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ナルサ

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「やっと着いたわね。」
お母様がニコニコという横で娘の私はげっそりしていた。
「つ、着いたね···。」
なぜ私がここまで疲れているのか?
もちろん、塔の中を散々歩いたからだよ。
一度場所を教えてもらったからってお母様の方向音痴をなめてた。
反対側の三階上って言ってたのになぜか下ろうとするし、気付いたら同じ場所ぐるぐるしてるし。
話しながらがダメなのかと思って無言でいたら出入口まで戻ってるし···。
「ま、着いたからいいか···。」
─でも、かなり疲れた。私って体力が無いのかな。
ヘトヘトになった私はその場に倒れこんでしまった。
─お母様と誰かの話し声が聞こえる···、誰だろう?
私はゆっくり目を開いた。
「おや?目が覚めたようだね。いやー、びっくりしたよ。
扉を開けたらクシャーナが倒れた君を抱いて泣いてたんだから。」
私はふわふわのソファーに寝かされていた。
この声の主はテーブルを挟んだ向かいのソファーに座った少女、いや、幼女だった。
「だって、娘が突然倒れたらびっくりするでしょう?」
「それは、君がこの子を散々歩かせたからだろう?」
幼女がけらけら笑うと、腰まで伸びたふわふわの金髪がゆらゆら揺れた。
─なんだかさらさらでふわふわでさわり心地が良さそう。
「大丈夫?」
じっと見ていると、黄緑の目で私を覗きこんだ。
「だっ大丈夫です。ありがとうございます。」
─お人形みたい。かわいい。
私より少し上かなぁ。
「ごめんなさい、クルア。私のせいで無理させてしまって。」
「ううん、気にしなくて大丈夫。それよりこの人は?」
「この子はナルサ。小さいけどこう見えても私より年上なのよ。」
─···マジか。
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