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2章
第十一話(後)
しおりを挟む城に忍び入るのは、簡単だった。
元々、この城にあてられた兵力も、少なかったのだろう。
すでに負け戦が確定し、城主である仁波の白旗を待つ兵士たちは、やる気のない様子だった。
これなら仁波を連れ出すのも苦労しなさそうだ。
真木は城の上部へ足を進める。
難なく真木は天守へたどり着いた。
そこは、酷く静かだった。
人の気配のない空気に、真木はハッとして、部屋へ踏み入る。
果たして、そこには、すでに生きている人間はいなかった。
自刃した死体たちの中。
真木は見覚えのある一体に近寄る。
腹ではなく、胸に短刀を刺して横たわる、その死体。
真木はその足元に置かれた手紙を手に取った。
しばらく手紙を眺めてから懐にしまおうとして、真木は手紙が二枚あることに気が付いた。
一通はおそらく辞世の句なのだろう。宛名が無い。
しかし、もう一通には宛名が書かれていた。
「真木へ」と書かれたそれを、真木はゆっくり開く。
『最後まで、傍にいてあげて
あのひとは、止まるのがお下手だから』
真木はその短い手紙をじっと眺め、元通り床に置く。
そして、静かに部屋を出た。
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