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暗闇
しおりを挟む真っ暗な闇の中。
むき出しの岩肌から雫が落ちる音が響く。
少し動くと鎖が地面に擦れジャラジャラと鳴る。
どれくらいここにいるのかわからない。
もう、ずっと昔からここにいるのかも。
あの日、私は魔力を暴走させたらしい。
ステラ様に向かって。
でも、そこにナルサさんが割って入った。
彼女の防御魔法のおかげでステラ様は擦り傷と痣ですんだみたいだった。
しかし、ステラ様をかばったナルサさんは重症だった。
あのとき息をしていたのが不思議なくらい。
私は、大魔王の妻に攻撃をしかけた罪人として、地下牢に入れられ、鎖に繋がれた。
「···ナルサさん···。」
掠れた声で師匠の名前を口にする。
あのとき正気に戻ったのはぼろぼろなナルサさんの姿を見たからだった。
はじめは何が起きたのかよくわからなかった。
気が付いたら、ナルサさんがぼろぼろになっていて、ステラ様が怯えた目でこちらを見ていて···
でも次の瞬間には記憶がなだれ込んできて···
「···私、ほんとどうしちゃったんだろう。」
泣きたくなった。
わけがわからない、どうしてあんなことに···。
でも、やっぱりやったのは私。
だから、どんなに泣きたくても私には泣く資格はない。
私は膝を抱え込んでただ俯いて泣きたい気持ちをやり過ごした。
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