思ったのだろうか。


「ははっ、今さら怖くなってももう遅いぞ。」


「まさか、俺たちの邪魔をしてくるやつがいるとは思わなかったけれどな。」


「まぁ、万が一に俺たちを全員倒すことが出来ても先に進んだやつらがいるからな、無事に帰ることはできないだろうよ。」


「えっ、まだいるの!?」


私はつい目を輝かせて反応してしまった。
こいつらを倒してもおかわりがあるなんてなんと素晴らしいことだろう!!


「ふんっ、そうだ。先にはまだ15人仲間がいるんだ。
逃げれるなんて思うなよ。
そもそも、俺たちだけで襲いかかってもお前なんかひとたまりもないけどな。」


「···15人。」



···少ない、詐欺だ。



「だから、降伏するなら今だぞ。
そこの二人を渡せばお前は俺たちが飼ってやる。
毎日、気持ちよくしてやるからよ。」


「そんな、···15人しかいないなんて。」


「そうだ。15人しか···、え?」


「なんだか話が噛み合ってない···?」


後ろの王子から困惑する声が聞こえたが気にしない。


とにかく、あんまり楽しめないことはわかったし、時間を割きすぎれば騎士隊が到着して久しぶりの獲物を横取りされてしまう。


「いいや、早く終わらせよ。」


私は腰に提げた剣を抜いて地面に線を引いた。
昔、野獣討伐の時によくやっていた癖。
線を敵に越えられてしまったら自分に罰を与えるのだ。


「今回の罰は、『3日間姫さまのいたずらにかかり続ける』にしよう。
うーん、我ながら厳しい罰。」


「何言ってんだガキが!
バカにしていられるのも今のうちだ!
お前ら、やるぞ。殺してもかまわねぇ!」


賊が怒号とともに一斉に襲いかかってくる。
いい大人が少女一人によってたかって恥ずかしくないのだろうか。
そう思いつつ私は剣を構えた。













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