18 / 33
第一章 始まりは浮遊島。
第15号 少年と島のモノ。
しおりを挟む
「レイ?……レイ?」
茂みの中を歩いているレイに、ヒルトも歩きながら何度か声をかける。先ほどから何回もやっているのだが、全く返事は帰ってこない。
きりがないので、揺すぶってみる。
「レイ…?大丈夫?」
「……お、ひるとー。…どうしたのー?」
気の抜けた返事。寝ぼけているようにしか見えない。
「どうしたのって、レイこそ何処に行くんだよ。」
「…何処、に?」
足を止め、空を仰ぎ、何かしら考え込んでいる。
「えぇーと…わかんない。…取り敢えず、行か、なきゃ。」
また、足を進める。
ここでレイを止めても良いのだが、本当に用事があるのかも知れないし、このままにしていて危険なことが起きるかどうかもまだわかっていないので止めておいた。
それにそもそもの原因がわからない。原因が分からなければ、もしこれが何かしらの病気だったとして、これから同じことがあった場合、対処法が何もないことになる。
ヒルトはこれから約一ヶ月はレイと一緒に居るということをしっかり頭の縁に入れているということだ。
レイがとあるところで止まった。
沢山の木が集まる森の中、堂々とそびえ立つとても大きな木。
大樹の前である。
ウディクと比べるとすると2m差で木の方が大きい程だった。
その大樹の根本、何か機械のような大きな物体がある。もともとあった物体の上に苗木が植えられ、育ったような感じに。
物体は近くに行ってよく見ると乗り物のようにも見えた。
レイがまた歩き出す。
大樹の反対側に行くと、石碑のような物が埋められていた。
側面に筆で書かれたような文があり、きっと古代文字なのだろうが、それは学習済みのヒルトにも読めないような物だった。
ただそれは知らない文字という訳ではなく、殴り書きで書かれており、風化した跡もあり、挙げ句の果てには鳥のフンまで落ちてあり、つまり、汚なすぎて読めなかったのだ。
「わた…し、は……こ、こに?……の…ふ、ど、を………こと…した。」
ヒルトは読めるところまでは読んで見たが、肝心なところだけ分からない。
レイが石碑の頭部に付いてある懐中時計を手に取る。幸い、その時計には鳥のフンは落ちていなかった。
「……あ、あれ?」
レイがぐるっと周りを見渡す。ヒルトに気が付いた。
「…ヒルト……。あ、ねぇここ、どこ?」
レイは意識が戻ったのか首をかしげる。そもそも本当にレイが無意識だったのかをヒルトは知らなかったので、少し驚く。
「さ、さあ。レイに付い行って見つけた場所だから…。レイはここに来たことないの?」
もう一度、レイが周りを頭をゆっくり動かし見る。
「……。」
数秒の無言。鳥の羽ばたく音が上から聞こえてくる。
レイがはっ、とした表情をとった。
「…ないっ!」
(ないのかよっ!)
片腕を上げた、元気の良い返事。
(今の何かしら凄いことに繋がる場面じゃないのっ!?
……あ、しまった。…今日変なことばっかあったから、少し変な方向に期待した…。……恥ずかしい…。)
赤面。確かにヒルトはこの一日、普通の日常では絶対と言えるほどに出会えないようなものに沢山出会った。
それはもう、またすぐに不思議なことが起きても不思議ではないほどに…。
茂みの中を歩いているレイに、ヒルトも歩きながら何度か声をかける。先ほどから何回もやっているのだが、全く返事は帰ってこない。
きりがないので、揺すぶってみる。
「レイ…?大丈夫?」
「……お、ひるとー。…どうしたのー?」
気の抜けた返事。寝ぼけているようにしか見えない。
「どうしたのって、レイこそ何処に行くんだよ。」
「…何処、に?」
足を止め、空を仰ぎ、何かしら考え込んでいる。
「えぇーと…わかんない。…取り敢えず、行か、なきゃ。」
また、足を進める。
ここでレイを止めても良いのだが、本当に用事があるのかも知れないし、このままにしていて危険なことが起きるかどうかもまだわかっていないので止めておいた。
それにそもそもの原因がわからない。原因が分からなければ、もしこれが何かしらの病気だったとして、これから同じことがあった場合、対処法が何もないことになる。
ヒルトはこれから約一ヶ月はレイと一緒に居るということをしっかり頭の縁に入れているということだ。
レイがとあるところで止まった。
沢山の木が集まる森の中、堂々とそびえ立つとても大きな木。
大樹の前である。
ウディクと比べるとすると2m差で木の方が大きい程だった。
その大樹の根本、何か機械のような大きな物体がある。もともとあった物体の上に苗木が植えられ、育ったような感じに。
物体は近くに行ってよく見ると乗り物のようにも見えた。
レイがまた歩き出す。
大樹の反対側に行くと、石碑のような物が埋められていた。
側面に筆で書かれたような文があり、きっと古代文字なのだろうが、それは学習済みのヒルトにも読めないような物だった。
ただそれは知らない文字という訳ではなく、殴り書きで書かれており、風化した跡もあり、挙げ句の果てには鳥のフンまで落ちてあり、つまり、汚なすぎて読めなかったのだ。
「わた…し、は……こ、こに?……の…ふ、ど、を………こと…した。」
ヒルトは読めるところまでは読んで見たが、肝心なところだけ分からない。
レイが石碑の頭部に付いてある懐中時計を手に取る。幸い、その時計には鳥のフンは落ちていなかった。
「……あ、あれ?」
レイがぐるっと周りを見渡す。ヒルトに気が付いた。
「…ヒルト……。あ、ねぇここ、どこ?」
レイは意識が戻ったのか首をかしげる。そもそも本当にレイが無意識だったのかをヒルトは知らなかったので、少し驚く。
「さ、さあ。レイに付い行って見つけた場所だから…。レイはここに来たことないの?」
もう一度、レイが周りを頭をゆっくり動かし見る。
「……。」
数秒の無言。鳥の羽ばたく音が上から聞こえてくる。
レイがはっ、とした表情をとった。
「…ないっ!」
(ないのかよっ!)
片腕を上げた、元気の良い返事。
(今の何かしら凄いことに繋がる場面じゃないのっ!?
……あ、しまった。…今日変なことばっかあったから、少し変な方向に期待した…。……恥ずかしい…。)
赤面。確かにヒルトはこの一日、普通の日常では絶対と言えるほどに出会えないようなものに沢山出会った。
それはもう、またすぐに不思議なことが起きても不思議ではないほどに…。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
召喚アラサー女~ 自由に生きています!
マツユキ
ファンタジー
異世界に召喚された海藤美奈子32才。召喚されたものの、牢屋行きとなってしまう。
牢から出た美奈子は、冒険者となる。助け、助けられながら信頼できる仲間を得て行く美奈子。地球で大好きだった事もしつつ、異世界でも自由に生きる美奈子
信頼できる仲間と共に、異世界で奮闘する。
初めは一人だった美奈子のの周りには、いつの間にか仲間が集まって行き、家が村に、村が街にとどんどんと大きくなっていくのだった
***
異世界でも元の世界で出来ていた事をやっています。苦手、または気に入らないと言うかたは読まれない方が良いかと思います
かなりの無茶振りと、作者の妄想で出来たあり得ない魔法や設定が出てきます。こちらも抵抗のある方は読まれない方が良いかと思います
交易艇は何をや見やる
南江あじん
ファンタジー
世界のかたすみ、内海を囲む街々を転々とする交易艇レプリカン号。彼女は迷える若者を受け入れる。彼女の甲板から見える景色に魅せられた若者は、何を想うのだろう。先へ進む者、幻想に留まる者。彼女は静かに見守り続ける。遥か上空で歩む群像劇。
【R18】もう一度セックスに溺れて
ちゅー
恋愛
--------------------------------------
「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」
過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。
--------------------------------------
結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
ざまあ~が終ったその後で BY王子 (俺たちの戦いはこれからだ)
mizumori
ファンタジー
転移したのはざまあ~された後にあぽ~んした王子のなか、神様ひどくない「君が気の毒だから」って転移させてくれたんだよね、今の俺も気の毒だと思う。どうせなら村人Aがよかったよ。
王子はこの世界でどのようにして幸せを掴むのか?
元28歳、財閥の御曹司の古代と中世の入り混じった異世界での物語り。
これはピカレスク小説、主人公が悪漢です。苦手な方はご注意ください。
[恥辱]りみの強制おむつ生活
rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。
保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる