大魔王の娘に転生したのはいいが、何故か幼なじみたちが勇者として現れた

弥刀咲 夕子

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「···?クルア姫?どうしたの?」

私の隣に立つクルア姫の様子がおかしい。
「ねぇ、聞こえてる?クルア姫!?」
突然、うつむいた彼女が頭を抱え始めた。

「クルアちゃん?クルアちゃんどうしたの?」
ステラもクルア姫に声をかけた。
すると、彼女はステラを見た。
見たっていうより睨んだって言った方が当たっているかもしれない。
「ちょっと、どうして睨むの?
ねぇ、クルアちゃんどうしたの?
ナルサ様、やっぱりクルアちゃんになんかしたんでしょう!
だから、クルアちゃんが苦しんでいるのよ!
やっぱり、早く帰りましょう。
こんなところにいたら、なにされるか···きゃっ!」
クルア姫が自分の腕を掴んだステラの手を振りほどいた。
「···て。」
「クルア姫?どうした······っ!!危ないっ!!!!」
私がとっさにステラをかばった瞬間、彼女の中の魔力が爆発するように私達に襲いかかった。

「お前なんか、消えてしまえ!!!!」

それを言ったクルア姫は私が知ってるクルア姫じゃないと思った。
いつもよりもドスのきいた低い声。
険しい顔をして、まるで、前に彼女が語ってくれた、『鬼』みたいな···。

とにかく、防御魔法は張ったけれど何せ私なんかよりも数十倍彼女の方が魔力量が多い。
結界の隙間から殺意の篭った魔力が入り込んでくる。

これは、私、死んだかも···




「な、···るさ···、あの、子を守って···。」
暗闇に見えたのは、彼女の最後。
「···クシャーナ、私じゃあの子を守れないよ。」
そう、ダメだったよ。
やっぱり、会わせるんじゃなかった。
「···おね、がい···ね。」
「ダメなの。
私は、また間違えてしまったんだ。
それに、私はもう···」
これが世にいう走馬灯と言うものなら、私はもう、死んだんだよ。
「ねぇ、クシャーナ、どうして死んじゃったのさ。
あの子、君が死んでから大変だったんだよ。
ときどき、追い詰められたような顔するんだ。
君がいれば、あの子は幸せだったのに。
君はあのとき、何をしてでも生きるべきだったよ!」
徐々にクシャーナの影が闇に飲まれて消えていく。
お願い、という彼女の声も消えていく。
「クシャーナ、戻ってきて!!」
私は影に手を伸ばし叫んだ。
私じゃダメなの、私一人じゃ。
いつも手遅れ、失敗して、後悔して、ダメなんだよ···。



「ナルサ、あなただからまかせられる。
大丈夫よ、だってあなたは私の一番の親友だもの。」





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