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四章 三年生
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私は寮に戻ってからずっと寝ていた。ご飯とトイレの時だけもぞもぞ起きて、死んだ目でやった。今が、学校の無い夏休みで良かったと思う。
カーテンを閉め切った薄くらい部屋の中。私はずっと、あの施設での事をぐるぐる思い出していた。私はどうすれば良かったのだろうか?
部屋の中に誰かの足音が聞こえた。
「ダーマさん……」
私の部屋に忍び込んだ来るのは、彼くらいだろう。
「……なにがあった知らないが、いい加減起きたらどうだ」
ダーマさんの声が聞こえる。私は黙ってしまった。起きたい、けど起きれないのだ。ダーマさんが、ベッドの横の椅子に腰掛けた。
「今日は飯を食ったのか?」
「……朝から何も食べてません」
昼過ぎだが、私はまだ何も口にしていなかった。このまま夕方まで寝ているつもりだった。
「身体を壊すぞ……」
刃物で何かを切る音がした。私はくるまったシーツから顔を出して見る。ダーマさんが、りんごの皮をナイフで剥いていた。
「りんごくらい食えるだろ」
「はい……」
切り分けたリンゴを差し出される。私はそれを受け取って、食べた。甘い果樹が口の中に広がる。空腹のお腹が歓喜している。
「おいしい……」
「もっと食え」
りんごが私の手に押し付けられた。私は言われるまま、食べた。シャリシャリもぐもぐ、まるっと一つ分のリンゴを食べた。
「水も飲め」
水の入った水筒を押し付けられて、私はそれを飲んだ。口をつけると、喉の乾きが癒やされて半分近くいっきのみしてしまった。
「あ、ありがとうございました……」
水筒をダーマさんに返す。
「あぁ」
水筒はベッドサイドの机に置かれた。
「それで、何があったんだ」
ダーマさんは同じ質問を繰り返した。
「えっと……」
向き合って、だんまりを通すのは難しい。
「他の特級魔法使いとの実力差に驚いたのか? そんなのは駆け出しのおまえにとってあたりまえの事だろ。気にする必要は無い」
私はダーマさんを見る。彼は慰めようとしてくれてるんだ。
「あ、いえ。実力差は確かに感じました……でも私が落ち込んでるのはそこじゃなくて……まぁ、関係無くも無いんですが」
私が無力だったから、フローラを救えなかったのは事実だ。
「それとも特級魔法使い達に何か言われたか? ……エイブの奴は高飛車だからな」
「エイブさんは、いろいろと助けてくれました……」
「じゃあなんだ」
ダーマさんが腕を組んで、首を傾げる。
「黙っていても俺にはおまえの考えている事はわからない。俺は……察しの悪い人間らしいからな。先代の火の特級魔法使い、ルナール様にもよく言われた。こういう時、どうすれば正しいのかわらからないんだ」
ダーマさんが組んでいた腕を解く。
「だから教えてくれないか。俺は、もう間違えたくない」
私は少し驚いた。
「ダーマさんは、何かを後悔してるんですか?」
「……おまえの事を後悔している」
「え」
意外な答えだった。
「キリルとヘルマンの事を見て、そう思ったんだ」
キリルはついこないだまで私の命を狙って来ていた。ヘルマンは彼の上司だった。
「俺は……それが正しいと思って、おまえに火の特級魔法使いの心臓を移植した。それが残された俺の義務だろうと思ったし、亡くなったルナール様も望まれた事だろうと思ったんだ。だから、多少無理矢理にでもその任務を遂行した。それが、正しい事だと信じたからだ」
私はダーマさんに攫われて、火の特級魔法使いの心臓を移植された。それは無事に成功したが、失敗すれば死んでしまう可能性もあった。
「だが……キリルとヘルマンを見て。そうでは無いのかもしれないと思った。キリルはヘルマンの為に、火の特級魔法使いの心臓を求めた。それが正しい恩返しだと思ったからだ。けれれどヘルマンは、キリルにそんな事は望んでいなかった」
ヘルマンは、キリル達がそんな事をしているのを知らなかった。知っていれば、彼はすぐに止めさせただろう。
「ヘルマンさんは……ただ、キリルさん達の幸せを願っていましたね……。火の特級魔法使いの心臓よりも、彼らの命の方が重いとおっしゃてました」
それは無償の愛だ。彼らがそこに居て生きててくれるだけで嬉しいと言う愛情なのだ。
「俺の……師もそうだった。ルナール様は……俺に人としの生を見つけろとおっしゃった。何度も言われたが、俺にはそれが理解出来なかった。俺は、こんな俺を側に置いてくれたルナール様に恩返しがしたかった。だから、彼の右腕となって敵を倒した」
彼はうつむく。
「だが俺は、正しい道が見えていなかったんだ。ルナール様は、おまえに特級魔法使いの心臓を無理矢理移植する事なんて望んでいなかったのかもしれない。いや、望んでいなかっただろう。俺は間違えたんだ……」
ダーマは下を見ていた顔をあげる。
「だからもう間違えたくない。おまえが、本当は何を考えて何を望んでいるのかを教えて欲しい」
彼は、悩みを振り切って前を向いていた。
「あの……私は後悔してません。私は、心臓を移植された事を後悔してません! だから、大丈夫です!!」
彼が少し目を見開いた。初めて見る表情だった。
「……そうか」
「はい……」
どうしても、この言葉は伝えておかなければと思ったのだ。
「私は……私のせいで、人を殺してしまいました……」
私は重く罪を告白した。
「おまえが、人を殺したのか?」
「はい……」
「しかし、それは犯罪者なのだろう? 任務の中で罪人を殺めるのは仕方のない事だ」
「いえ違います……私は、罪なき子を殺しました……」
私は施設で何があったのかをダーマさんに説明した。キメラの事、彼らを作った所長の事、そして秘密裏に人体実験を受けていた少女の事。
「人体実験だと……」
ダーマさんの顔が険しくなる。こんなに嫌悪を露わにする彼を初めて見た。
「私はその子と一緒に逃げました。他の特級魔法使いは、その子を捕まえようとしました。けど、捕まればまたフローラは施設に閉じ込められるのは目に見えていました。だから、一緒に逃げたんです」
「それで、どうなったんだ」
「フローラは、施設の外に出て、雪に触れほんの少し空を見た後に化物になりました。彼女は人体実験を繰り返し過ぎて、その副作用で魔物になる身体にされていたんです……。彼女を救うには、もう殺すしかありませんでした……。私はどうすれば正しかったのか、今でもわからないんです」
ダーマさんが、私の手を握ってくれた。
「おまえは、間違っていない」
彼は思いを伝えるように強く手を握る。
「おまえは間違ってないんだ。もしもそいつが、おまえに嬉しそうに着いて行ったのなら……例え死んだのだとしても……後悔はしていない」
「でも……その結果、彼女は死んでしまいました」
「おまえが、その娘の手を引いて逃げた事が重要なんだ。それまで、その娘に手を差し伸べる人間はいなかっただろう。そんな正しい行動をとってくれる人間はいなかったんだ。そんな中で、おまえに出会い、おまえが命をかけて自分を逃してくれる姿を見てフローラが幸福で無かったはずはない」
確信するようにダーマは言った。
「だから、おまえは後悔しなくて良い。その行動は正しかったんだ」
ダーマさんが、私を抱きしめる。私は自分の頬に涙が流れるのを感じた。
つづく
カーテンを閉め切った薄くらい部屋の中。私はずっと、あの施設での事をぐるぐる思い出していた。私はどうすれば良かったのだろうか?
部屋の中に誰かの足音が聞こえた。
「ダーマさん……」
私の部屋に忍び込んだ来るのは、彼くらいだろう。
「……なにがあった知らないが、いい加減起きたらどうだ」
ダーマさんの声が聞こえる。私は黙ってしまった。起きたい、けど起きれないのだ。ダーマさんが、ベッドの横の椅子に腰掛けた。
「今日は飯を食ったのか?」
「……朝から何も食べてません」
昼過ぎだが、私はまだ何も口にしていなかった。このまま夕方まで寝ているつもりだった。
「身体を壊すぞ……」
刃物で何かを切る音がした。私はくるまったシーツから顔を出して見る。ダーマさんが、りんごの皮をナイフで剥いていた。
「りんごくらい食えるだろ」
「はい……」
切り分けたリンゴを差し出される。私はそれを受け取って、食べた。甘い果樹が口の中に広がる。空腹のお腹が歓喜している。
「おいしい……」
「もっと食え」
りんごが私の手に押し付けられた。私は言われるまま、食べた。シャリシャリもぐもぐ、まるっと一つ分のリンゴを食べた。
「水も飲め」
水の入った水筒を押し付けられて、私はそれを飲んだ。口をつけると、喉の乾きが癒やされて半分近くいっきのみしてしまった。
「あ、ありがとうございました……」
水筒をダーマさんに返す。
「あぁ」
水筒はベッドサイドの机に置かれた。
「それで、何があったんだ」
ダーマさんは同じ質問を繰り返した。
「えっと……」
向き合って、だんまりを通すのは難しい。
「他の特級魔法使いとの実力差に驚いたのか? そんなのは駆け出しのおまえにとってあたりまえの事だろ。気にする必要は無い」
私はダーマさんを見る。彼は慰めようとしてくれてるんだ。
「あ、いえ。実力差は確かに感じました……でも私が落ち込んでるのはそこじゃなくて……まぁ、関係無くも無いんですが」
私が無力だったから、フローラを救えなかったのは事実だ。
「それとも特級魔法使い達に何か言われたか? ……エイブの奴は高飛車だからな」
「エイブさんは、いろいろと助けてくれました……」
「じゃあなんだ」
ダーマさんが腕を組んで、首を傾げる。
「黙っていても俺にはおまえの考えている事はわからない。俺は……察しの悪い人間らしいからな。先代の火の特級魔法使い、ルナール様にもよく言われた。こういう時、どうすれば正しいのかわらからないんだ」
ダーマさんが組んでいた腕を解く。
「だから教えてくれないか。俺は、もう間違えたくない」
私は少し驚いた。
「ダーマさんは、何かを後悔してるんですか?」
「……おまえの事を後悔している」
「え」
意外な答えだった。
「キリルとヘルマンの事を見て、そう思ったんだ」
キリルはついこないだまで私の命を狙って来ていた。ヘルマンは彼の上司だった。
「俺は……それが正しいと思って、おまえに火の特級魔法使いの心臓を移植した。それが残された俺の義務だろうと思ったし、亡くなったルナール様も望まれた事だろうと思ったんだ。だから、多少無理矢理にでもその任務を遂行した。それが、正しい事だと信じたからだ」
私はダーマさんに攫われて、火の特級魔法使いの心臓を移植された。それは無事に成功したが、失敗すれば死んでしまう可能性もあった。
「だが……キリルとヘルマンを見て。そうでは無いのかもしれないと思った。キリルはヘルマンの為に、火の特級魔法使いの心臓を求めた。それが正しい恩返しだと思ったからだ。けれれどヘルマンは、キリルにそんな事は望んでいなかった」
ヘルマンは、キリル達がそんな事をしているのを知らなかった。知っていれば、彼はすぐに止めさせただろう。
「ヘルマンさんは……ただ、キリルさん達の幸せを願っていましたね……。火の特級魔法使いの心臓よりも、彼らの命の方が重いとおっしゃてました」
それは無償の愛だ。彼らがそこに居て生きててくれるだけで嬉しいと言う愛情なのだ。
「俺の……師もそうだった。ルナール様は……俺に人としの生を見つけろとおっしゃった。何度も言われたが、俺にはそれが理解出来なかった。俺は、こんな俺を側に置いてくれたルナール様に恩返しがしたかった。だから、彼の右腕となって敵を倒した」
彼はうつむく。
「だが俺は、正しい道が見えていなかったんだ。ルナール様は、おまえに特級魔法使いの心臓を無理矢理移植する事なんて望んでいなかったのかもしれない。いや、望んでいなかっただろう。俺は間違えたんだ……」
ダーマは下を見ていた顔をあげる。
「だからもう間違えたくない。おまえが、本当は何を考えて何を望んでいるのかを教えて欲しい」
彼は、悩みを振り切って前を向いていた。
「あの……私は後悔してません。私は、心臓を移植された事を後悔してません! だから、大丈夫です!!」
彼が少し目を見開いた。初めて見る表情だった。
「……そうか」
「はい……」
どうしても、この言葉は伝えておかなければと思ったのだ。
「私は……私のせいで、人を殺してしまいました……」
私は重く罪を告白した。
「おまえが、人を殺したのか?」
「はい……」
「しかし、それは犯罪者なのだろう? 任務の中で罪人を殺めるのは仕方のない事だ」
「いえ違います……私は、罪なき子を殺しました……」
私は施設で何があったのかをダーマさんに説明した。キメラの事、彼らを作った所長の事、そして秘密裏に人体実験を受けていた少女の事。
「人体実験だと……」
ダーマさんの顔が険しくなる。こんなに嫌悪を露わにする彼を初めて見た。
「私はその子と一緒に逃げました。他の特級魔法使いは、その子を捕まえようとしました。けど、捕まればまたフローラは施設に閉じ込められるのは目に見えていました。だから、一緒に逃げたんです」
「それで、どうなったんだ」
「フローラは、施設の外に出て、雪に触れほんの少し空を見た後に化物になりました。彼女は人体実験を繰り返し過ぎて、その副作用で魔物になる身体にされていたんです……。彼女を救うには、もう殺すしかありませんでした……。私はどうすれば正しかったのか、今でもわからないんです」
ダーマさんが、私の手を握ってくれた。
「おまえは、間違っていない」
彼は思いを伝えるように強く手を握る。
「おまえは間違ってないんだ。もしもそいつが、おまえに嬉しそうに着いて行ったのなら……例え死んだのだとしても……後悔はしていない」
「でも……その結果、彼女は死んでしまいました」
「おまえが、その娘の手を引いて逃げた事が重要なんだ。それまで、その娘に手を差し伸べる人間はいなかっただろう。そんな正しい行動をとってくれる人間はいなかったんだ。そんな中で、おまえに出会い、おまえが命をかけて自分を逃してくれる姿を見てフローラが幸福で無かったはずはない」
確信するようにダーマは言った。
「だから、おまえは後悔しなくて良い。その行動は正しかったんだ」
ダーマさんが、私を抱きしめる。私は自分の頬に涙が流れるのを感じた。
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