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第二章 浮遊島は星々と共に。
第28号 少年と新浮遊島。
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「い、いやぁぁぁぁぁ!」
「『うわぁぁぁぁぁ!』」
目の前はもう森の中だった。周りの木々は痛々しい音とともに無差別に倒れていく。
一瞬青空を見た気がする。あー、綺麗だなーと思う。もうそれしか考えられない。
『後方、換気極!防御力強化!』
フミカが何かを大きな声で叫ぶ。その直後、艇の後ろの方からボフンと空気の移動する音がした。今まであった地面を削る振動がなくなり、一瞬の間その場の全員に浮遊感が訪れる。そして、待ってましたとばかりに艇が淡く光る。
最後に何度か森を削って、艇は止まった。
「な、なに?今の…!」
レイは怯えている…のか楽しんでいるのかわからない顔でこちらを見てくる。
『島との…距離の計算を間違えました…。』
おかしいですこの艇には緊急アラームが付いていたはずです何処か壊れているんでしょうかなら直ぐ様直さなければ、フミカは何かしら黒いオーラを出しながらぶつぶつと言う。
「って、いうか。皆大丈夫?かなり揺れたよね。」
かなり、という言葉は少々お世辞臭かったかと言った後に気付く。取り敢えず二人を落ち着かせることにした。
しかし周りを見ても本棚は倒れておらず、その中の本達すら多少前に出てたりはしているものの、一冊も床に落ちていなかった。
『故障箇所二つ。破損箇所六つ。今ので数日は飛べなくなりましたね…。』
声からして残念がっていることがよく伝わってくる。
「あ、あのさ、フミカさん。さっきの魔法みたいなのも、フミカさんがやったの?」
『あ、はい。あれはドールの方なら誰でも出来ます。ドールは一体一隻で飛空艇とペアで移動します。その操縦操作の一貫ですね。』
なるほど。
「言葉だけで?」
『はい、一応。』
すごいなぁと感心する。
換気?
はい、換気です。
そっかー。
ここでまた、備考を一つ。ヒルトは現在、ドールというアンドロイドの存在を半分以上信じている。しかし、細かく言えばそれもまた少し違っていて「ヒルトはドールという存在がある、という前提で話しをしている」の方が正しいだろう。それが無自覚なのかどうかはヒルトしか分からないところではあるのだが。
「ヒルトー。そと!外っ!」
レイがヒルトの服の裾を引っ張る。なかなかくすぐったい。
「何?」
「見たことないやつ!」
島に不時着する前とは売って変わって、とても輝かしい表情をレイは浮かべている。そのレイに連れられて葉の付いた窓の先を見た。
「ヒッ!な、何あれ。」
そこにはドロドロとした緑色の、液体のような個体のような物体があった。そしてそれは何故かもぞもぞと動いている。
「行こ!見に行こ!!」
いや、いやいやいや。
「あれ絶対近づいちゃいけないやつ!ダメなやつ!ま、待って。レイー!!」
ズルズルと引っ張られる。
「フミカさん!助け…、」
あああああああ。
そのまま部屋の外に連れていかれる。対してフミカは、どうやって、どうしてやっているのかは分からないが、操縦席の下の扉を開いて何やら細かい作業をしている。
あああああああ。
フミカを残した部屋からヒルトの声が遠退いて行く。
「『うわぁぁぁぁぁ!』」
目の前はもう森の中だった。周りの木々は痛々しい音とともに無差別に倒れていく。
一瞬青空を見た気がする。あー、綺麗だなーと思う。もうそれしか考えられない。
『後方、換気極!防御力強化!』
フミカが何かを大きな声で叫ぶ。その直後、艇の後ろの方からボフンと空気の移動する音がした。今まであった地面を削る振動がなくなり、一瞬の間その場の全員に浮遊感が訪れる。そして、待ってましたとばかりに艇が淡く光る。
最後に何度か森を削って、艇は止まった。
「な、なに?今の…!」
レイは怯えている…のか楽しんでいるのかわからない顔でこちらを見てくる。
『島との…距離の計算を間違えました…。』
おかしいですこの艇には緊急アラームが付いていたはずです何処か壊れているんでしょうかなら直ぐ様直さなければ、フミカは何かしら黒いオーラを出しながらぶつぶつと言う。
「って、いうか。皆大丈夫?かなり揺れたよね。」
かなり、という言葉は少々お世辞臭かったかと言った後に気付く。取り敢えず二人を落ち着かせることにした。
しかし周りを見ても本棚は倒れておらず、その中の本達すら多少前に出てたりはしているものの、一冊も床に落ちていなかった。
『故障箇所二つ。破損箇所六つ。今ので数日は飛べなくなりましたね…。』
声からして残念がっていることがよく伝わってくる。
「あ、あのさ、フミカさん。さっきの魔法みたいなのも、フミカさんがやったの?」
『あ、はい。あれはドールの方なら誰でも出来ます。ドールは一体一隻で飛空艇とペアで移動します。その操縦操作の一貫ですね。』
なるほど。
「言葉だけで?」
『はい、一応。』
すごいなぁと感心する。
換気?
はい、換気です。
そっかー。
ここでまた、備考を一つ。ヒルトは現在、ドールというアンドロイドの存在を半分以上信じている。しかし、細かく言えばそれもまた少し違っていて「ヒルトはドールという存在がある、という前提で話しをしている」の方が正しいだろう。それが無自覚なのかどうかはヒルトしか分からないところではあるのだが。
「ヒルトー。そと!外っ!」
レイがヒルトの服の裾を引っ張る。なかなかくすぐったい。
「何?」
「見たことないやつ!」
島に不時着する前とは売って変わって、とても輝かしい表情をレイは浮かべている。そのレイに連れられて葉の付いた窓の先を見た。
「ヒッ!な、何あれ。」
そこにはドロドロとした緑色の、液体のような個体のような物体があった。そしてそれは何故かもぞもぞと動いている。
「行こ!見に行こ!!」
いや、いやいやいや。
「あれ絶対近づいちゃいけないやつ!ダメなやつ!ま、待って。レイー!!」
ズルズルと引っ張られる。
「フミカさん!助け…、」
あああああああ。
そのまま部屋の外に連れていかれる。対してフミカは、どうやって、どうしてやっているのかは分からないが、操縦席の下の扉を開いて何やら細かい作業をしている。
あああああああ。
フミカを残した部屋からヒルトの声が遠退いて行く。
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