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死んだな
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私は動けなかった。
ノアが目の前で父親に殺されかけているのに。
「まったく、人間が魔族をかばうなんてなぁ。」
おじさんは他人事のように言った。
「ど、どうして···。どうしてノアを···」
「どうしてって言われてもなぁ。
ノアがお前を庇ったからこいつが切られただけだしな。」
どうして、だって家族じゃないの?
どうして、娘にそんなことができるの?
「意味がわかんねぇ、って顔してんな。
でも、俺はそれでもいいと思うぜ?」
おじさんがこちらに向かってくる。
「だってお前は──
死ぬんだからな。」
体が動かない。
避けなくちゃ殺されるのに。
おじさんは氷の斧を振り上げた。
わずかに残ったノアの血が斧が振られた勢いで飛び散る。
私は目をつぶることしか出来なくて、
あぁ、また私は死ぬんだな──
──ガキィンッ!!!
頭上で大きな音がした。
「お、···おじょ、さ、ま、···早く、にげ···て···。」
目を開いて見上げると、鎧が剣で斧を防いでいた。
「じ、侍女さん···。」
「早く、逃げて、ください。」
鎧がガタガタと音をたてていた。
これ以上力が加われば、すぐにバラバラになってしまいそうだ。
「そういえば、忘れていたなぁ。」
おじさんがニヤリと笑った。
─逃げなくちゃ!
逃げなくちゃいけない。
私はノアの元へ駆けた。
「ノア、ノア!!生きてるよね!?」
声をかけるとわずかに返事をするように手が動いた。
それを確認するとノアを背負って(といっても身長が足りなくて引きずるようになったが)とにかくその場から逃げようとした。
けど──
ガシャッガシャンッ!!!──
音のする方を見ると鎧がバラバラに崩れていた。
そして、
「逃げれると思うのか?」
目の前には斧を振り上げたおじさん。
─あー、これは死んだな。
ノアが目の前で父親に殺されかけているのに。
「まったく、人間が魔族をかばうなんてなぁ。」
おじさんは他人事のように言った。
「ど、どうして···。どうしてノアを···」
「どうしてって言われてもなぁ。
ノアがお前を庇ったからこいつが切られただけだしな。」
どうして、だって家族じゃないの?
どうして、娘にそんなことができるの?
「意味がわかんねぇ、って顔してんな。
でも、俺はそれでもいいと思うぜ?」
おじさんがこちらに向かってくる。
「だってお前は──
死ぬんだからな。」
体が動かない。
避けなくちゃ殺されるのに。
おじさんは氷の斧を振り上げた。
わずかに残ったノアの血が斧が振られた勢いで飛び散る。
私は目をつぶることしか出来なくて、
あぁ、また私は死ぬんだな──
──ガキィンッ!!!
頭上で大きな音がした。
「お、···おじょ、さ、ま、···早く、にげ···て···。」
目を開いて見上げると、鎧が剣で斧を防いでいた。
「じ、侍女さん···。」
「早く、逃げて、ください。」
鎧がガタガタと音をたてていた。
これ以上力が加われば、すぐにバラバラになってしまいそうだ。
「そういえば、忘れていたなぁ。」
おじさんがニヤリと笑った。
─逃げなくちゃ!
逃げなくちゃいけない。
私はノアの元へ駆けた。
「ノア、ノア!!生きてるよね!?」
声をかけるとわずかに返事をするように手が動いた。
それを確認するとノアを背負って(といっても身長が足りなくて引きずるようになったが)とにかくその場から逃げようとした。
けど──
ガシャッガシャンッ!!!──
音のする方を見ると鎧がバラバラに崩れていた。
そして、
「逃げれると思うのか?」
目の前には斧を振り上げたおじさん。
─あー、これは死んだな。
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