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二章 コノート編 一年生
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オリバーから、リヴィアの好きなものを聞かれた。そういえば、私もリヴィアの好きもの知らないや。私は、寮のベッドに寝転がっている時に、それとなくリヴィアに話しを聞いてみた。
「ねぇ、リヴィアって、どんなものが好きなの?」
「好きなもの?」
リヴィアはうーんと首を傾げる。
「綺麗なショールは好きですわ。ケーキ、お菓子などの甘いものも大好きですわ。美味しいお料理ももちろん好きですわよ? 綺麗な庭を見るのも好きですし、美しい音楽も好きですわ、あと、実は語学の勉強も好きですの…昔はお勉強なんて好きじゃなかったのに、スカーレットとオリバーやローガンに教えて貰ったら好きになってしまいましたわ」
リヴィアが顔を赤らめる。
「あぁ、そうだ綺麗なお皿も好きですわ! あと、キラキラした宝石も綺麗ですわよね。お洋服も好きですわ」
リヴィアは世の中に好きなものが沢山あるようだった。それって、きっととても幸せな事なんだと思う。
「それじゃあ、好きな場所ってある?」
リヴィアは口を開いてから、口を閉じて顔を赤くする。リヴィアにしては珍しい仕草だった。
「あの、わたくし、広い場所が好きですの。草原や農地なんかの大きく草木の広がる場所に安心しますわ……麦畑を見るのも好きですわ」
意外な返答だった。
「わたくしにもわかりませんの。でも、遠乗りして見るその風景がわたくしは好きです」
「教えてくれてありがとうリヴィア」
「いえ、そんな。スカーレットが好きなものも教えていただける?」
尋ねる彼女に私も答えた。
オリバーにリヴィアの好きなものや場所を伝えると、彼も少し意外そうな顔をした後に腕を組んで真剣に唸る。
「デートうまくいきそう?」
そう言うとオリバーはあからさまに肩を跳ねさせて驚いた。
「な、なんでわかるんだ!?」
間接的に女の子の好きな物知りたいなんて、好きな子へのアプローチ方法を考えてるって普通にわかる。
「大丈夫。前も言ったように、私はオリバーの事応援してるから!」
「……ありがとう」
彼は顔を赤らめながら、オリバーは真剣にデートプランを考えていた。
後日、リヴィアとオリバーがデートに行った事を私は知った。なぜなら、リヴィア本人が報告してくれたからだ。
「とっても、楽しかったですわ!」
との事だった。また別の日にオリバーからも報告を受けたのだが、なかなか手応えのある良いデートだったらしい。
「リヴィアは本人も気づいてないみたいだけど、物の価値をを見る目が凄くあるんだ」
「そうなの?」
「貴族だから、良い物を見慣れている環境で育ったせいもあると思う。けど、それ以上にリヴィア自身が良い感性を持っている。しかも、ジャンルを固定せずに見れる目がある」
頷いて話しを聞きながら、私は首を傾げた。
「二人でデートに行ったんじゃなかったけ?」
「あ、ははは。いや、そうなんだけど一緒にお店をいろいろ見てたらリヴィアの反応が面白くて。だって、市場に連れて行ったら新鮮な果物や野菜を綺麗だって感動するし、服屋に連れて行ったら裏で作業している職人の仕事を手放しで褒めて感嘆してるんだぜ。間違いなくあの子は、商人向きだ」
オリバーが腕を組んで頷く。
「商品を見る目があって、職人の技を尊重できて、物に感心のある子。うん、完璧だ」
面食いのオリバーはたぶん当初リヴィアの、綺麗な容姿に惚れていたのだとう思う。しかし今回のデートで、彼女の性格と性質と才能に惚れ込んだように思う。
「僕真面目に、あの子のにアタックしてみるよ」
品定めを完了したオリバーが、男の目でそう言った。私は幼馴染が一歩大人になる瞬間を目撃するのであった。ところでリヴィアちゃんの人当たりの良さも、商人に向いてると思いますぜ。
つづく
「ねぇ、リヴィアって、どんなものが好きなの?」
「好きなもの?」
リヴィアはうーんと首を傾げる。
「綺麗なショールは好きですわ。ケーキ、お菓子などの甘いものも大好きですわ。美味しいお料理ももちろん好きですわよ? 綺麗な庭を見るのも好きですし、美しい音楽も好きですわ、あと、実は語学の勉強も好きですの…昔はお勉強なんて好きじゃなかったのに、スカーレットとオリバーやローガンに教えて貰ったら好きになってしまいましたわ」
リヴィアが顔を赤らめる。
「あぁ、そうだ綺麗なお皿も好きですわ! あと、キラキラした宝石も綺麗ですわよね。お洋服も好きですわ」
リヴィアは世の中に好きなものが沢山あるようだった。それって、きっととても幸せな事なんだと思う。
「それじゃあ、好きな場所ってある?」
リヴィアは口を開いてから、口を閉じて顔を赤くする。リヴィアにしては珍しい仕草だった。
「あの、わたくし、広い場所が好きですの。草原や農地なんかの大きく草木の広がる場所に安心しますわ……麦畑を見るのも好きですわ」
意外な返答だった。
「わたくしにもわかりませんの。でも、遠乗りして見るその風景がわたくしは好きです」
「教えてくれてありがとうリヴィア」
「いえ、そんな。スカーレットが好きなものも教えていただける?」
尋ねる彼女に私も答えた。
オリバーにリヴィアの好きなものや場所を伝えると、彼も少し意外そうな顔をした後に腕を組んで真剣に唸る。
「デートうまくいきそう?」
そう言うとオリバーはあからさまに肩を跳ねさせて驚いた。
「な、なんでわかるんだ!?」
間接的に女の子の好きな物知りたいなんて、好きな子へのアプローチ方法を考えてるって普通にわかる。
「大丈夫。前も言ったように、私はオリバーの事応援してるから!」
「……ありがとう」
彼は顔を赤らめながら、オリバーは真剣にデートプランを考えていた。
後日、リヴィアとオリバーがデートに行った事を私は知った。なぜなら、リヴィア本人が報告してくれたからだ。
「とっても、楽しかったですわ!」
との事だった。また別の日にオリバーからも報告を受けたのだが、なかなか手応えのある良いデートだったらしい。
「リヴィアは本人も気づいてないみたいだけど、物の価値をを見る目が凄くあるんだ」
「そうなの?」
「貴族だから、良い物を見慣れている環境で育ったせいもあると思う。けど、それ以上にリヴィア自身が良い感性を持っている。しかも、ジャンルを固定せずに見れる目がある」
頷いて話しを聞きながら、私は首を傾げた。
「二人でデートに行ったんじゃなかったけ?」
「あ、ははは。いや、そうなんだけど一緒にお店をいろいろ見てたらリヴィアの反応が面白くて。だって、市場に連れて行ったら新鮮な果物や野菜を綺麗だって感動するし、服屋に連れて行ったら裏で作業している職人の仕事を手放しで褒めて感嘆してるんだぜ。間違いなくあの子は、商人向きだ」
オリバーが腕を組んで頷く。
「商品を見る目があって、職人の技を尊重できて、物に感心のある子。うん、完璧だ」
面食いのオリバーはたぶん当初リヴィアの、綺麗な容姿に惚れていたのだとう思う。しかし今回のデートで、彼女の性格と性質と才能に惚れ込んだように思う。
「僕真面目に、あの子のにアタックしてみるよ」
品定めを完了したオリバーが、男の目でそう言った。私は幼馴染が一歩大人になる瞬間を目撃するのであった。ところでリヴィアちゃんの人当たりの良さも、商人に向いてると思いますぜ。
つづく
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