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2章
第十九話
しおりを挟む上総の火傷を、川の水で冷やす。
刀傷は、幸い傷口が綺麗な為、しっかりと固定すればすぐに塞がりそうだ。
真木は胸をなでおろす。
「真木」
「は」
「わしよりお前の方が酷い。さっさと治療せい」
真木はきょとんと瞬きをしてから、自分の体を見下ろす。
そういえば、上総を助けに寺に飛び込んだ時にできた火傷がひりひりと痛む。
刺された足だって上手く動かない。
のろのろと真木は傷の手当てを始める。
上総はそんな真木を見て呆れる。
「お前は自分のことになると急に杜撰じゃの」
「申し訳ありません」
「お前はわしの従者なんじゃから、もっとその自覚を…」
「…」
「…もう、今はそうではないんじゃったな」
上総は腕を組む。
「兎に角、大事にせい」
「は」
頭を下げる真木に、上総は溜息をついた。
「お前もその、従者然とする振る舞いはやめんか。人前でそんな調子では、目立って仕方ない」
「…は、い。…あの」
「ん?」
「上総様を、なんとお呼びすれば、よろしいでしょうか」
「…そうじゃな」
上総は少し考えてから、にやりと笑って、言った。
「旦那様、とでも呼んでみるか」
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