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第3章 終局に向かって
第二十一話 思い、そして別れ
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どうしよう......
やっぱりここは、素直に君の事が好きだからちょっと気になって、って答えるか?
多分、俺はそれを言おうとしたら倒れるだろうな。
しかし、そんな事より早く答えなければ......
「えーと......まあ、リアンの事が落ち込んでいたから何か力になれないかな? って」
そういうとリアンは、ふうんっと何処か抜けた感じの返事をした。
まあ、いずれこの思いはリアンに伝えるとして今は素材集めをしないとな。
正直、自分でもヘタレだなっと思いはした。
俺は頭を切り替えて素材集めをすることにした。
その後も、色々リアンと話したりしながら俺は薬の材料を集めて、俺達は十八時ぐらいに宿に戻った。
「ふう、疲れた」
「ご苦労さん、何か収穫はあったか?」
「ああ、取りあえず回復薬十個と爆薬五個は作れそうだ」
「そうか、そろそろ夕食の時間だし食堂に行くか」
俺達は食堂に行き、夕食を済ませた。
メニューは、リアンは昼と変わらずサンドイッチを頼み、鏡牙は焼肉炒めを頼んでいた。
俺は、さっぱりとしたものが食べたかったので、魚の塩焼きを頼んだ。
「さて、夕食も食べたしそろそろ薬でも作るかな」
俺は自室に戻って薬を作り始めた。
それから三十分して、俺は一度休憩を挟んだ。
「取りあえず回復薬は十個は作れたな」
後は爆薬を最低十個か......
普通だったら回復薬を十個を一日で作るのはやろうと思えばやれるだろう。
だが、爆薬を十個作るのは無理だろう。
そうやって考えると、ユーリから得たこの力はある意味俺にとっては合っていたのかもしれない。
例え、それが元から仕組まれていた事だとしても。
確かに俺は、ユーリのやろうとしていることは許せない。
ただ、アイツのおかげで俺は今、この世界で薬草師として生きていられているんだと思っている。
だけれどつい最近までは、薬草よりも爆薬や睡眠薬とか特殊な物しか作っていなかったような気が......
「まあ、いっか」
そろそろ風呂にでも入るかな。
俺はクローゼットからタオルを取り出して、部屋から出て浴場に向かった。
「さーてと、早く湯船に浸かってさっぱりしたいな」
俺は服を脱いで浴場に入ってかけ湯をかけて湯船に浸かった。
「ふぅー、やっぱり湯につかるのは気持ちいいな」
前は鏡牙と一緒で、そこにユーリも加わり大惨事だったからな。
俺はそう思いながら、湯に浸かり時間が過ぎていった。
「さぁて、風呂にも入ったし作業に戻るか......]
俺は、そう思いながら廊下を歩いていると、タオルを持ったリアンに会った。
「あれ、シン、もしかしてお風呂上り?」
「え? ああそうだけど......」
そう答えると、リアンが筒を持っていないか聞いてきた。
「筒? ああ、確かに持ってはいるけど」
「よかった、もしよければ少し貸してくれない?」
「それは別にいいけど、何に使うの?」
そういうと、リアンは自分の髪を撫でながら答えた。
「お風呂上りに髪を乾かすんだけど、そのためにわざわざ魔法使っているんだけどそれがあれば、髪が乾かせるからできれば貸して欲しいの」
なるほど、ドライヤー代わりに使うってことか。
まあ、それくらいならいいか。
「わかった、後で返してもらえばいいから」
そういって俺は、リアンに筒を渡した。
「ありがとう、後で返しに行くね」
そう言ってリアンは、風呂に向かっていった。
「俺も部屋に戻るか」
俺は薬作りを再開した。
途中でリアンが入ってきて、筒を返しに来てくれてその後少し話したりしたが、彼女もやることがあるようですぐに自室に帰った。
ただ、それからしばらくすると鏡牙が入ってきた。
「よお、何処に行ってたんだ?」
「近くの店とかを回って情報を集めていた、どうやら他の大陸にもあの影が出始めているようだ、しかもすでに奴に襲われた奴もいる様だ」
うわぁ、厄介だな。
奴らは俺たち以外には襲ってこないのかと思っていたが、早く奴と決着を付けないとな。
途中で鏡牙が風呂に入りに行って俺も薬作りをまた再開したが、鏡牙が戻ってきた辺りで俺は作業をやめた。
その後は、また鏡牙と話したが途中で俺は眠気がきて眠りについた。
「ん、もう朝か......」
俺は、目が覚めた。
確か船の時間は九時だったかな?
ふと時計を見ると、針は八時半をさしていた。
「やばっ、もうすぐじゃないか!」
俺は、鏡牙を起こしてリアンの部屋を訪ねた。
すると、リアンはすでにもう用意はできていたようだ。
その後、俺達は宿代を払い、船着き場に向かった。
「はぁ、はぁ、何とか間に合ったな」
時計を見ると、ちょうど出発三分前だった。
もう少し起きるのが遅かったら、間に合わなかっただろう。
ちなみに、船の中で俺達がリアンに怒られたのは言うまでもない。
俺はリアンからの説教が終わると、サイドデッキで風に当たっていた。
「もうそろそろ昼食かな?」
俺がサイドデッキで時間を潰して二時間近く経っていた。
まあ、とにかく食堂に向かうかな。
今日の昼食は何かな?
俺はそんな事を思いながら、二階の食堂に向かった。
「うーん、何か味気ないな」
昼食は、乾パンに魚の刺身に豆のスープだった。
まあ、何も食べないよりかはマシだけど。
後で何かつまむかな?
俺は、昼食を済ませて売店に向かった。
「ここで何か買うかな」
俺は、何かないかと商品棚を見た。
食料で見つけたのは、塩豆と乾パンと干し肉が売ってあった。
取りあえず、それらと飲料水を買った。
「さーてと、つまみも仕入れたし部屋で薬でも作るかな」
俺は、部屋に戻って別空間で港に着くまで薬を作った。
途中で干し肉などをつまみながら作っていたので、そんなに苦にはならなかった。
それから五時間くらいして、俺は部屋に戻った。
すると、部屋では鏡牙は何やら短剣を磨いていて、リアンは何やら分厚い本を読んでいた。
取りあえず、鏡牙からは何やら殺意的なものを感じた気がした。
そのあと、俺達はデッキに上がって降りる準備をした。
「ネフドナか、久しぶりだな......」
鏡牙は、ぽつりと呟いた。
「ん? 鏡牙はネフドナに来たことがあるのか?」
「当り前だ、といっても最後に来たのは五年前だけどな」
五年前?
「五年前に何かあったのか?」
すると、鏡牙は表情を変えてどこか遠くを見るような眼をして答えた。
「すこしな、しかしそれ以来一度もネフドナには行ってはいない」
何かあったようだが詳しくは教えてはくれなかった。
まあ、何かあったのは間違いない様だ。
そう思っているうちに船が港に着いたようだ。
「今日も港の宿に泊まるか?」
「時間が無いとはいえ、流石に野宿は危ないからな」
ナテールの時のように俺達は、宿を探してると空いてる部屋を見つけたので俺達はそこに泊まることにした。
「何だか疲れたな、夕食まだかな?」
時計を見ると、針は十六時を指していた。
確か十八時半だったかな?
だとしたらまだ時間があるな。
「暇だなぁ......」
俺は周りに聞こえないように呟いた。
鏡牙に聞かれでもしたら、めんどくさくなりそうだしな。
取りあえず仮眠でもとるかな?
薬作りで少し疲れたし。
俺はその場で横になり、ゆっくり目を閉じて眠りについた。
「ふぁ~、よく寝たな」
目が覚めると、部屋に鏡牙とリアンの姿は無かった。
まさか、ユーリの手先に襲われたのか!?
俺は辺りを見渡すと、テーブルに紙が置いてあった。
「何やっても起きなかったので先に夕食を食べに行きます」
あー、そうだった。
夕食まで時間があったから、その間に仮眠を摂っていたんだっけ?
そうえば今何時だ......
時計を見ると十八時四十五分をさしていた。
うわっ、もう十五分も過ぎているじゃないか。
だが、これならまだ間に合うかもしれない。
俺は急いで食堂に向かった。
「お、やっと起きたか」
「もう少し遅かったら夕食抜きになってたわよ」
食堂に着くと、リアンと鏡牙がいる席を見つけた。
「すまない、仮眠のつもりが半分熟睡になっていた」
本当に熟睡しかけていた。
途中で時間が気になって、何とか起きたとはいえ十五分も遅れるとは......
「それより席に座って何か頼めば?」
「ああ、そうだな」
俺は、リアンに言われて鏡牙の隣に座って今日は、野菜メインの料理を頼んだ。
それから俺は急いで食べて、食後にコーヒーを頼みリアン達と話しながら一時間くらい過ごした。
「そうえばレイズニアにはどれくらい滞在するつもりなんだ?」
「今は二日を予定としている」
二日か、あまり長居しすぎると奴に狙われる危険性もあるからか。
でも何故だ......
この間の事もあるが、アイツは何故回りくどいやり方で俺達を狙うのだろうか?
前にも考えていたが本当に消すなら、毒や俺達みたいに爆薬を大量に使うなど楽な手段はたくさんあるはず。
やはり奴は、他に何か企んでいるというのか......
「ん? おいシン、危ない!」
そう言い、俺は鏡牙に突き飛ばされた。
すると鏡牙の体に無数の長い針が刺さり、辺りには鏡牙の血が飛び散っていた。
「ぐはぁ......」
「鏡牙!」
くそ、何処からだ。
俺は辺りを見渡したが、辺りに敵は見えなかった。
すると、鏡牙に刺さっていた針が勝手に動き出して一か所に集まり、やがて人の形になった。
「まさかこいつ、新種のスライムか!?」
すると奴は、体が金属のせいかゆっくり歩いて重たそうな腕を振り下ろしてきた。
「くっ、こいつ!」
俺は何とかギリギリの所で避けれた。
にしても、どうすればこいつを倒せるんだ......
すると、鏡牙が起き上がり後ろからスライムを掴み拘束した。
「今だ! シン、俺をこいつと共に別の空間に飛ばしてくれ!」
「鏡牙!? 一体何をする気だ?」
「このままこいつと別空間で爆薬を使って葬り去るまでだ!」
そんな、それでは鏡牙も......
「何をしている、いつまでもこうしている訳にはいかん、早くしてくれ!」
すでに鏡牙の体はボロボロだ、だが俺には......
「くそ、おいシン! 俺の最後の頼みだ、俺ごとこいつを消してくれ、どの道もう俺は助からない、だから早く......」
俺は、無意識にスマホを取り出して別空間の扉を作り出していた。
いつも薬を作る空間とは全く別の空間、それは俺にも何処につながっているのかはわからない。
「ありがとう、シン、俺の代わりにユーリを止めてくれ」
「鏡牙!」
鏡牙はそう言い、爆薬を口にくわえて金属のスライムと共に扉の中に消えていった。
やっぱりここは、素直に君の事が好きだからちょっと気になって、って答えるか?
多分、俺はそれを言おうとしたら倒れるだろうな。
しかし、そんな事より早く答えなければ......
「えーと......まあ、リアンの事が落ち込んでいたから何か力になれないかな? って」
そういうとリアンは、ふうんっと何処か抜けた感じの返事をした。
まあ、いずれこの思いはリアンに伝えるとして今は素材集めをしないとな。
正直、自分でもヘタレだなっと思いはした。
俺は頭を切り替えて素材集めをすることにした。
その後も、色々リアンと話したりしながら俺は薬の材料を集めて、俺達は十八時ぐらいに宿に戻った。
「ふう、疲れた」
「ご苦労さん、何か収穫はあったか?」
「ああ、取りあえず回復薬十個と爆薬五個は作れそうだ」
「そうか、そろそろ夕食の時間だし食堂に行くか」
俺達は食堂に行き、夕食を済ませた。
メニューは、リアンは昼と変わらずサンドイッチを頼み、鏡牙は焼肉炒めを頼んでいた。
俺は、さっぱりとしたものが食べたかったので、魚の塩焼きを頼んだ。
「さて、夕食も食べたしそろそろ薬でも作るかな」
俺は自室に戻って薬を作り始めた。
それから三十分して、俺は一度休憩を挟んだ。
「取りあえず回復薬は十個は作れたな」
後は爆薬を最低十個か......
普通だったら回復薬を十個を一日で作るのはやろうと思えばやれるだろう。
だが、爆薬を十個作るのは無理だろう。
そうやって考えると、ユーリから得たこの力はある意味俺にとっては合っていたのかもしれない。
例え、それが元から仕組まれていた事だとしても。
確かに俺は、ユーリのやろうとしていることは許せない。
ただ、アイツのおかげで俺は今、この世界で薬草師として生きていられているんだと思っている。
だけれどつい最近までは、薬草よりも爆薬や睡眠薬とか特殊な物しか作っていなかったような気が......
「まあ、いっか」
そろそろ風呂にでも入るかな。
俺はクローゼットからタオルを取り出して、部屋から出て浴場に向かった。
「さーてと、早く湯船に浸かってさっぱりしたいな」
俺は服を脱いで浴場に入ってかけ湯をかけて湯船に浸かった。
「ふぅー、やっぱり湯につかるのは気持ちいいな」
前は鏡牙と一緒で、そこにユーリも加わり大惨事だったからな。
俺はそう思いながら、湯に浸かり時間が過ぎていった。
「さぁて、風呂にも入ったし作業に戻るか......]
俺は、そう思いながら廊下を歩いていると、タオルを持ったリアンに会った。
「あれ、シン、もしかしてお風呂上り?」
「え? ああそうだけど......」
そう答えると、リアンが筒を持っていないか聞いてきた。
「筒? ああ、確かに持ってはいるけど」
「よかった、もしよければ少し貸してくれない?」
「それは別にいいけど、何に使うの?」
そういうと、リアンは自分の髪を撫でながら答えた。
「お風呂上りに髪を乾かすんだけど、そのためにわざわざ魔法使っているんだけどそれがあれば、髪が乾かせるからできれば貸して欲しいの」
なるほど、ドライヤー代わりに使うってことか。
まあ、それくらいならいいか。
「わかった、後で返してもらえばいいから」
そういって俺は、リアンに筒を渡した。
「ありがとう、後で返しに行くね」
そう言ってリアンは、風呂に向かっていった。
「俺も部屋に戻るか」
俺は薬作りを再開した。
途中でリアンが入ってきて、筒を返しに来てくれてその後少し話したりしたが、彼女もやることがあるようですぐに自室に帰った。
ただ、それからしばらくすると鏡牙が入ってきた。
「よお、何処に行ってたんだ?」
「近くの店とかを回って情報を集めていた、どうやら他の大陸にもあの影が出始めているようだ、しかもすでに奴に襲われた奴もいる様だ」
うわぁ、厄介だな。
奴らは俺たち以外には襲ってこないのかと思っていたが、早く奴と決着を付けないとな。
途中で鏡牙が風呂に入りに行って俺も薬作りをまた再開したが、鏡牙が戻ってきた辺りで俺は作業をやめた。
その後は、また鏡牙と話したが途中で俺は眠気がきて眠りについた。
「ん、もう朝か......」
俺は、目が覚めた。
確か船の時間は九時だったかな?
ふと時計を見ると、針は八時半をさしていた。
「やばっ、もうすぐじゃないか!」
俺は、鏡牙を起こしてリアンの部屋を訪ねた。
すると、リアンはすでにもう用意はできていたようだ。
その後、俺達は宿代を払い、船着き場に向かった。
「はぁ、はぁ、何とか間に合ったな」
時計を見ると、ちょうど出発三分前だった。
もう少し起きるのが遅かったら、間に合わなかっただろう。
ちなみに、船の中で俺達がリアンに怒られたのは言うまでもない。
俺はリアンからの説教が終わると、サイドデッキで風に当たっていた。
「もうそろそろ昼食かな?」
俺がサイドデッキで時間を潰して二時間近く経っていた。
まあ、とにかく食堂に向かうかな。
今日の昼食は何かな?
俺はそんな事を思いながら、二階の食堂に向かった。
「うーん、何か味気ないな」
昼食は、乾パンに魚の刺身に豆のスープだった。
まあ、何も食べないよりかはマシだけど。
後で何かつまむかな?
俺は、昼食を済ませて売店に向かった。
「ここで何か買うかな」
俺は、何かないかと商品棚を見た。
食料で見つけたのは、塩豆と乾パンと干し肉が売ってあった。
取りあえず、それらと飲料水を買った。
「さーてと、つまみも仕入れたし部屋で薬でも作るかな」
俺は、部屋に戻って別空間で港に着くまで薬を作った。
途中で干し肉などをつまみながら作っていたので、そんなに苦にはならなかった。
それから五時間くらいして、俺は部屋に戻った。
すると、部屋では鏡牙は何やら短剣を磨いていて、リアンは何やら分厚い本を読んでいた。
取りあえず、鏡牙からは何やら殺意的なものを感じた気がした。
そのあと、俺達はデッキに上がって降りる準備をした。
「ネフドナか、久しぶりだな......」
鏡牙は、ぽつりと呟いた。
「ん? 鏡牙はネフドナに来たことがあるのか?」
「当り前だ、といっても最後に来たのは五年前だけどな」
五年前?
「五年前に何かあったのか?」
すると、鏡牙は表情を変えてどこか遠くを見るような眼をして答えた。
「すこしな、しかしそれ以来一度もネフドナには行ってはいない」
何かあったようだが詳しくは教えてはくれなかった。
まあ、何かあったのは間違いない様だ。
そう思っているうちに船が港に着いたようだ。
「今日も港の宿に泊まるか?」
「時間が無いとはいえ、流石に野宿は危ないからな」
ナテールの時のように俺達は、宿を探してると空いてる部屋を見つけたので俺達はそこに泊まることにした。
「何だか疲れたな、夕食まだかな?」
時計を見ると、針は十六時を指していた。
確か十八時半だったかな?
だとしたらまだ時間があるな。
「暇だなぁ......」
俺は周りに聞こえないように呟いた。
鏡牙に聞かれでもしたら、めんどくさくなりそうだしな。
取りあえず仮眠でもとるかな?
薬作りで少し疲れたし。
俺はその場で横になり、ゆっくり目を閉じて眠りについた。
「ふぁ~、よく寝たな」
目が覚めると、部屋に鏡牙とリアンの姿は無かった。
まさか、ユーリの手先に襲われたのか!?
俺は辺りを見渡すと、テーブルに紙が置いてあった。
「何やっても起きなかったので先に夕食を食べに行きます」
あー、そうだった。
夕食まで時間があったから、その間に仮眠を摂っていたんだっけ?
そうえば今何時だ......
時計を見ると十八時四十五分をさしていた。
うわっ、もう十五分も過ぎているじゃないか。
だが、これならまだ間に合うかもしれない。
俺は急いで食堂に向かった。
「お、やっと起きたか」
「もう少し遅かったら夕食抜きになってたわよ」
食堂に着くと、リアンと鏡牙がいる席を見つけた。
「すまない、仮眠のつもりが半分熟睡になっていた」
本当に熟睡しかけていた。
途中で時間が気になって、何とか起きたとはいえ十五分も遅れるとは......
「それより席に座って何か頼めば?」
「ああ、そうだな」
俺は、リアンに言われて鏡牙の隣に座って今日は、野菜メインの料理を頼んだ。
それから俺は急いで食べて、食後にコーヒーを頼みリアン達と話しながら一時間くらい過ごした。
「そうえばレイズニアにはどれくらい滞在するつもりなんだ?」
「今は二日を予定としている」
二日か、あまり長居しすぎると奴に狙われる危険性もあるからか。
でも何故だ......
この間の事もあるが、アイツは何故回りくどいやり方で俺達を狙うのだろうか?
前にも考えていたが本当に消すなら、毒や俺達みたいに爆薬を大量に使うなど楽な手段はたくさんあるはず。
やはり奴は、他に何か企んでいるというのか......
「ん? おいシン、危ない!」
そう言い、俺は鏡牙に突き飛ばされた。
すると鏡牙の体に無数の長い針が刺さり、辺りには鏡牙の血が飛び散っていた。
「ぐはぁ......」
「鏡牙!」
くそ、何処からだ。
俺は辺りを見渡したが、辺りに敵は見えなかった。
すると、鏡牙に刺さっていた針が勝手に動き出して一か所に集まり、やがて人の形になった。
「まさかこいつ、新種のスライムか!?」
すると奴は、体が金属のせいかゆっくり歩いて重たそうな腕を振り下ろしてきた。
「くっ、こいつ!」
俺は何とかギリギリの所で避けれた。
にしても、どうすればこいつを倒せるんだ......
すると、鏡牙が起き上がり後ろからスライムを掴み拘束した。
「今だ! シン、俺をこいつと共に別の空間に飛ばしてくれ!」
「鏡牙!? 一体何をする気だ?」
「このままこいつと別空間で爆薬を使って葬り去るまでだ!」
そんな、それでは鏡牙も......
「何をしている、いつまでもこうしている訳にはいかん、早くしてくれ!」
すでに鏡牙の体はボロボロだ、だが俺には......
「くそ、おいシン! 俺の最後の頼みだ、俺ごとこいつを消してくれ、どの道もう俺は助からない、だから早く......」
俺は、無意識にスマホを取り出して別空間の扉を作り出していた。
いつも薬を作る空間とは全く別の空間、それは俺にも何処につながっているのかはわからない。
「ありがとう、シン、俺の代わりにユーリを止めてくれ」
「鏡牙!」
鏡牙はそう言い、爆薬を口にくわえて金属のスライムと共に扉の中に消えていった。
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