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第一章 始まりは浮遊島。
第2号 少年と過去。
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2日前、田舎町の夕方。
「ヒルー。明日の朝、村を出るんだってなぁー。まだ若いんだ、捕まるようなことしたら承知しねぇぞぉー。」
「そうかぁ。ヒルちゃん、もう行くんだっけぇ?おばちゃん、寂しいわぁー。」
左右の畑から近所のおじさんたちが声をかけてくれる。
手を振りながら、16歳、というには少し背の小さいその少年は爽やかな笑顔でそれに返す。
「はーい。気をつけて行ってきます!今までありがとうございました‼️では、またいつか!」
「あ、ちょっと待ってヒルちゃん。」
右の畑のおばさんが、何か思い出したように言った後、急いで目の前のトマトをあるだけ採る。
「こーれ、持ってってー。」
そう言って、トマトを軽く投げてくれた。
「うぉっと。と、ありがとうございます!」
目の前(といっても斜め上)のおばさんに軽い一礼をし、そのまま、ヒル、ヒルト・ジレーンは田舎道を自分の家に向かいトマトを一つかじり、歩き出した。
ふと思い返す。自分がこの村を出ようとしたきっかけを、走馬灯のように。
__ほら、行きましょう?
幼い少女の声。一つだけなら、やっと、思い出すことが出来た。
(誰も…覚えて、ないんだよな…。)
怒りを抑え込むように手を力強く握りしめ、すぐにそれをほどく。
(だめだ…村の人達は誰も悪くないんだ。悪いのは、そう_)
僕だ。
そう考えようとしたが、すぐに止めた。そう考えてしまったらこれから何も出来なくなるような気がした。
「ヒルー。明日の朝、村を出るんだってなぁー。まだ若いんだ、捕まるようなことしたら承知しねぇぞぉー。」
「そうかぁ。ヒルちゃん、もう行くんだっけぇ?おばちゃん、寂しいわぁー。」
左右の畑から近所のおじさんたちが声をかけてくれる。
手を振りながら、16歳、というには少し背の小さいその少年は爽やかな笑顔でそれに返す。
「はーい。気をつけて行ってきます!今までありがとうございました‼️では、またいつか!」
「あ、ちょっと待ってヒルちゃん。」
右の畑のおばさんが、何か思い出したように言った後、急いで目の前のトマトをあるだけ採る。
「こーれ、持ってってー。」
そう言って、トマトを軽く投げてくれた。
「うぉっと。と、ありがとうございます!」
目の前(といっても斜め上)のおばさんに軽い一礼をし、そのまま、ヒル、ヒルト・ジレーンは田舎道を自分の家に向かいトマトを一つかじり、歩き出した。
ふと思い返す。自分がこの村を出ようとしたきっかけを、走馬灯のように。
__ほら、行きましょう?
幼い少女の声。一つだけなら、やっと、思い出すことが出来た。
(誰も…覚えて、ないんだよな…。)
怒りを抑え込むように手を力強く握りしめ、すぐにそれをほどく。
(だめだ…村の人達は誰も悪くないんだ。悪いのは、そう_)
僕だ。
そう考えようとしたが、すぐに止めた。そう考えてしまったらこれから何も出来なくなるような気がした。
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