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第一章 始まりは浮遊島。

第3号 少年と夢。

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 次の日の朝。
「うう…やっぱり、緊張して寝れなかった…。子供かぼくは…。」
 朝一の列車にゆられ、ヒルトは一人言をつぶやき、手で額を押さえる。やはり目の下が少し黒くなっていた。
 窓の外はまだ薄暗い。列車内ではレトロと言う暇もないくらいの鉄の匂いが周りから漂ってくる。
(…しかも、田舎の列車は妙に朝早いし。むっちゃ、ねみー。
 あっちに行ったら飛行船、乗れるのかな。央都、どんな…街…なんだ、ろ…)
 列車はガタガタゆれるがそれにのせて逆に眠気を連れてくる。
 昨夜寝れなかったからか、ヒルトは寝息をたてるほどぐっすり寝てしまった。



 目の前には真っ白な霧。
「ヒィールゥ。こっちぃー‼️」
 あの子は誰だっけ、ここはどこだっけ、わからない…わからないけど、たしか前に見たことがある、そんな場所。
 そこには地平線が見えるほどの壮大な星空が広がっていた。下には雑草、前には…顔が見えない…、6才くらいの少女が腕を大きく振って立っている。
「何してるの?早く行きましょう?」
 どこ行くの?そう聞きたかったが声が出ない。
「どこ行くの、って…。ほら、あの大きな船。面白そうでしょ?」
 僕の聞きたいことがわかったのか、少女は素直に答えた。
 少女が手招きしている。僕はその手招きに乗り、少女を追いかけていった。大きな船に近づいていく。

 _違う。…待って‼️それは!行っちゃ…だ…!
 肝心なところで声が出ない。
 待って‼️行っちゃダメなんだ‼️それは…それには…乗っちゃ…行けないんだ…‼️
 少女には声が届かない。そのまま少女は船に乗る。何か言っているようだがこっちも聞こえない。
 だから、ダメなんだよ…。



 「行くな‼️」
 ヒルトは手を前に上げ、ふるえていた。髪も逆立っていて怯えているような表情をしている。
 それに対し、周りの人達が何事かと振り向いてくる。
「…あ、あははは。す、すみません…。」
 あわてて両手をふる。顔が赤い。
 ヒルトは日用品の入ったカバンを持って列車から降りていた。
(…よりにもよって、あの夢をみるか。………あれ?いつの間に列車降りたっけ?)
 無意識だったのか、ヒルトはキョトンとしている。上の方から駅のアナウンスが聞こえてくる。
『二番線に列車が到着します。345、345列車が到着します。』
「…うぁあ!!乗り換えないとっ!」
 ヒルトは似合わなそうなハンチング帽子を押さえ二番線の方へ走って行く。

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