大魔王の娘に転生したのはいいが、何故か幼なじみたちが勇者として現れた

弥刀咲 夕子

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上司なのに

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──ふぇっくし!!

クルアとグレンが話している頃、大きなくしゃみをしたのは大魔王ことアルディアス。
「大魔王様、大丈夫ですか?」
声をかけたのは久しぶりの登場ワートン。

「体調には気をつけてください。
あなたは魔界を束ねる王なのですから。
手洗いうがいはしっかりしているのですか?」
「あ、あぁ。」

─なんか、たまにこいつおかんっぽいんだよな···。

「今日は、早めにお休みいただけるよう手配致します。
ここは、戦争の前線地ですから体調を崩されても『迷惑』なので。」
「はっきり言い過ぎじゃない!?
俺、大魔王だよ?仮にも君の上司だよ!?」
「大魔王でも上司でも、動けなくなられたら『お荷物』にしかなりませんから。」
「···。」
あまりにもはっきり言うワートンにアルディアスが打ちひしがれた。

「───失礼致します。······?」

テントに入ったリリアンヌがワートンを前にして大魔王が打ちひしがれるという異様な光景に首をかしげた。
「あぁ、リリアンヌ殿。
気になさらないでください。」
「···、わかりましたわ。」
─まったく、昔から変わらないのよね···。


「それよりも、どのようなご用件で?」
「はい、先程部下から勇者に関する情報が入りました。」
ワートンはアルディアスの方をみて、目で確認したあと、リリアンヌに続きを促した。
「続けてください。」
「はい。
勇者は三名、性別は女。」

「女?勇者なのにか?」

アルディアスがイメージしていた勇者は屈強な男だった。
「ええ、それも全員少女らしいです。
念のため、他の部下にも確認を取りましたが全員同じ報告でした。」
「少女か。
しかし、召喚されたということはそれだけの要素はあったということなのだろうな。」
「そうですね、油断はできません。」
アルディアスとリリアンヌはワートンの言葉にうなずいた。
「それと、アンチーズに不穏な動きが見られるようです。」
「アンチーズか···。
前から思っていたのだが、名前のセンスなくないか?」
「「···。」」
リリアンヌとワートンが冷たい目でアルディアスを見た。
「ごめんなさい。」
たまらず、アルディアスが謝罪した。

─上司なのに!!!(泣)

「とにかく、そちらの方も動きがありましたら報告をお願いします。」
「了解しました。」


「───別にそんなことする必要はないと思うがね。」


「「!!」」
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