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マリウス、回復師に会う(マリウス視点)

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「義兄上、回復師とはどんな方なのですか?」

 私は初めての獣人の国にドキドキしていた。

 昔、絵図で見たように、みんな耳や尻尾がついているのだとばかり思っていたが、
そんな人はは全くいなかった。

「普通のばあさんだ」

 義兄上はぶっきらぼうに答える。

 それにしてもデカい。思わず見上げてしまう。
 義兄上は熊獣人らしい。

 自分が背が高く可愛げがないとコンプレックスを持っている姉もこれくらい大きな男なら小柄で可愛く見えてしまう。

 久しぶりに会った姉上は長かった髪を短く切り、ドレスではなく、丈の長いブラウスに乗馬ズボンのような格好をしていた。
 こちらでは冒険者ギルドに登録しているA級冒険者だそうだ。

 ギルドからの依頼でラメルテオンに来て大怪我をしたらしい。
 先に見舞いに来た父母から姉は元気だと聞いて安心していた。

 姉が怪我をした時に元国王と元王妃も怪我をした。
 国王は治ったが、王妃は色んなショックが重なり、心まで病んでしまい怪我も治らず、生きる希望も無くなってしまっているようだ。

 王妃はいままでも教会などに通い、末端の民の為に尽力を尽くしていた。これからも民のためにやって欲しいことがたくさんある。

 従姉妹のマチルダ姉上がラメルテオンでいちばんの魔力保持者だった姉上の回復魔法で治るかもしれないと言い出したので私とテオはここに来た。

 
まぁ、獣人に興味があったし、姉上の夫となる人に会ってみたかった。

「ここだ」

 義兄上はデカくてぶっきらぼうなのでちょっと怖い。

「ばぁさん、邪魔するぜ」

「あら、ディートじゃないか。久しぶりだね。そうだ結婚したんだってね。番なんだろ。よかったね」

 番? 番ってなんだろう?

「おや、そちらは?」

「妻の弟だ。ばぁさんに頼みがあって来た」

 私は全てを回復師のおばあさんに話した。

「う~ん、難しいね。身体の怪我は簡単に治せるよ。例え欠損していても問題ない。ただね、心は難しい。病んだ原因を見つけてそれを排除しないと回復しないんだよ。病んだ原因はなんだい?」

 病んだ原因は……?

 やはりカールハインツ殿下だろう。

 殿下が魔獣化してしまい、父母や私の姉を傷つけたことが原因だと話した。

 回復師は魔法で殿下は幼い頃に病で亡くなった記憶を植え付ければいいと言う。

 国中の人に殿下は幼い頃亡くなった記憶を植え付け、ミカルディスが後継者のいない王家を他国に売ろうとして謀反で捕らえられ、国は王の国ではなく議会制を用いることにしたと。

 しかし、そんなの上手くいんだろうか?
私とテオは国に戻り、みんなの意見を聞いてみることにした。

 その場合、カールハインツ殿下はどうなるのだろうか?
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