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16 楽しいお勉強
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「あぁ、凄いねミツアキはまた正解だね♡」
アデーレが俺の頭をナデナデする。俺は椅子に座って、尻尾をフリフリする。
「それじゃ、これはなんて読むかな?」
「『そこにある花瓶を取ってください』」
短い文章を訳して読む。
「んー♡ 正解だよ♡ ミッチー大正解♡ かわいいだけじゃなくて天才なんだね♡♡♡」
彼は俺が正解するたびに、こうして大げさなくらい褒めてくれる。
普通にやってくれと言ったのだが、
『私は褒めて伸ばすタイプだから♡』
と言われて、ベタ褒めされ続けている。
「この問題はわかるかなぁ?」
「う……? 『机の上に本がのっている』?」
俺は自信無く答える。
「あぁん、間違えちゃったね。『机の下に本がある』だよ。間違えちゃったから、バツとしてチューするよ」
ちゅっと、頬にキスをされる。
「いいかい、これが『上』って単語で、こっちが『下』って単語だ。よく覚えておこうね。間違ったらまたチューするからね♡」
「わふっ」
何故、間違ったバツがチューなのか俺にはわからない。
チューされるたびに俺が嬉しさと恥ずかしさで顔が赤くなってしまうからだろうか。
正解しても間違ってもご褒美しか貰わない授業は続くのだった。
授業の合間に、休憩を入れる。
「ミツアキは字が読めるようになったら、何をしたい? 本を沢山読むのかな?」
アデーレがクッキーを食べながら、首をかしげる。
これは犬も食べて良いクッキーなので、俺ももぐもぐ食べる。
「本を読んでこの世界の事も勉強したいけど、アデーレの仕事も手伝いたいと思ってる。迷惑じゃなければ、だけど」
俺はお茶を飲む。これも犬が飲んでも良い奴なので、大丈夫。
「ん?」
アデーレが黙ったと思ったら、胸を押さえて、目を伏せている。
「おい、喉にでも詰まらせたのか!?」
俺は慌てて立ち上がり、彼の側に寄る。
「ん、ふふふふ、いや、ちがう、大丈夫だよ!」
彼は未だかつてない程、締りの無い顔をしていた。
「どうしたんだよ、アデーレ……」
美形が台無しである。黙っていれば、キリッとしてかっこいいのに。
「だって、君が、ミツアキが! 私の仕事を手伝いたいなんて! そしたら私達、四六時中一緒にいられるじゃないか!」
彼は頬を赤くして、それは嬉しそうに笑う。
「えへへへへ、そんなの夢みたいだよね♡♡♡ 是非、実現させようね♡♡♡」
「お、おう」
アデーレの喜びように驚きつつ、俺は頷いた。
(これで仕事が減ればアデーレは犬達ともっと遊べるな。うん、これぞ恩返しだ)
俺は少しでも早く彼の仕事を手伝えるように、勉強を頑張るのだった。
つづく
アデーレが俺の頭をナデナデする。俺は椅子に座って、尻尾をフリフリする。
「それじゃ、これはなんて読むかな?」
「『そこにある花瓶を取ってください』」
短い文章を訳して読む。
「んー♡ 正解だよ♡ ミッチー大正解♡ かわいいだけじゃなくて天才なんだね♡♡♡」
彼は俺が正解するたびに、こうして大げさなくらい褒めてくれる。
普通にやってくれと言ったのだが、
『私は褒めて伸ばすタイプだから♡』
と言われて、ベタ褒めされ続けている。
「この問題はわかるかなぁ?」
「う……? 『机の上に本がのっている』?」
俺は自信無く答える。
「あぁん、間違えちゃったね。『机の下に本がある』だよ。間違えちゃったから、バツとしてチューするよ」
ちゅっと、頬にキスをされる。
「いいかい、これが『上』って単語で、こっちが『下』って単語だ。よく覚えておこうね。間違ったらまたチューするからね♡」
「わふっ」
何故、間違ったバツがチューなのか俺にはわからない。
チューされるたびに俺が嬉しさと恥ずかしさで顔が赤くなってしまうからだろうか。
正解しても間違ってもご褒美しか貰わない授業は続くのだった。
授業の合間に、休憩を入れる。
「ミツアキは字が読めるようになったら、何をしたい? 本を沢山読むのかな?」
アデーレがクッキーを食べながら、首をかしげる。
これは犬も食べて良いクッキーなので、俺ももぐもぐ食べる。
「本を読んでこの世界の事も勉強したいけど、アデーレの仕事も手伝いたいと思ってる。迷惑じゃなければ、だけど」
俺はお茶を飲む。これも犬が飲んでも良い奴なので、大丈夫。
「ん?」
アデーレが黙ったと思ったら、胸を押さえて、目を伏せている。
「おい、喉にでも詰まらせたのか!?」
俺は慌てて立ち上がり、彼の側に寄る。
「ん、ふふふふ、いや、ちがう、大丈夫だよ!」
彼は未だかつてない程、締りの無い顔をしていた。
「どうしたんだよ、アデーレ……」
美形が台無しである。黙っていれば、キリッとしてかっこいいのに。
「だって、君が、ミツアキが! 私の仕事を手伝いたいなんて! そしたら私達、四六時中一緒にいられるじゃないか!」
彼は頬を赤くして、それは嬉しそうに笑う。
「えへへへへ、そんなの夢みたいだよね♡♡♡ 是非、実現させようね♡♡♡」
「お、おう」
アデーレの喜びように驚きつつ、俺は頷いた。
(これで仕事が減ればアデーレは犬達ともっと遊べるな。うん、これぞ恩返しだ)
俺は少しでも早く彼の仕事を手伝えるように、勉強を頑張るのだった。
つづく
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