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おかしい···

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父様が最近おかしい···。

朝は毎日一緒にご飯を食べて、嫌と言うほど1日の予定を細かく聞かれていたのに、最近は別々に食べていることの方が多い。
ご飯中は何も聞かれないし。
そして、体術の修行も邪魔が入らずにとてもスムーズに進んでいる。

おかしい、何故かおかしい。

私ことクルアはただいま自室で机に突っ伏して考え事をしております。
だって、あの父様があの親バカ父様が最近静かすぎる···!!

···ん、いや、もしかして今までがおかしかったのか?

腕を組んでよく考えてみる。
前世、お父さんは私に対してどうだったっけ。
朝は挨拶だけして、後は新聞を読んでいた。
私に話しかけるときは大抵用があるとき。
小さい頃はよく遊んでいたけれど、大きくなるにつれて互いに会話も少なくなった。
つまり、

···やっぱり今までがおかしかったのか!!!!

「あー、なんだそういうことだったのか。
父様は今までのおかしさに気付いただけだったのか。
チョースッキリしたぁ!」
私は両手を上げて伸びた。
·······って、

「うわぁぁーー!!!!」

──ガターン!!

伸びた時にのけ反りすぎて椅子が後ろに倒れてしまった。
とりあえず、起き上がって椅子をもとに戻す。
ふと、部屋のすみに目をやる。
そこは、ノアの檻が置いてあった場所。

もう、10年···。

ノアは処刑された。
襲撃した人間の中に父親がいたから。
私を身を呈して庇ってくれたのに。
私は、彼女を守ることが出来なかった。

「ごめんなさい、ノア。」

檻が置いてあった場所に向けて言葉を発してみる。
が、何もかえっては来ない。
当たり前だけれど。
「···そりゃ、そうよね。」
ため息を吐いて椅子に座り直した。

──謝るくらいなら、次はちゃんと守って。

「ノア···?」

ふいに、ノアの声が聞こえた気がした。
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