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side木霊 たま、同士

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散々私たちのことについて話し合った結果、とりあえず魔力量ってのを見て決めるようにしたようだった。
帰してくれるって選択肢はないみたい。

「では、一人ずつこの玉に触れてください。」
側近の人が、ボウリングの玉位の大きさの紺色の玉を持ってきて言った。

···そろそろ、この人の名前が知りたい。

「誰からいく?」

「『玉』ってことでたまからいってみれば?」

「いや意味分かんないよ、れーこ!」

「じゃあ、ちー?」

「れ、れーこは?」

「私はよく分からないものに触りたくないから最後!」

「「ずるい!!」」

三人で討論した結果、じゃんけんで決めることになった。

「「じゃーんけーん···」」

「···結局私からかい!!」
はい、負けました。
「やっぱり、たま同士引かれあってるのね。」
と笑うのはれーこ。
「私、木霊だから!!
玉って漢字は入ってないから!!」

「では、コダマ様。
こちらに触れてください。」

私は言われたとおり手を触れた。
すると、触れた部分から淡く光始めた。
そのうち光はだんだん強くなり、眩しいくらいだった。

「そこまでで大丈夫です。」
側近の人が言ったから、私は手を離した。
「さすが、勇者に選ばれただけあります。
魔族並みの魔力量です。」
ジードさんが興奮しながら言った。

次はれーこが玉に触れた。
れーこの光も私と同じくらいだったけれど、心なしか青かった。
ジードさん曰く、氷魔法の適性があるらしかった。
さすが、氷の女王。

最後は、ちーだ。
恐る恐る触れると、私たちの時と違いものすごく光った。
淡いなんて時間無かったんじゃないかな。
黄緑色に光っていた。
どうやら、相当な魔力量と治癒魔法の適性があったみたい。

······って、私だけ適性無いじゃん!!

とにかく、こうして私たちはいきなり召喚され、ほぼ強制的に勇者として修行することになってしまったのだった。───

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