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素通りが大事

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「はーなーしーてー!!リーナ!!はなしてってばー!!」





お城の裏手にあるひだまり宮にて、ラベンダー色の長い髪をブンブン揺らしてエバーグリーンの瞳をうるうるさせながらバタバタと暴れる美少女は、今現在私の肩に担がれるかたちで運ばれていた。



「私はこの国の皇族なのよー!!
皇女よ!第一皇女!!無礼なのよー!!」



そう、この担がれた美少女はこの国の第一皇女フィオリアーネ様。

私の主人です。

かくいう私は彼女の専属護衛に任命された元娼婦のリーナ・カチェスです。




「ねぇ!聞いてるの!?無礼よ!!
はなしてってばー!!」


肩の上で暴れる主人、しかし、私はどこ吹く風で無視します。


「リーナ!!リーナ!!おねがい、ごめんなさい、もうしないから!!」


皇族がそう簡単に謝ってもいいのか?とか思うのはもうだいぶ昔にやめました。
とりあえず、無視。無視が一番正しい。

なんなら私たちとすれ違う侍女さんや従者さん、文官さんや騎士さんまでもが、またか、という同情の視線を私に向けながらも会釈して素通り。

宮の主である第一皇女が肩に担がれてるが気にした様子もなく姫さまに会釈して素通り。

たまに「あっ。」と反応する新人さんもいるが先輩っぽい人に「気にしちゃダメ。」と指導され会釈して素通り。





「なんで誰も止めないのよー!
皇女が肩に担がれてるのよー!?ねぇ!!」





皇女に助けを求めらても会釈して素通り。
素晴らしい団結力を持つひだまり宮の方々。





そもそも、なぜこのような状態になったのか、それは私が姫さまにつかえるようになった3ヶ月前にさかのぼる。





しかし、3ヶ月前までさかのぼると話がいつ現在に戻るか分からないので本日姫さまが起こした問題を説明しましょう。










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