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29 お休みほしい

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 アデーレの心配を払拭する為に、俺はオルバイス家御用達の、獣医兼人間の医者の男に検診を受けた。
「ふーむ、とても興味深い体をしていました」
 医者の男はカルテを見ながらうなる。
「はぁ……」
「ミツアキさんの体は、犬と人の体が混じり合っています」
「はい……」
(具体的に言われると怖いな)
「ですが、犬としても、人としても身体的には健康と言える結果が出ました。精神的乱れもありませんし、心配は無いと言えるでしょう」
「本当ですか!」
 一緒に話しを聞いていたアデーレが笑みを浮かべる。
「はい」
「良かったです」
 アデーレは胸を撫でおろした。
 
 医務室を出たあとアデーレは上機嫌だった。
「君の体がなんともなくて、本当に良かったよ」
「あぁ……」
 俺は頷きながら、口をもごもご動かす。
(誘うなら今だな)
「アデーレ、突然で悪いんだが、三日間休日をとってくれないか?」
 するとアデーレが俺を見て、目を輝かせる。
 俺は頼んだ後に、後ずさる。
「もちろん! それは、かまわないよ!」
 俺が離れた分、アデーレは近づいて来る。
「じゃあ、休みが取れたら教えてくれ」
「すぐにスケジュール調整をするからね。待っててくれ!」
「た、たのむ」
 彼は楽しそうに軽くスキップしている。
「ふぅ……」
(あの話しをするのが憂鬱になって来たな)
 たぶん間違いなく三日間アデーレは泣きっぱなしになるだろう。
 俺はひとまず、アデーレを慰める言葉を沢山考えておく事にした。

 その日、帰って来てすぐにアデーレはにっこり笑顔で言った。
「今日から一週間後に、三連休を作れたよ。楽しみだね」
 ふふん、と彼は笑う。
「せっかく連休取るんだから、どこかに遊びに行くかい?」
「あぁ……いや……」
「わかってるよ。外より、ここの方が安全だものね。それじゃ、三日間屋敷でゆっくり過ごそう」
 ホッペにチューされる。
「うん……」
 俺は頷きつつ、彼の頬にキスを返した。


つづく


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