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集落

世界はエロいことで開花する(4)奇妙な共同生活

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スティーブンが彼女たちと、そんなことをしているとは思いもしていない、ロイとナイトが集落で食塩を作っていた。
ロイは早速、持っていた鍋に滝の綺麗な水を汲んだ。
次に、荷物の中からライターを取り出し、いらない木を削って木屑にして火を
つけた。
火を付けた時、彼女たちが後退りをしたが、危なくないと分かるとロイの作業を
興味津々に見ていた。
袋の中に入れた塩の塊を、手頃な木の棒で細かく砕き、それを鍋に入れた。

しばらくすると塩が水に溶け、土や小石などが浮いてきた。
もう一つある鍋に布を被せて塩水を濾すと、布に不純物が残り、鍋には綺麗な塩水だけになった。
そこからは、煮詰めていくだけ。
量がそこまで多くなかったのもあって、あっという間にコップ一杯分位の塩が
出来た。
時間が夕方に近かったこともあり、そのままその塩を魚に付けて、塩焼きにして
晩ご飯にすることにした。

そんな作業をしていると、スティーブンが集落に戻ってきた 。
戻ってきて開口1番 ナイトに 「ワルィ、やっちゃった」と言いながら事の経緯を
説明した。
「は!? お前なぁ …」
「いいや不可抗力だって! 俺1人でやろうとしてたのに向こうがさ、尻尾を上げて、アソコ丸出しにしてケツ振ってくるんだもん。 あれって絶対『やりたいです』って意味だよ! しかも、3人が3人とも同じようにしてくるから、間違いなく向こうからのアプローチだよ 」
スティーブンの話に呆れる2人 。
「…まあ、向こうからのアプローチがあったのならまだいいけど……そこら辺の
彼女たちの立場っていうのがよく分からなかったから、場合によっては危なかった
かもしれないぞ 」
頭を抱えて呟くナイトに、困惑そうに聞き返すロイ。
「どう言うことですか?」
「気づいてるだろう、ここやたらと男が少ないんだよ! ってことは、男の地位がものすごく高いか、あるいわ逆にめちゃくちゃ低いかのどっちかなんじゃないのって思ってたんだ。 もし低い方なら彼女達に手を出して、その日の晩飯にされる
可能性だってあったんだよ。 俺たちをここに連れてきた彼女たちの目的が分からなかったから、分からない内は変なことをするなと言ったんだ」
タメ息を付くナイト。


考えても分からなっかので、とりあえず引き続き晩ご飯作りに戻った。
鱗や内臓を丁寧にとった魚を木の棒に刺して、火に立てかけた。
その間も彼女達は興味津々にこちらを見ているだけで、特にこれといって何かを
仕掛けてくることもなかった。
しばらくして辺りには魚の焼けるいい匂いが立ち込め始めた。
「良い匂い~、腹減ってきた~」
ロイは頃合いを見て、焦げ目が付いた魚をナイトとスティーブン渡した。

渡された魚を手にした2人がフーフーと息を吹いて、少し冷ましてから口を
つけた 。
口の中に入れた瞬間、魚の脂身と程よい塩気が口の中に広がる。
「うぅんめぇ~!」
「うん、うまい。 やっぱりロイは料理が上手いな」
2人が美味しそうに食べるのを見てロイも食べ始めた。
そんな3人の様子を遠巻きに見ていた彼女たちの何匹かが近くに寄ってきた。
「ん? 何々、君も欲しいの?」
彼女たちにもこの状況にもすっかり慣れてしまったスティーブンは、言葉は
通じないのに近くにいた彼女のひとりに声をかけた。
「しょうがないね、熱いから気を付けるんだよ 」
そう言って自分が食べている魚を少しちぎってフーフーと熱を冷ましてから、
彼女の口の中に入れた。
ハフハフっと熱そうに口の中の魚を噛んでから、飲み込んだ。
美味しかったのか 「ギャルぅギャルぅ」と鳴きながら、尻尾を上下にバタバタすると、周りにいた他の彼女たちも寄ってきた。
「しょうがないなー」と同じく魚を少しちぎってフーフーと冷ました後で、
他の彼女達にも分けてあげると「ギャルぅギャルぅ」と同じように、尻尾を
バタバタしながら美味しそうに食べた。

ナイトはその時に初めて彼女たちの中に男が1匹、混じっていることに気づいた。
彼女たちは魚をちぎって与えていたが、その男には魚を丸ごと1匹渡した。
この集落における男の立場が分からなかったからだ。
「まるまる1匹あげちゃっていいんっすか?」
「彼女たちの中における、男って言う立場というものを確認したいんだ」

彼はナイトたちと同じようにフーフーと冷まし、同じように魚にかぶりついた。
そして彼女たちと同じように「ギャルぅギャルぅ」と鳴いた。
魚が熱いと言うことも、息を吹きかけると冷めると言うことも、理解しているほどの頭の良さにナイトは驚いた。
周りに居る彼女たちはその様子を見ても、特に咎める様子もなく、喧嘩になる様子もないことから、ナイトはこの集落における男の立場は女たちよりも上であると
確信した。
「1匹丸ごと食べても周りの彼女たちは、特に気にもしてないってことは、
立場が上ということですか?」
「…おそらくは、だがな 」
「それって、もしかして俺たちもっすかね」
「だと、いいんだけど」

そんな会話をしながらもスティーブンが取ってきた1メートルを超す魚を調理し
始めたロイ。
流石に丸焼きは無理なので、捌くことにした。
鍋に水を入れ、炙った魚の骨を煮詰めてとった出汁に、もともと荷物の中に入っていたハーブソルトで下味をつけた魚を入れて煮る。
それを今度はスープと一緒に器に取り出しフーフーとまた熱を冷ましてから、
フォークでちぎった一切れを食べると口の中いっぱいに魚とハーブのいい味が
広がった。
「うんんんっめぇ~」
大袈裟に喜ぶスティーブンを見てまた彼女たちが興味を持った。
そして同じく器の中の魚を、フォークで分けてフーフーと熱を冷まし、彼女たちの口の中に入れると、また同じように尻尾を上下にバタバタさせて美味しそうに食べた。
食を通して彼女たちと、良好な関係を結ぶことが出来た。


翌朝、日が登るのと同時にナイトは起きた。
と言っても、彼女たちが用意してくれた穴に寝袋を敷いて、横になっていただけで、眠っていた訳じゃなかった。
交代で見張りをしていたからだった。
目が覚めてすぐ、ナイトはポケットの手帳を取り出し日記を書いた。

『この世界に来て2日目、とりあえず寝床は確保できたと同時に多分、安全も確保できた と思われる状況にある。 それは謎の種族リザードマンの集落に保護されたからである。
まだ今、どうやってこの世界に来たのか、これからどうすべき状況なのかを分からない、とりあえずは、衣食住はどうにかなりそうだ。 後の問題は彼女たちのと
意思の疎通を円滑にすること』

ナイトは寝床から出て、近くの滝で顔を洗い、昨日作った塩で歯を磨いた。
歯磨き粉や石鹸なども一応持ってきてはいたけど、何が彼女たちの機嫌を損ねる
引き金になるのかが分からないので、なるべく使わないようにしようと、
3人で話し合った。
そんなナイトの様子を、起きて来た彼女たちが不思議そうに見ていた。
そんな彼女たち構わず、持って来たコップに滝の水を入れて、それで口をゆすぎ、ぺっと川に吐き出した。
同じく2度3度ゆすいで、また川にぺっと出した。
寝床に戻る途中、ナイトは1つのことに気がついた。
さっきまで自分が顔を洗っていた滝の川下の方で1匹の彼女が川の中に
入っていた。
何をしているんだろうと思っていたが、足を開いて下半身だけ入っていたのである事に気付いた。
彼女たちにとってそこはトイレなんだということに。
確かにアフリカやアマゾンの奥地では、トイレなんかなく決まった川の中の位置でしてそのまま流すという習慣がある。
服も着なければ料理もしない彼女たちが、トイレを設置しているはずもない。
水の流れとともにおしりも綺麗になるから、彼女たちにとってはそれが日常。

そんなことを思っていた時、寝ぼけながらスティーブンが声をかけてきた。
「リーダー、おはよーございます 。 ここでトイレとかって無いんすか?」
そう言ってきたので、今まさにトイレをしている彼女1匹を指さした。
「……マジか」
「とりあえず、ここの川が昨日、お前が泳いでた川とつながってなくてよかったな。 顔を洗うなら、滝の水を使えよ昨日。 確認したけど上には誰もいなかったし、とりあえずその水はきれいだ」
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