人間に生まれて、女に生まれて

マナミン

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初めての相手

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ベターだけど初めての体験から書こうと思います。なぜなら、その相手とのセックスによっては、私はこうはなっていなかったのかも……と思うから。

意外にも(?)奥手だった私の初体験は17歳の誕生日でした。相手は8つ年上のバイト先の社員だったトオルくん(仮称)。


夏休みを利用して家から自転車で30分程のところにあるお弁当屋さんでバイトを始めました。私の家は父が自営で母は専業主婦。今思えば割と裕福な家庭だったと思うのですが、海外留学を夢見ていた私なりに働いてお金を貯めなきゃと始めたバイトでした。

お店は店長さんとトオルくんが社員で、あとは主婦や私みたいな学生のバイトがシフトで回していたお店でした。

始めて10日程経った時でしょうか? トオルくんと2人だけで閉店までのシフトに入った日。

「マナミンは明日休み?」

大きな炊飯窯を洗いながらトオルくんが話し掛けてくれました。

「あ、はい。明日はお休み貰ってます」

「そっか……」

「何かありましたか? もしシフトが足りなかったらでますよ」

「あっ、いや、そうじゃなくってさ……」

洗い終えた炊飯窯を所定の場所に置いてエプロンで手を拭きながら、トオルくんはもじもじしているように見えました。

「どうしたんですか?」

私は明日の食材の確認を終え、トオルくんの方を向いて訊き直しました。

「俺も明日、休みなんだよ。で、もし良かったらさ……映画でも行かない?」

私が映画が好きでよく観に行く話を他のバイトの人にしていたからでしょうか。まさかバイト先の先輩から誘われるなんて思いもせず、少し驚いてしまった私に気付いたのか、

「あっ、ごめん。いや、良かったらって思ってさ……」

トオルくんは少し顔を赤くして慌てて言い直します。今思えば母性なのでしょう。私はその姿に胸がキュンとなるのを感じました。

「明日は予定もないですし、トオルさんが良ければいいですよ」

「マジか!」

トオルくんは嬉しそうな顔で明日の予定を紙に書いて私に差し出します。

「じゃ、明日! 遅れたらごめんだけど、11時に」

自転車に乗って走り出した私を見送り、トオルくんもスクーターに乗ってお店を後にしました。
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