63 / 84
新しい···
しおりを挟む
「クルア様、大魔王様がお呼びです。」
城に戻るとワートンさんが言った。
「はい、ありがとうございます。」
言伝てを伝えたワートンさんはそそくさと去っていく。
そういえば、ワートンさんは最近なんだか冷たい感じがするなぁ。
宰相って忙しいのかな。
なんて思いながら、父様が待つ執務室に向かう。
「父様、クルアです。」
とりあえず、ノックして名前を名乗ってみる。
「失礼します。······え。」
部屋の中には父様と、
「···いつぞやのおっかないおば···お姉さん···。」
「今、おばさんって言いかけなかった?」
そう、いつぞやの押し掛けお姉さんが二人がけのソファーに隣同士で座っていた。
確か名前は···
「ステラよ。
これからよろしくね、クルアちゃん。」
満面の笑みで自己紹介ありがとうございます···。
彼女の笑みに寒気が走る。
···どういうことでしょうか、父様。
私は話についていけずに困惑の表情を父様に向けた。
「今日から、一緒に暮らすお前の新しいお母様になる。」
淡々と簡単な説明ありがとうございます···
──じゃないよぉっ!!!
「父様、どういうことでしょうか。」
「今、説明した通りだ。」
なんだか、抑揚なく淡々と言う父様にカチンときてしまった。
「こんな簡単な説明で納得出来るほど私の頭は良くできていません。
第一、どうして何も言っては下さらなかったのですか。
いくらなんでも急すぎます。
きちんとした説明もなしに私は嫌です。」
「クルアちゃん、父様に反論はいけないわ?
それに、もう決まったことだから。」
──あんたは黙ってろ!!!!──
という言葉は飲み込んだ。
「ステラ様は黙っていてください。
私は父様に聞いているのです。」
「あら、照れているのかしら?
私のことは『お母様』でいいわ。」
ふふっ、とステラさんは笑うがなぜそう言う解釈になったのかは知らない。
分かりたくもない。
「遠慮させていただきます。
私にとって『お母様』は『クシャーナ・メーガンただ一人』ですから。」
そう、あの少し天然で変だけど誰よりも綺麗で優しいお母様意外に私のお母様はいない。
私は、父様もそうだと思っていたのに···。
それなのに···
「クルア、クシャーナのことはもう忘れるんだ。
彼女は殺されたのだから、もういないのだから。」
こんな、こんなこという人はもう私の知ってる父様じゃない。
「私の知ってる父様はお母様のこと忘れろなんて言わない、貴方は、誰なの?!!」
城に戻るとワートンさんが言った。
「はい、ありがとうございます。」
言伝てを伝えたワートンさんはそそくさと去っていく。
そういえば、ワートンさんは最近なんだか冷たい感じがするなぁ。
宰相って忙しいのかな。
なんて思いながら、父様が待つ執務室に向かう。
「父様、クルアです。」
とりあえず、ノックして名前を名乗ってみる。
「失礼します。······え。」
部屋の中には父様と、
「···いつぞやのおっかないおば···お姉さん···。」
「今、おばさんって言いかけなかった?」
そう、いつぞやの押し掛けお姉さんが二人がけのソファーに隣同士で座っていた。
確か名前は···
「ステラよ。
これからよろしくね、クルアちゃん。」
満面の笑みで自己紹介ありがとうございます···。
彼女の笑みに寒気が走る。
···どういうことでしょうか、父様。
私は話についていけずに困惑の表情を父様に向けた。
「今日から、一緒に暮らすお前の新しいお母様になる。」
淡々と簡単な説明ありがとうございます···
──じゃないよぉっ!!!
「父様、どういうことでしょうか。」
「今、説明した通りだ。」
なんだか、抑揚なく淡々と言う父様にカチンときてしまった。
「こんな簡単な説明で納得出来るほど私の頭は良くできていません。
第一、どうして何も言っては下さらなかったのですか。
いくらなんでも急すぎます。
きちんとした説明もなしに私は嫌です。」
「クルアちゃん、父様に反論はいけないわ?
それに、もう決まったことだから。」
──あんたは黙ってろ!!!!──
という言葉は飲み込んだ。
「ステラ様は黙っていてください。
私は父様に聞いているのです。」
「あら、照れているのかしら?
私のことは『お母様』でいいわ。」
ふふっ、とステラさんは笑うがなぜそう言う解釈になったのかは知らない。
分かりたくもない。
「遠慮させていただきます。
私にとって『お母様』は『クシャーナ・メーガンただ一人』ですから。」
そう、あの少し天然で変だけど誰よりも綺麗で優しいお母様意外に私のお母様はいない。
私は、父様もそうだと思っていたのに···。
それなのに···
「クルア、クシャーナのことはもう忘れるんだ。
彼女は殺されたのだから、もういないのだから。」
こんな、こんなこという人はもう私の知ってる父様じゃない。
「私の知ってる父様はお母様のこと忘れろなんて言わない、貴方は、誰なの?!!」
0
お気に入りに追加
54
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
魔境へ追放された公爵令息のチート領地開拓 〜動く屋敷でもふもふ達とスローライフ!〜
西園寺わかば🌱
ファンタジー
公爵家に生まれたエリクは転生者である。
4歳の頃、前世の記憶が戻って以降、知識無双していた彼は気づいたら不自由極まりない生活を送るようになっていた。
そんな彼はある日、追放される。
「よっし。やっと追放だ。」
自由を手に入れたぶっ飛んび少年エリクが、ドラゴンやフェンリルたちと気ままに旅先を決めるという物語。
- この話はフィクションです。
- カクヨム様でも連載しています。
貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する
美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」
御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。
ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。
✳︎不定期更新です。
21/12/17 1巻発売!
22/05/25 2巻発売!
コミカライズ決定!
20/11/19 HOTランキング1位
ありがとうございます!
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。


特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる