黒竜はご飯が食べたい

一章

5※天使視点

私、天使。今宮殿の修復中なの。

はっきり言います！あの兄妹、色々壊し過ぎです！少しは下っ端の事も考えて下さい！

「はぁ……」

一度に色々な事が起こって疲れました。
女神様は半壊を免れたお部屋で休息中です。やはり黒竜様の転生はお身体への負担が大きかったのでしょう。

宮殿の修復作業をしながら…ふと思ってしまいます。
女神様のお世話係になり数百年。黒竜様の転生が女神様に良い切っ掛けを与えてくれれば……と。魔族が攻めてくるかも？ですけどね！

私が生まれる前、人間達が禁忌を犯したそうです。
女神様はその事に激怒し黒竜様の力(必殺・他力本願)で人間達の文明を滅ぼし、女神様は言いました。

「人間は信用しない。以後私の名を呼ぶことを禁止する。呼んだ者、呼ばせた者には神罰が下る」

(貴方もそうしなさい。人間達は貴方の事を私の従魔だと思っている。だからその方が都合が良いのよ、分かった？『黒竜』君)

(いや、俺は別に名前の呼び方とかどうでも……)

(……お願いします)

(はぁ、分かった分かった)

(お兄様に命令とか、死ねよ雌豚)

(っ⁉)

女神様は神の一柱に人間の監視を命じました。
以後、人間達は女神様の名を呼ぶ事は無くなります。
一部の国では「女神様の名を呼べる者『聖女』を探す」なんて言っていましたが、国ごと滅ぼされてしまった様です。
あ、もちろん国を滅ぼしたのは黒竜様みたいですね。

今までに二・三人は女神様と仲良くなった人もいたようですが…女神様はほとんど天界に引きこもりです。
まあ、お仕事の『魂の管理』はしっかりしていらっしゃるのですけど。
でもこのままではいけない気がします。女神様と人間達…『神話の時代』の時の様な関係に戻れれば。
私は空に向かって祈りました…ここ天界だけど。


「生命の女神イセリア様に良いことが起こりますように……」

『神罰‼』

「ぎゃあああぁぁぁーーっっ！？！？」

圧倒的理不尽‼