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side玲奈 誕生日

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あれから2週間がたったのか。
早いような遅いような。
さくの遺体は破損が激しかったらしく顔さえ見れなかった。
トラックとビルに挟まれて圧死だなんて。
「れーこ、大丈夫?」
ちーが心配そうに私の顔を覗き込む。
「大丈夫よ。
それより今日は改まってどうしたの?」
私が聞くと、二人は言い出しにくそうにあー、とかうー、とか言い始めた。
「···えーと、実はね、今日さくの家に行こうと思うんだ。」
たまが切り出した。
「今日?」
「うん、だって今日は···」
あぁ、なるほど。
今日はさくの誕生日だから。
「いいわよ?行きましょ。
おばさまたちの邪魔にならなければだけれど。」
「うん、ありがとう。」
たまがほっとしたように言った。
「どうして、たまがお礼なんて言うの?」
「じゃ、じゃあ私が···」
「ちー、そういうことじゃないの。
二人が行くのに私が行かないわけないでしょ。
それとも、二人は私を仲間はずれにしたいの?」
冗談めかしく言ってみる。
「そうだね。それじゃ、行こうか。」
「うん。」
「えぇ。」
私たちは支度を終えて教室を出たのだった。
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