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仲良し

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その後、結局ナルサさんの実験動物のトカゲでメドゥーサの能力をためし、なんと使えてしまった。
そこで、メドゥーサの能力を使えないことにして魔法はたまにナルサさんのところで基礎から習うことになった。
「おかーさま、魔族はコツを覚えれば魔法を使えるんじゃなかったですか?」
「そんなこと言ったかしら?」
お母様がすごいスピードで目をそらした。
「はぁ、いくら魔族でも基礎からやっていかないと危ないよ。
詠唱がいらないのは基本的にもともとの魔力が多いから。
だから、その分魔法の暴発もしやすいんだ。」
─魔法···怖っ!!
私はお母様をジト目で見た。
「クルア、ごめんって!」
「まぁ、魔法を使わないからそれくらいの認識しか無かったんだし、許してあげなよ。
それから、人間はクルアちゃんの部屋に送れば良い?」
「はい。わざわざありがとうございます。」
「いやいや、魔法のことで来るときは言ってくれれば準備しとくよ。」
「それじゃ、クルア、そろそろおいとましましょうか。」
お母様が立ち上がった。
私もお母様に続いて立ち上がる。
「ナルサ、クルアのことこれからよろしくね。」
「承りました、女王陛下。」
ナルサさんが膝をついて言った。
「もう、やめてよ。慣れないから!」
「慣れなきゃダメでしょ。
まあいいや、次来るときはもっとゆっくりしていきなよ。」
「うん、そうする。」
─はじめは大人の女性と子供が同年代のようにしゃべっていて、変な光景だったけど二人は本当に仲が良いんだな。
私はお母様とナルサさんを見て思った。
と、同時に寂しくもなってしまった。
ここには私にとってのそんな相手はいないから。
─前世の記憶があるから余計寂しく感じるのかな。
**********
「お母様。」
「なあに?」
私は城の中に戻る途中お母様に声をかけた。
「私にもお母様とナルサさんみたいな関係の人ができるかな。」
「それは、お母様には分からないけれど、
クルアの人生だもの、クルアが思うように自分で開いて行けば良いと思うわ。」
─なんとなく聞いたのだが、壮大な答えが返ってきてしまった。
でも、お母様らしくていいか。
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