妹はブラコン娘?!

松野がなめ

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episode 1 俺の妹

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 ーーお兄ちゃん……



 ん? なんか聞こえるような……



 ーーわたし、お兄ちゃんの事が……



 むむ? なんだこれ……


 ーー大好き



 はい?  なんですと?!


 ーーちゅっ



 は? はああああああああ?!


 ーーガタン!


「いってぇ?!」

 俺は机の上のパソコンのキーボードに額を強打して目を覚ました。

 くっそー、なんなんだ一体今のは。目覚めが悪いにも程があるとはこの事だ。
 だが、俺はすぐにその原因が理解できた。パソコンの画面に映し出されている女の子の姿。

 原因はこれである。

 昨日、隼人からこの今人気があると言われている《仮の彼女》略してカリカノを見れば俺のこの妹への熱い想いがわかるッ! とかなんとかで半ば強引に持ってかされたこのアニメを見ながらいつの間にか寝てしまったらしい。

 とりあえず一応は少し見てみたが、妹と兄の純愛ラブとは……まさに現実世界ではありえない話だな。

 あー二度寝するか……

 俺はベッドに入るとまた深い眠りついた。


 ーーコンコンッ!


 俺は琴音が部屋のドアをノックする音で目を覚ました。

「竜にぃー? 起きてるー? 朝ご飯できたよー?」

 さすがに夜更かししすぎて頭がぼーっとするな。
 俺はもそっとベッドから起きてリビングへ向かうと琴音が朝飯をテーブルの上に置いている姿があった。

「あっ! 竜にぃ、おはよう~」
「おはよう、琴音」

 俺は洗面所に行き顔を洗っていると琴音が顔を覗かせている。

「竜にぃが寝坊なんて珍しいよね~なんかあったの?」
「うっせーなー、昨日少し夜更かししてただけだよ」

 俺が椅子に座り飯を食べていると琴音が正面に座り俺をじーっと見ている。

「はぁ……なんなんだ……その疑いの眼差しは」
「はっは~ん、もしかして彼女ができたとか」

 琴音はニヤニヤ笑いながら俺を見ている。

「それとも~、好きな人ができて考えすぎて眠れなかったとか」

 おい……夜更かしからどうやったらそんな発想に発展すんだ琴音よ……

「そんなんじゃねーよ、ちょっと勉強してたら遅くなっただけだよ」
「はいはい、竜にぃが勉強ねぇ。まっ、そういう事にしといてあげる」

 そういうと琴音はニコっと俺に笑って見せた。



 ーーこ、こいつ絶対信じてねえええ!!



 まぁでも確かに普段勉強なんて全然しない俺を十分知ってる訳だしこんな嘘ついたとこで琴音にはバレバレな訳なんだが……

 俺達は支度をすると学校へ行くため家を出るといつものように美由と隼人が待っていた。

「おーっす!竜也、琴音ちゃん」
「おはよぉ、竜くん、琴音ちゃん」

 美由と隼人が元気よく挨拶してきた。

「おはようございますっ、美由お姉ちゃん、柏木先輩」

 琴音がニコっと笑うと隼人はすかさず毎度のごとく琴音の手を両手で握ると涙を流しながら今日も可愛いです!とかなんとか言っている。

 はぁ……ほんと隼人の妹属性はなんとかならないものなのか。

「おら、隼人行くぞ」

 俺は隼人の襟を掴むとズルズルと引きずって学校へ向かって歩く。

「あ~!琴音ちゃん今日も栄養をありがとおおお!  ーーゴブァ!」


 ーービシッ!


「うっせぇ!!」

 隼人がそう言いきった後脳天目掛けて俺の痛烈なチョップが炸裂したのだった。まぁ、もちろんこれもいつものお決まりになっている訳だが。

 それを後ろで見ていた琴音と美由は顔を見合わせながら笑っていた。

 俺達は学校に着き琴音とは別れ教室に向かっていると何やら廊下で男子達が立ち話をしているのが目に入る。
 話の内容はあの子が可愛いだとか綺麗だとかそんな内容だ。

 ただ一つ引っかかったのは何故か琴音の名前が多数上がっていた事だ。

「なあ? 隼人、琴音ってそんなモテんのか?」
「はあ?! 竜也お前、マジで知らないのかよー?!」

 当たり前だ! そんな今まで妹がモテるとかモテないとか考えた事すらなかったわ!

 俺が苦笑いしていると隼人は片手で頭を抑えてうなだれていた。

「その顔じゃ、マジで知らないみたいだな……琴音ちゃんバスケ部のエースだろ? その中でも一番の人気みたいだぜ、顔も可愛いし、スタイルもいいし、性格もいいって言うまさに妹の中の妹って感じだあああ!」

 そこまで言うとかなり大げさな気もするぞ隼人よ……
 

    ーーというかそこに妹の文字はいらねぇだろ!!
 
    だがまぁ性格がいいって言うのは認めなくもない訳だが。

 そういや、琴音がバスケ部に入っているのは聞いてはいたがバスケしてる所は一度も見たことはなかったな。
 たまには見にいってやるのもいいか。俺は帰りに少し見にいってやる事にした。

 そして普段通り授業を終え放課後バスケ部が練習している体育館へと向かってみた。
 すると何やら入口付近に小さな人集りができているのを見つけた。

 俺はその人集りの横で体育館を覗いてみるとそこにはまさに練習真っ最中の琴音の姿があった。

 今はシュートの練習か何かだろうか、琴音はボールをパスしてもらうと華麗にシュートを決めていた。

 おお! 結構さまになってるもんだな。
 俺が見ていると琴音が入り口のほうに向かってきたので俺は声をかけてみる事にした。

「よう、練習お疲れさん」
「あっ、ありがとうごますーーって、りゅ、竜にぃ~?!」

 ん? 何だ? たしかに急に声をかけたかもしれないがそこまでびっくりされるような事だったのだろうか。

「な、な、な、な、なんでこんなとこに?!」

 いやいや、まてまてそんな驚く事か?!

「み、み、見てたの? 練習……」
「お、おう、結構さまになってたぞ?」
「~~~~~~~~?!」

 琴音は何故かは知らんが言葉になってない声を上げながら顔を真っ赤にして猛ダッシュで体育館を飛び出していった。

 っておい……練習どうすんだあいつは。というか、周りの男共の視線が何故か強烈に痛いぞ!!

 俺は足早に体育館を後にし家路についた。

 結局のところ、琴音のあの行動は一体なんだったのか。
 あそこまでされると妙に気になってしまうんだよなぁ……



 ーーそんな事を考えてるうちに今日も1日が終わった。


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