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第2章 変わりゆく者達
第十九話 施設からの脱出
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「ふう、ここまでか」
俺は取りあえず、爆薬十個に回復薬を五個ほど作った。
しかし、あいつは何故あそこまで進化の秘薬で人を消そうとするんだ......
もし、本当に消すなら薬ではなくアイツの事だから兵器を持ち込むのも簡単なはずだ。
なぜ兵器ではなく、わざわざ薬を使うのだろう?
考えていても何か変わるわけでもないし、今はここから出ることだけを考えなければな。
「さて、そろそろ出るか......」
俺はスマホを使い、元の空間に戻った。
良かった、まだこの部屋は大丈夫のようだな。
俺は部屋を確認して、少し安心した。
「え~と、確かここを出て右の通路の奥の階段で三階に行けるはずだ」
俺は、部屋を出て通路を通り階段めがけて走った。
途中、俺は何か気になるメモを見つけた。
だが今は急いで階段まで向かわなければ......
すると、階段の前で俺は走るのをやめた。
何故なら、目の前には羽の生えたユーリがいたからだ。
「やあ、遅かったじゃないか」
そうユーリは微笑みながら話した。
ここまで来て、まさか先回りされるとはな......
「そりゃ、ここは僕の施設だからね、先回りなんて簡単なことだよ」
また別の所に逃げるか......
いや、もうエレベーターが無いから残った道は確かここしか無かったはず。
とすれば、このまま奴と戦うか?
だが、スライムを出されても面倒だしな。
「色々考えているようだけど仕掛けさせてもらうよ!」
ユーリは、俺に向かい呪文を唱えて指の先を俺に向けた。
すると、指先から黒い影のようなものが現れて、やがて人の形になった。
「僕が相手しなくても、君にはこいつで十分だよ」
ユーリは、そういうと指で空間に亀裂を作り、何処かへ消えてしまった。
ユーリが消えると、いきなり影は俺を動き出した。
「くそっ!」
俺はコイツに触れるとヤバいと思い、その場から一時的に離れて近くの部屋に逃げた。
しばらくすると、奴は少しずつ歩くスピードが速くなったようだ。
何故なら奴の足音が少しずつ早くなったからだ。
まずいな......
さっさと階段を上ってこの階から離れないとな。
しかし、奴が嫌がりそうな物なんて持ってないぞ......
閃光弾みたいな物があれば奴に効きそうなんだがな。
考えていると、近くの棚で何かの素材を見つけた。
「うーん、何の素材だろうか?」
記憶にあるか探したら、一つ該当した薬があった。
どうやらこれは、発光草という草でこれと爆薬で俺が求めている閃光弾が作れるようだ。
しかし、何でこんなところに......
俺はあまりにも都合が良すぎると思った。
普通なら、こんなところにこの草は無いはずだ。
ということは、これはユーリの罠なのか......
「とにかく今はこいつで閃光弾を作らないとな」
俺は深く考えるのをやめて閃光弾を作った。
「後は、奴に上手く効いてくれるかだな」
すると、奴がその声を聞いていたのか、中に入ってきた。
俺はとっさにしゃがんで物陰に隠れた。
こうなれば、一か八かだ。
俺は奴が奥を確認しに行ったとき、後ろに回り込んでわざと音を立てた。
奴が振り向いた時、俺はとっさに閃光弾を投げた。
すると、奴に効いたのか目の前に奴はいなかった。
「き、効いたのか?」
俺は辺りを確認した。
しかしどこにも奴の影は無かった。
ふう、なら今なら階段まで行けそうだな。
俺は階段を上りながらまた考えていた。
それはさっきの素材の事についてだ。
やはりあれは、最初からユーリが用意していたのか?
だがそれだとまるで、奴が脱出の手助けをしているかの様じゃないか。
「ああ、もう考えていると余計にわかんなくなっていくじゃないか」
俺はそう思っていると、いつの間にか三階に着いていた。
さあ、あと少しだ。
三回近く会談を上れば地上だ。
俺は気合を入れて次の階段へ向かった。
ふと、階段を探している時俺は何故か気味の悪い生き物を見た気がした。
もしかしたら、またさっきみたいな奴に襲われるかも知れないし他にも対策を考えておくか......
しかし、今いるのが三階か......
階段で上に上っているから、ここが地下施設なのは間違いないな。
とにかく、さっさとここを出ないとな。
「お、階段だ」
俺は歩いていると目の前に階段があるのを見つけた。
はぁ、今回はすぐに登れそうだ。
登ろうとした時、後ろから何かが迫ってくる音がした。
何かヤバそうだ。
俺はスマホを使い、別空間に避難した。
「はぁ、はぁ、一体なんだ......」
俺は少し外を覗いた。
すると、人の姿をしているがかなり禍々しいオーラをまとった化け物がいた。
俺はそれを見て一瞬、声が出そうになった。
そして、しばらくすると化け物はどこかに去っていった。
「一体何だったんだ、今の奴は」
俺は取りあえず元の空間に戻って階段を上った。
「二階か、早くこの施設からおさらばしたいもんだよ」
そう思いながら、俺は一階への階段を探した。
しかし、何故か一階への階段は中々見つからなかった。
「さっき簡単に見つかったのは単に運が良かっただけなのか」
俺は取りあえず別の空間を作り、少し休憩した。
「だがどうにも腑に落ちないな......」
あまりにも簡単に二階まで着いたので、俺は何か変だとは思っていた。
だけど、俺は途中から逃げることを考えていたので、その事については気にしないようにしていた。
しかし、これがユーリの罠だとしたら完全に不味いな。
仮にも奴に捕まったらここにいる化け物達の仲間入りするって訳だからな。
それだけは、何としても避けなければな......
そうえばあれからどれだけ時間がたっているのだろうか。
俺は、懐から懐中時計を取りだして時間を見た。
すると、時計の針は長い針は進んでも短い針は進んでいなかった。
どうやら、ここにいる間は向こうの時間は止まっているようだな。
そろそろ進まなければな。
俺は元の空間に戻ろうとした。
すると、出ようとしたとき俺は、また足を止めた。
「またさっきの奴が居やがる」
しかもこっちをずっと見てやがる。
いや、目が無いからみたいだから見ているって言うのか?
だけど、奴に俺がどこにいるかはバレているようだな。
何かいい方法は......
駄目だ、これは完全にこっちのミスだな。
とにかく俺は、元の空間に爆薬を二、三個程投げる事にした。
「食らいやがれ!」
俺は即座に元の空間に投げて、様子を見ることにした。
そして、爆薬の煙が収まって見えるようになると、辺りが血で汚れて肉片が散らばっていた。
何か呆気ないな......
俺はそう思いながら元の空間に戻って、階段探しを続行した。
それから一時間位が経った。
しかし、これだけ探して無いってことは何処かに隠れているのか?
だけど不自然なところなんて無かったしな。
俺は、近くの部屋に入った。
「ふぅっ」
何か手がかりはないかな......
俺は辺りを探していると、小さい鍵を見つけた。
何処かのカギだろうか?
まあ、拾っておくか。
俺は鍵をポケットの中に入れた。
その後、ほかの部屋に行った行った時に何かのメモのようなものを拾った。
「1934?」
何かのパスワードか何かだろうか?
とにかく、ここまで調べて手掛かりはこれだけか......
そうえば、あの拾った鍵の穴はまだ見つけていなかったな.
恐らくだがこの鍵とこの番号は重要なのは間違いないだろうな。
俺はその後、鍵を使えそうな場所を探した。
「うーん、とはいえ何処から探そうか......」
俺はひたすら怪しいと思ったところを探した。
しかし、特に鍵穴のような穴は何処にも見当たらなかった。
ここまで来て、ここでリタイヤなんて御免だな。
「逆に難しく考えずに、もっと簡単に考えるべきなのか?」
俺は、辺りをもう一度探し回った。
すると、あるところで俺は足を止めた。
「そうえば、この絵はまだ調べていなかったな......」
探している時、何度か俺はこの絵を見たが、特に関係なさそうだったのでスルーしていたのだ。
ひょっとしてこの絵の裏に何かあったりして。
「まあ、そんなわけが......」
俺は絵をずらして壁を確認した。
そして、俺は同時に自分の目を疑った。
「何だこれ?」
眼の前には確かに鍵を入れる穴はあった。
だが、まさか鍵をはめる穴とはな......
穴は、鍵と同じ形をしているので間違いないだろう。
あんなに探していた鍵穴をこんな近くで見つけるなんてな。
しかも普通の鍵穴ではなくて、本体をはめるタイプの鍵穴だったとは......
まあ、何はともあれこれで前に進めそうだ。
俺はその鍵穴に鍵をはめると、壁が開いて通路が現れた。
「さて、階段はこの先のようだな」
俺は鍵を回収して中に入った。
すると、中に入ったと同時に開いたドアが自動で閉まった。
なんだか元の世界の自動ドアを思い出すなぁ。
だが、今はここを出ないとな。
しばらく通路を進んでいると、奥から階段が見えてきた。
「やった、これを上れば一階だ」
すると、俺は心のどこかで少し安心していた。
しかし、後ろからまた何か嫌な感じがした。
そう思って振り返ってみると、またあの禍々しいオーラをまとった化け物がいた。
くそ、さっきバラバラの肉片にしたはずなのに。
とにかく今は逃げなければ......
俺は階段を上り、一階に向かっている時にある事を思いついた。
「これで少しは時間を稼げるだろう」
俺は、走りながら三つほど爆薬を後ろに投げて階段を破壊した。
これならしばらくは時間を稼げそうだな。
俺は急いで一階に上がると、何やらタッチパネルが埋め込まれた壁があった。
さっきの鍵穴のようにここでパスワードを入力すればここから出られるはず。
俺は化け物が来ないうちに急いでパスワードを入力しようとした。
しかし、俺の手が震えていくつか入力を間違えていた。
「あと三回です」
くそ、何でこんな時に手が震えているんだ。
早くしないと奴が......
そう思い後ろを振り返ると、後ろには最初に俺を追ってきた黒い影がいた。
「うわぁ!?」
俺はとっさに奴から離れた。
奴とまさかこんな所でまた会うとはな......
あの時俺は、完全に奴を倒していた気でいた。
しかし、まさか隠れて俺を狙っていたとはな。
そんな事より早くパスワードを入力してここから早く出ないと、あの化け物が来る前に......
俺はひたすら黒い影の攻撃をよけながらパスワードを入力したが手が震えてまた間違えてしまった。
奴の攻撃は黒い手を出して俺に触れようとするだけだった。
だが、触れられたら確実にマズイのだけは間違いなかった。
「あと一回です」
あと一回、次がラストチャンスか......
生きるも死ぬも次が最後のチャンスだ。
絶対に間違えられない。
「これで!」
俺は必死に攻撃をよけながら、確実に正しいパスワードを一文字ずつ入力した。
すると、壁が開いて外の景色が見えた。
「後は出るだけだ!」
俺は走って壁の外に出て、追って来ようとした影に爆薬をすべて放り込んだ。
すると、壁が閉まったと同時に大きい爆発音が聞こえた。
「はぁ、はぁ、最後が一番危なかったな......」
何はともあれ、こうして外に出れただけマシか.
とはいえ、ここからどうしようか......
時計を見ても短い針は動いてないし、まだ完璧には出れてはいないようだしな。
すると、横から声がした。
「このくらいは突破してもらわないと困るよ」
「ユーリ!」
俺は声を聞いた瞬間、奴の名前を叫んだ。
「一体どういうつもりだ! 何故俺の手助けをした?」
「手助け? 何のことだい?」
「とぼけるな! 閃光弾の素材やパスワードのメモ、そして扉を開けるカギ、あれはお前があえて用意したものだろ?」
そう聞くと、ユーリは首を傾げた。
「さあね、僕はただこの施設を知ってもらいたくてそれに必要な道具を用意したまでだよ」
くそ、本当に何を考えてるんだこいつは......
「もしかしたら気が変わって、僕に協力してくるかと思ったけどその気はなさそうだね」
「ああ、手伝う気はないね」
「ふっ、まあいい、今回は特別に君がいた宿に戻してあげるよ、でも次会った時は生かしては返さないよ」
ユーリがそう言い終えると、俺は目の前が真っ白になった
俺は取りあえず、爆薬十個に回復薬を五個ほど作った。
しかし、あいつは何故あそこまで進化の秘薬で人を消そうとするんだ......
もし、本当に消すなら薬ではなくアイツの事だから兵器を持ち込むのも簡単なはずだ。
なぜ兵器ではなく、わざわざ薬を使うのだろう?
考えていても何か変わるわけでもないし、今はここから出ることだけを考えなければな。
「さて、そろそろ出るか......」
俺はスマホを使い、元の空間に戻った。
良かった、まだこの部屋は大丈夫のようだな。
俺は部屋を確認して、少し安心した。
「え~と、確かここを出て右の通路の奥の階段で三階に行けるはずだ」
俺は、部屋を出て通路を通り階段めがけて走った。
途中、俺は何か気になるメモを見つけた。
だが今は急いで階段まで向かわなければ......
すると、階段の前で俺は走るのをやめた。
何故なら、目の前には羽の生えたユーリがいたからだ。
「やあ、遅かったじゃないか」
そうユーリは微笑みながら話した。
ここまで来て、まさか先回りされるとはな......
「そりゃ、ここは僕の施設だからね、先回りなんて簡単なことだよ」
また別の所に逃げるか......
いや、もうエレベーターが無いから残った道は確かここしか無かったはず。
とすれば、このまま奴と戦うか?
だが、スライムを出されても面倒だしな。
「色々考えているようだけど仕掛けさせてもらうよ!」
ユーリは、俺に向かい呪文を唱えて指の先を俺に向けた。
すると、指先から黒い影のようなものが現れて、やがて人の形になった。
「僕が相手しなくても、君にはこいつで十分だよ」
ユーリは、そういうと指で空間に亀裂を作り、何処かへ消えてしまった。
ユーリが消えると、いきなり影は俺を動き出した。
「くそっ!」
俺はコイツに触れるとヤバいと思い、その場から一時的に離れて近くの部屋に逃げた。
しばらくすると、奴は少しずつ歩くスピードが速くなったようだ。
何故なら奴の足音が少しずつ早くなったからだ。
まずいな......
さっさと階段を上ってこの階から離れないとな。
しかし、奴が嫌がりそうな物なんて持ってないぞ......
閃光弾みたいな物があれば奴に効きそうなんだがな。
考えていると、近くの棚で何かの素材を見つけた。
「うーん、何の素材だろうか?」
記憶にあるか探したら、一つ該当した薬があった。
どうやらこれは、発光草という草でこれと爆薬で俺が求めている閃光弾が作れるようだ。
しかし、何でこんなところに......
俺はあまりにも都合が良すぎると思った。
普通なら、こんなところにこの草は無いはずだ。
ということは、これはユーリの罠なのか......
「とにかく今はこいつで閃光弾を作らないとな」
俺は深く考えるのをやめて閃光弾を作った。
「後は、奴に上手く効いてくれるかだな」
すると、奴がその声を聞いていたのか、中に入ってきた。
俺はとっさにしゃがんで物陰に隠れた。
こうなれば、一か八かだ。
俺は奴が奥を確認しに行ったとき、後ろに回り込んでわざと音を立てた。
奴が振り向いた時、俺はとっさに閃光弾を投げた。
すると、奴に効いたのか目の前に奴はいなかった。
「き、効いたのか?」
俺は辺りを確認した。
しかしどこにも奴の影は無かった。
ふう、なら今なら階段まで行けそうだな。
俺は階段を上りながらまた考えていた。
それはさっきの素材の事についてだ。
やはりあれは、最初からユーリが用意していたのか?
だがそれだとまるで、奴が脱出の手助けをしているかの様じゃないか。
「ああ、もう考えていると余計にわかんなくなっていくじゃないか」
俺はそう思っていると、いつの間にか三階に着いていた。
さあ、あと少しだ。
三回近く会談を上れば地上だ。
俺は気合を入れて次の階段へ向かった。
ふと、階段を探している時俺は何故か気味の悪い生き物を見た気がした。
もしかしたら、またさっきみたいな奴に襲われるかも知れないし他にも対策を考えておくか......
しかし、今いるのが三階か......
階段で上に上っているから、ここが地下施設なのは間違いないな。
とにかく、さっさとここを出ないとな。
「お、階段だ」
俺は歩いていると目の前に階段があるのを見つけた。
はぁ、今回はすぐに登れそうだ。
登ろうとした時、後ろから何かが迫ってくる音がした。
何かヤバそうだ。
俺はスマホを使い、別空間に避難した。
「はぁ、はぁ、一体なんだ......」
俺は少し外を覗いた。
すると、人の姿をしているがかなり禍々しいオーラをまとった化け物がいた。
俺はそれを見て一瞬、声が出そうになった。
そして、しばらくすると化け物はどこかに去っていった。
「一体何だったんだ、今の奴は」
俺は取りあえず元の空間に戻って階段を上った。
「二階か、早くこの施設からおさらばしたいもんだよ」
そう思いながら、俺は一階への階段を探した。
しかし、何故か一階への階段は中々見つからなかった。
「さっき簡単に見つかったのは単に運が良かっただけなのか」
俺は取りあえず別の空間を作り、少し休憩した。
「だがどうにも腑に落ちないな......」
あまりにも簡単に二階まで着いたので、俺は何か変だとは思っていた。
だけど、俺は途中から逃げることを考えていたので、その事については気にしないようにしていた。
しかし、これがユーリの罠だとしたら完全に不味いな。
仮にも奴に捕まったらここにいる化け物達の仲間入りするって訳だからな。
それだけは、何としても避けなければな......
そうえばあれからどれだけ時間がたっているのだろうか。
俺は、懐から懐中時計を取りだして時間を見た。
すると、時計の針は長い針は進んでも短い針は進んでいなかった。
どうやら、ここにいる間は向こうの時間は止まっているようだな。
そろそろ進まなければな。
俺は元の空間に戻ろうとした。
すると、出ようとしたとき俺は、また足を止めた。
「またさっきの奴が居やがる」
しかもこっちをずっと見てやがる。
いや、目が無いからみたいだから見ているって言うのか?
だけど、奴に俺がどこにいるかはバレているようだな。
何かいい方法は......
駄目だ、これは完全にこっちのミスだな。
とにかく俺は、元の空間に爆薬を二、三個程投げる事にした。
「食らいやがれ!」
俺は即座に元の空間に投げて、様子を見ることにした。
そして、爆薬の煙が収まって見えるようになると、辺りが血で汚れて肉片が散らばっていた。
何か呆気ないな......
俺はそう思いながら元の空間に戻って、階段探しを続行した。
それから一時間位が経った。
しかし、これだけ探して無いってことは何処かに隠れているのか?
だけど不自然なところなんて無かったしな。
俺は、近くの部屋に入った。
「ふぅっ」
何か手がかりはないかな......
俺は辺りを探していると、小さい鍵を見つけた。
何処かのカギだろうか?
まあ、拾っておくか。
俺は鍵をポケットの中に入れた。
その後、ほかの部屋に行った行った時に何かのメモのようなものを拾った。
「1934?」
何かのパスワードか何かだろうか?
とにかく、ここまで調べて手掛かりはこれだけか......
そうえば、あの拾った鍵の穴はまだ見つけていなかったな.
恐らくだがこの鍵とこの番号は重要なのは間違いないだろうな。
俺はその後、鍵を使えそうな場所を探した。
「うーん、とはいえ何処から探そうか......」
俺はひたすら怪しいと思ったところを探した。
しかし、特に鍵穴のような穴は何処にも見当たらなかった。
ここまで来て、ここでリタイヤなんて御免だな。
「逆に難しく考えずに、もっと簡単に考えるべきなのか?」
俺は、辺りをもう一度探し回った。
すると、あるところで俺は足を止めた。
「そうえば、この絵はまだ調べていなかったな......」
探している時、何度か俺はこの絵を見たが、特に関係なさそうだったのでスルーしていたのだ。
ひょっとしてこの絵の裏に何かあったりして。
「まあ、そんなわけが......」
俺は絵をずらして壁を確認した。
そして、俺は同時に自分の目を疑った。
「何だこれ?」
眼の前には確かに鍵を入れる穴はあった。
だが、まさか鍵をはめる穴とはな......
穴は、鍵と同じ形をしているので間違いないだろう。
あんなに探していた鍵穴をこんな近くで見つけるなんてな。
しかも普通の鍵穴ではなくて、本体をはめるタイプの鍵穴だったとは......
まあ、何はともあれこれで前に進めそうだ。
俺はその鍵穴に鍵をはめると、壁が開いて通路が現れた。
「さて、階段はこの先のようだな」
俺は鍵を回収して中に入った。
すると、中に入ったと同時に開いたドアが自動で閉まった。
なんだか元の世界の自動ドアを思い出すなぁ。
だが、今はここを出ないとな。
しばらく通路を進んでいると、奥から階段が見えてきた。
「やった、これを上れば一階だ」
すると、俺は心のどこかで少し安心していた。
しかし、後ろからまた何か嫌な感じがした。
そう思って振り返ってみると、またあの禍々しいオーラをまとった化け物がいた。
くそ、さっきバラバラの肉片にしたはずなのに。
とにかく今は逃げなければ......
俺は階段を上り、一階に向かっている時にある事を思いついた。
「これで少しは時間を稼げるだろう」
俺は、走りながら三つほど爆薬を後ろに投げて階段を破壊した。
これならしばらくは時間を稼げそうだな。
俺は急いで一階に上がると、何やらタッチパネルが埋め込まれた壁があった。
さっきの鍵穴のようにここでパスワードを入力すればここから出られるはず。
俺は化け物が来ないうちに急いでパスワードを入力しようとした。
しかし、俺の手が震えていくつか入力を間違えていた。
「あと三回です」
くそ、何でこんな時に手が震えているんだ。
早くしないと奴が......
そう思い後ろを振り返ると、後ろには最初に俺を追ってきた黒い影がいた。
「うわぁ!?」
俺はとっさに奴から離れた。
奴とまさかこんな所でまた会うとはな......
あの時俺は、完全に奴を倒していた気でいた。
しかし、まさか隠れて俺を狙っていたとはな。
そんな事より早くパスワードを入力してここから早く出ないと、あの化け物が来る前に......
俺はひたすら黒い影の攻撃をよけながらパスワードを入力したが手が震えてまた間違えてしまった。
奴の攻撃は黒い手を出して俺に触れようとするだけだった。
だが、触れられたら確実にマズイのだけは間違いなかった。
「あと一回です」
あと一回、次がラストチャンスか......
生きるも死ぬも次が最後のチャンスだ。
絶対に間違えられない。
「これで!」
俺は必死に攻撃をよけながら、確実に正しいパスワードを一文字ずつ入力した。
すると、壁が開いて外の景色が見えた。
「後は出るだけだ!」
俺は走って壁の外に出て、追って来ようとした影に爆薬をすべて放り込んだ。
すると、壁が閉まったと同時に大きい爆発音が聞こえた。
「はぁ、はぁ、最後が一番危なかったな......」
何はともあれ、こうして外に出れただけマシか.
とはいえ、ここからどうしようか......
時計を見ても短い針は動いてないし、まだ完璧には出れてはいないようだしな。
すると、横から声がした。
「このくらいは突破してもらわないと困るよ」
「ユーリ!」
俺は声を聞いた瞬間、奴の名前を叫んだ。
「一体どういうつもりだ! 何故俺の手助けをした?」
「手助け? 何のことだい?」
「とぼけるな! 閃光弾の素材やパスワードのメモ、そして扉を開けるカギ、あれはお前があえて用意したものだろ?」
そう聞くと、ユーリは首を傾げた。
「さあね、僕はただこの施設を知ってもらいたくてそれに必要な道具を用意したまでだよ」
くそ、本当に何を考えてるんだこいつは......
「もしかしたら気が変わって、僕に協力してくるかと思ったけどその気はなさそうだね」
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主人公の幼馴染 片桐 浩太 呼び名 コウタ コータ君
(なろうでも別名義で公開)
タイトル微妙に変更しました。
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異世界に落ちたら若返りました。
アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。
夫との2人暮らし。
何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。
そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー
気がついたら知らない場所!?
しかもなんかやたらと若返ってない!?
なんで!?
そんなおばあちゃんのお話です。
更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。
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