妹はブラコン娘?!

松野がなめ

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episode5 妹への興味と兄への気持ち

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「あー……昨日は久々に琴音と出かけたもんだから足腰がいてぇ……」

 ってジジイかよ俺は?!

 昨日帰った後、琴音は楽しかったとめちゃ笑顔だった。
 まぁ、そういう意味では良かったのかもしれない。
 ただなぁ……流石に腕に抱きついてくるのは反則すぎるだろ!

 まさかの俺も、琴音の胸の当たる感触にはヒヤッしたぞ……あれはまじで一種の凶器とも言える。あー怖い怖い。

 隼人なら絶対、もう俺は何も思い残す事はないといいはるんだろうが……

 俺は学校が終わり美由達と遊んでから家に帰りリビングへと向かう琴音が夜ご飯の準備をしていた。

「ただいま~」
「あっ……竜にぃ、お、おかえり……」

 だーっ!! やっぱりぎこちなくなってんじゃねぇかあああ!

「竜にぃ、あ、あのさ」
「ん?」

 急に琴音が深刻そうな面持ちで話しかけてきた。

「そ、その…」

 琴音はそう言いかけた後言葉が続かずにいた。

 はぁ……

 何と無く言いたい事はわかる。昨日の抱きついてきた事だろう。
 あの時琴音の嬉しそうな顔を見せられれば誰でも検討はつく。
 そうだとばかり俺は思っていた。

「昨日の抱きついてきた事だろ?」

 だが琴音から返された言葉は意外すぎてヤバかった。

「ほぇ? あ、あれは、そ、その成り行きというか……なんというか……って恥ずかしいから思い出させないでよ、ぅー……」

     おい……絶対成り行きじゃないと思うぞ! 明らかにあれは狙ってたと思うが。

「で? なんなんだ結局?」
「やっぱりなんでもない……」

 あーあー……ダメだこりゃ。昨日の琴音は生き生きしてたんだがなぁ。
 なんというか積極的というかなんというか。いつもの琴音に戻ったって感じだなこれは……

 琴音がモテるという噂を聞いてから、彼氏の一人でもいると俺は思っていたがそんな様子はないんだよなぁ。
 琴音もこんな調子な訳でなかなか仲良くなれないっていうかなんというか……。

 何を話したらいいのかわからないってのが一番でかい。
 側から見れば兄弟なんだから些細な話題でもいいって思われるのかもしれないが。

    それができたら苦労しないんだよなぁ

 さて、どうしたものか。
 俺も最近になって少しは琴音に対して興味を持つようになってきたのだろうか?
 興味と言っても、普段何をしてるんだろうか? だとかほんとに些細な事だけども。

 俺はキッチンで食事を作っている琴音の後ろ姿を見ていると琴音が気がついたのか話しかけてきた。

「ど、どうしたの? き、急にジロジロ見て」
「いや、その、いつもありがとな、飯とかさ」

 俺がそう言うと琴音は吹き出したように笑いながら言った。

「ぷっ、あはは、なぁに~? 急に」
「あ、いや、ちょと思っただけだよ、ほんといつも助かってるからさ」
「竜にぃ……うん、どういたしまして」

 琴音はニコっと笑ってくれた。
 その後俺は琴音と夜ご飯を食べながら些細な会話を心がけてみるようにした。

「琴音はなんか趣味みたいのあったりするのか?」
「えっ?!」

 ん? なんだ? 急にびっくりしたような声出して。

「あぁ! 趣味の話だっけ……えへへ、ご、ごめんなさい、ちょっとぼーっとしてて……」

 なんなんだ一体……俺が琴音の趣味を聞いたらまずい事でもあったのか?
 たまにほんと琴音は、ぼーっとしててよくわからない時があるんだよなぁ。

「う~ん、私の趣味かぁ、ドラマとかアニメとか見たりとか、ファッション雑誌みたりとかかなぁ」
「そ、そうなのか」

 や、やばい……質問したはいい物のだんだん話のネタがつきてきたぞ……
 俺は妹と話す事がこれ程大変なものなのかと改めて実感したときでもあった。

 とりあえずはあんまりしつこく一度に聞くのはやっぱりまずいか。

「琴音、また明日色々話そうぜ?」
「へっ? う、うん!」

 俺はそう言うと風呂へ入るとい言いリビングを出ていった。


 ◆

 私は、お兄ちゃんとご飯を食べたあと瑠璃ちゃんと電話で話していた。

「え~?? ことりんそれ、本当にー?」
「うん! お兄ちゃん、いつもご飯作ってくれてありがとうっていってくれたの!」

 私は内心すごくすごーく嬉しかった。
 お兄ちゃんが私に感謝してくれたことと私の趣味はなんだー?って興味を持ってくれた事に。

 嬉しくて嬉しくてたまらなかった。

「あとね、私の趣味はなんだー?って聞いてきたんだよー! えへへっ」
「やったじゃんー! やっとことりんに興味持ってくれたんだね~!」
「うん! 後ね、昨日お兄ちゃんとデートしたんだよー!」
「……えっ? デート……?」

 おろ? 瑠璃ちゃんどうしたんだろ……

「うんっ! 一緒に買い物したり、帰りに恥ずかしかったけど抱きついちゃったの」
「抱きついちゃった……って、ええ?!」
「う、うん! 瑠璃ちゃんどうしたの? なにかあった?」
「へっ? あはは……あははは……な、なんでもないよっ?良かったじゃん!ことりん!」

 そんな会話を終えた後私は瑠璃ちゃんの態度の変化にちょっと心配でもありました。
 もしかして何かいけないことを言ってしまったのかな……?

 これが後日大変な事になるとは私はまだ知らなかった。
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