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14 悩む主人公
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俺はベッドの上に突っ伏していた。
(やっちまったー)
『アデーレ様とラブラブ出来ましたね! やりましたね!!』
犬幽霊のグレーがベッドの前をぴょんぴょん跳ねている。
「いや、全然よくねぇよ……」
『なんでですか? アデーレ様もニコニコしてましたよ』
「人間同士だと、こう言うのはもっと繊細な問題なんだよ……」
俺は半分獣になってしまっているが。
『人間同士ではラブラブしないんですか?』
「するけど……そう言うのは、恋人同士でやるもんだ。あと、男同士ではやらない」
『そうなんですか? 私達はオスもメスも種族も関係なく、好きだと思ったら興奮してカクカクしちゃいますよ』
グレーが、俺の目の前で目を輝かせて言う。
(犬の愛情ってのは、シンプルで良いよなぁ……)
グレーは本当に純粋にアデーレの事を愛している。
性欲と愛情は別物だったりするのだが、彼らは心底大好きな相手に興奮と共に性欲を抱くのだろう。
わざわざ、その二つを切り離す必要性が無い。
「はあぁ……」
俺は大きなため息をつく。
『もしかしてミツアキは、アデーレ様の事が好きじゃないの?』
グレーがきょとんとした顔で首をかしげる。
「いや……嫌いってわけじゃねぇよ……あいつ良い奴だし……ゴッドハンドだし……犬達を大事にしてるし……仕事もちゃんとやってて、大人として尊敬できるし……美形だし…残念イケメンだけど……あと、俺の事めちゃくちゃ好きだし……」
『良いとこだらけですね!! さすがアデーレ様!! 不満点を言うとすれば、仕事があって私達と遊ぶ時間が少ない事ですね!!!』
グレーが尻尾をぶんぶん振って言う。
余談だが、アデーレは仕事以外の時間は全て犬達に振っている男である。
予定外の事が無い限りきっちり同じ時間に仕事を終わらせて犬達のところにやって来る。
「けど俺があいつの事を…す、好きなのって、やっぱ『獣化』したからだと思うんだよな?」
俺はベッドに仰向けに転がりながら言う。
「あいつも俺が『獣化』したから、しゅ、しゅきなんだと思うぜ?」
俺は言いながら顔が熱くなって来た。
『それを言ったら、私も【犬】として生まれたからアデーレ様の事をこんなに好きになったんだと思いますよ! 例えばもぐらに生まれていたら、私はアデーレ様の事を好きになる事はなかったでしょう。アデーレ様も私と知り合う事は無かったでしょう。けれど私は【犬】に生まれたのです! そして、アデーレ様と赤ん坊の頃から一緒に育って来ました!』
グレーがちぎれんばかりに尻尾を振る。
『例え偶然の出会いだとしても、その中で惹かれ合う事は、けして悪い事では無いと私は思います。私はアデーレ様の元に、【犬】として生まれてこられた事を感謝していますよ』
俺はグレーをじっと見て、むにゅっとほっぺを掴んだ。何故か俺は、幽霊犬グレーに触れられるのだった。
「おまえなんで、そんな賢い事が言えるんだ」
『むももも』
手を離す。
『伊達に十年幽霊やってませんからね!! 漂っているだけじゃ暇なので、アデーレ様のお側でいろいろ学んだんです!!』
グレーがふふんと胸を張る。
気づかないアデーレの側で十年間ずっと側に居続けたグレーの事を思うと、俺は妙にしんみりするのだった。
「えらいえらい」
俺は幽霊犬グレーの頭を優しく撫でた。
つづく
(やっちまったー)
『アデーレ様とラブラブ出来ましたね! やりましたね!!』
犬幽霊のグレーがベッドの前をぴょんぴょん跳ねている。
「いや、全然よくねぇよ……」
『なんでですか? アデーレ様もニコニコしてましたよ』
「人間同士だと、こう言うのはもっと繊細な問題なんだよ……」
俺は半分獣になってしまっているが。
『人間同士ではラブラブしないんですか?』
「するけど……そう言うのは、恋人同士でやるもんだ。あと、男同士ではやらない」
『そうなんですか? 私達はオスもメスも種族も関係なく、好きだと思ったら興奮してカクカクしちゃいますよ』
グレーが、俺の目の前で目を輝かせて言う。
(犬の愛情ってのは、シンプルで良いよなぁ……)
グレーは本当に純粋にアデーレの事を愛している。
性欲と愛情は別物だったりするのだが、彼らは心底大好きな相手に興奮と共に性欲を抱くのだろう。
わざわざ、その二つを切り離す必要性が無い。
「はあぁ……」
俺は大きなため息をつく。
『もしかしてミツアキは、アデーレ様の事が好きじゃないの?』
グレーがきょとんとした顔で首をかしげる。
「いや……嫌いってわけじゃねぇよ……あいつ良い奴だし……ゴッドハンドだし……犬達を大事にしてるし……仕事もちゃんとやってて、大人として尊敬できるし……美形だし…残念イケメンだけど……あと、俺の事めちゃくちゃ好きだし……」
『良いとこだらけですね!! さすがアデーレ様!! 不満点を言うとすれば、仕事があって私達と遊ぶ時間が少ない事ですね!!!』
グレーが尻尾をぶんぶん振って言う。
余談だが、アデーレは仕事以外の時間は全て犬達に振っている男である。
予定外の事が無い限りきっちり同じ時間に仕事を終わらせて犬達のところにやって来る。
「けど俺があいつの事を…す、好きなのって、やっぱ『獣化』したからだと思うんだよな?」
俺はベッドに仰向けに転がりながら言う。
「あいつも俺が『獣化』したから、しゅ、しゅきなんだと思うぜ?」
俺は言いながら顔が熱くなって来た。
『それを言ったら、私も【犬】として生まれたからアデーレ様の事をこんなに好きになったんだと思いますよ! 例えばもぐらに生まれていたら、私はアデーレ様の事を好きになる事はなかったでしょう。アデーレ様も私と知り合う事は無かったでしょう。けれど私は【犬】に生まれたのです! そして、アデーレ様と赤ん坊の頃から一緒に育って来ました!』
グレーがちぎれんばかりに尻尾を振る。
『例え偶然の出会いだとしても、その中で惹かれ合う事は、けして悪い事では無いと私は思います。私はアデーレ様の元に、【犬】として生まれてこられた事を感謝していますよ』
俺はグレーをじっと見て、むにゅっとほっぺを掴んだ。何故か俺は、幽霊犬グレーに触れられるのだった。
「おまえなんで、そんな賢い事が言えるんだ」
『むももも』
手を離す。
『伊達に十年幽霊やってませんからね!! 漂っているだけじゃ暇なので、アデーレ様のお側でいろいろ学んだんです!!』
グレーがふふんと胸を張る。
気づかないアデーレの側で十年間ずっと側に居続けたグレーの事を思うと、俺は妙にしんみりするのだった。
「えらいえらい」
俺は幽霊犬グレーの頭を優しく撫でた。
つづく
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