大魔王の娘に転生したのはいいが、何故か幼なじみたちが勇者として現れた

ジャム

城を出て３日、私はひさびさのベッドに倒れ込むとすぐに夢の中に吸い込まれた。
目が覚めると、いい匂いがしてドアを開くとグレンさんが料理をしていた。

「あ、起きた？
もう少しでできるから座ってなよ。」
「いえ、私も手伝います。」
「え？あ、じゃあ、皿、あーうん、お皿をテーブルに運んでくれる？」
驚いた顔をしたあと、グレンさんが指示を出してくれた。
······一体、なんなんだろ。

「クルア姫、ついでにコップも······って出てるし···。」
「はい、スプーンとフォークも出しておきました。」
まあ、前世で母さんの手伝いくらいはやってたしね。
「クルア姫って、本当にお姫様？」
「どういう意味ですか？」
「いや、そのまんまの意味だけど···。」
わけのわからない不毛なやり取りをしたあと、私たちはひさびさの暖かな食事にありついた。

内容は、パンと目玉焼きとサラダと野菜スープというシンプルなものだったけれど、移動中に比べればかなりのごちそうだった。
「グレンさんって料理できるんですね。」
「まぁ、親父が料理できないから必然的にね。
意外だった？」
「ええ。」
私がうなずくと、グレンさんはパンっと手を叩いた。
「あ、そうそう、親父と言えば棚に木苺のジャムが残ってるんだった。」
えーと、どういう流れでジャムを思い出したんだ、この人は。

「前に親父が突然木苺を山のように持ってきて、

「ジャムが食べたい」

って言ったから作ってやったんだ。」

そう言って、半分くらい赤いジャムが入った手のひらサイズのビンを持ってきた。
てか、食べたいって言われたから作るとか、何？
主婦なの？女子力高すぎかよ。