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勘弁してくれよ(ケビン視点)
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*第2王子ケビン視点です*
俺はこの国の第2王子だ。国王には子供が4人いる。
第1王子と第3王子は王妃の子供で、俺と妹は側妃の子供だった。
この国の国王は必ず側妃を持たなくてはいけないと法律で決まっている。なので、国王は母を側妃にしたらしい。
父である国王は穏やかな優しい男だ。まぁ、俺から見たら優柔不断でちょっとぼんやりした残念な男だ。その分、王妃様はめちゃくちゃしっかりしている。実質は王妃様が国王なんだろう。
誰がどう見ても次期国王は第1王子だろう。王妃そっくりで我が国としては久しぶりにしっかりした国王になると影で言われているようだ。
しかし、野心家の母や祖父は私を次期国王にしたいようだ。
勘弁してくれよ。俺は国王なんて器じゃない。このまま王弟として責任のない地位で気楽に暮らしたい。
それなのに何を思ったのか? メトロファン伯爵家の令嬢と婚約させられた。
メトロファン爵位は伯爵だか、伯爵家は領地が潤い、商会なども成功しているあ昔からの大金持ちだ。
過去にも王家から何人も降嫁していて、王家とは縁続き。母親と国王は従兄弟だ。そして父親は隣国の王弟、伯爵だからと侮るとえらい目に合いそうな恐ろしい家だ。
婚約者のヴィオレッタは可もなく不可もない普通の子供だった。
しかし、ヴィオレッタは国王の姉で俺の伯母であるアルブラン公爵夫人がべったりくっついている。
アルブラン公爵夫人と王妃様は親友。母とはソリが合わない。夫人はヴィオレッタを息子の嫁にしたかったようだ。
なのに、母と叔父が父に頼み、俺の婚約者にしてしまった。
王家に近いものにしか知られていないが、アルブラン公爵家は王家の諜報機関で影の総元締めだ。
あんな家にらまれたら、俺は消されるよ。
俺には野心なんかない。何とかして婚約を解消したい。
ヴィオレッタに嫌われねばならない。婚約者らしいことは何もしない。会う機会があれば嫌味を言い、感じの悪い婚約者を演じる。
俺はヴィオレッタに本当に興味がなかったのも良かった。
ヴィオレッタも同じだったのだろう。
ある日、南の国から使節団がきた。団長として王女がきた。
王女は俺のことを気に入ってくれているようで、アプローチをかけてくる。俺の好みのボンキュッボンで豊満で妖艶な美女だ。
俺はこの王女に頼んだ。
「俺を南の国に連れて行ってくれないか?」
王女は二つ返事でOKしてくれた。俺はヴィオレッタに真実の愛を見つけたと婚約を解消し、南の国に逃げた。
もう、母や叔父に利用されるのはまっぴらごめんだ。
あれから、もちろん王女とは結婚しなかったが、それなりの屋敷を与えてもらい、好みの侍女やメイドをつけてもらい、気楽に暮らしていた。
風の噂で、叔父と一緒に謀反を起こし処罰されたと聞いた。王子達を亡き者にし、馬鹿な妹を国王にしようとしたらしい。
浅はかだ。あんな妹が国王になったらこの国は崩壊するぞ。
まぁ、叔父あたりが傀儡して国を自分のものにしたいのだろうが、叔父もなんで父が国王になって、自分がなれなかったのか考えればすぐわかる。
私利私欲しか考えていない叔父と私利私欲なんて興味のない父。それに女が国王になれるなら伯母がなっていただろう。今も裏で仕切っているのは伯母が率いるアルブラン公爵家みたいなもんだからな。
俺も私利私欲優先タイプだが、めんどくさいことは嫌だ。
グータラして、いい女侍らせて、暮らせれば幸せだ。権力には責任がつく。責任なんてとりたくない。
今の暮らしが最高なんだよ。
それなのに叔父の側近のリットレが来た。
あいつは叔父の信者だ。
叔父の口車に乗せられてすっかり叔父を信じている。
叔父の命令でどこかでヤバい魔法を学んでいたらしい。
奴が叔父から離れている間に叔父は失脚した。
奴も目論見が外れて大変だろうな。
「殿下、悔しいです。復讐しましょう。私は殿下に国王になってもらいたい。王弟殿下や側妃様が叶えられなかった夢を共に叶えようではありませんか!」
「俺はいい。他を当たってくれ」
こんな奴に俺の幸せをぶち壊されてたまるか!
「仕方ありませんね」
奴は何がゴニョゴニョと呪文のようなものを唱え始めた。
「わかった。一緒に復讐しよう」
ちょっとまて、俺は何を言ってるんだ。
「うまくかかったようだな」
奴は小さい声で何が言っている。
まさかヤバい魔法か? 魔法でおれを操るつもりか?
勘弁してくれよ。俺に叛意なんかない。
何とかしないと本当に消される。この幸せな堕落生活を辞めたくない!
俺はこの国の第2王子だ。国王には子供が4人いる。
第1王子と第3王子は王妃の子供で、俺と妹は側妃の子供だった。
この国の国王は必ず側妃を持たなくてはいけないと法律で決まっている。なので、国王は母を側妃にしたらしい。
父である国王は穏やかな優しい男だ。まぁ、俺から見たら優柔不断でちょっとぼんやりした残念な男だ。その分、王妃様はめちゃくちゃしっかりしている。実質は王妃様が国王なんだろう。
誰がどう見ても次期国王は第1王子だろう。王妃そっくりで我が国としては久しぶりにしっかりした国王になると影で言われているようだ。
しかし、野心家の母や祖父は私を次期国王にしたいようだ。
勘弁してくれよ。俺は国王なんて器じゃない。このまま王弟として責任のない地位で気楽に暮らしたい。
それなのに何を思ったのか? メトロファン伯爵家の令嬢と婚約させられた。
メトロファン爵位は伯爵だか、伯爵家は領地が潤い、商会なども成功しているあ昔からの大金持ちだ。
過去にも王家から何人も降嫁していて、王家とは縁続き。母親と国王は従兄弟だ。そして父親は隣国の王弟、伯爵だからと侮るとえらい目に合いそうな恐ろしい家だ。
婚約者のヴィオレッタは可もなく不可もない普通の子供だった。
しかし、ヴィオレッタは国王の姉で俺の伯母であるアルブラン公爵夫人がべったりくっついている。
アルブラン公爵夫人と王妃様は親友。母とはソリが合わない。夫人はヴィオレッタを息子の嫁にしたかったようだ。
なのに、母と叔父が父に頼み、俺の婚約者にしてしまった。
王家に近いものにしか知られていないが、アルブラン公爵家は王家の諜報機関で影の総元締めだ。
あんな家にらまれたら、俺は消されるよ。
俺には野心なんかない。何とかして婚約を解消したい。
ヴィオレッタに嫌われねばならない。婚約者らしいことは何もしない。会う機会があれば嫌味を言い、感じの悪い婚約者を演じる。
俺はヴィオレッタに本当に興味がなかったのも良かった。
ヴィオレッタも同じだったのだろう。
ある日、南の国から使節団がきた。団長として王女がきた。
王女は俺のことを気に入ってくれているようで、アプローチをかけてくる。俺の好みのボンキュッボンで豊満で妖艶な美女だ。
俺はこの王女に頼んだ。
「俺を南の国に連れて行ってくれないか?」
王女は二つ返事でOKしてくれた。俺はヴィオレッタに真実の愛を見つけたと婚約を解消し、南の国に逃げた。
もう、母や叔父に利用されるのはまっぴらごめんだ。
あれから、もちろん王女とは結婚しなかったが、それなりの屋敷を与えてもらい、好みの侍女やメイドをつけてもらい、気楽に暮らしていた。
風の噂で、叔父と一緒に謀反を起こし処罰されたと聞いた。王子達を亡き者にし、馬鹿な妹を国王にしようとしたらしい。
浅はかだ。あんな妹が国王になったらこの国は崩壊するぞ。
まぁ、叔父あたりが傀儡して国を自分のものにしたいのだろうが、叔父もなんで父が国王になって、自分がなれなかったのか考えればすぐわかる。
私利私欲しか考えていない叔父と私利私欲なんて興味のない父。それに女が国王になれるなら伯母がなっていただろう。今も裏で仕切っているのは伯母が率いるアルブラン公爵家みたいなもんだからな。
俺も私利私欲優先タイプだが、めんどくさいことは嫌だ。
グータラして、いい女侍らせて、暮らせれば幸せだ。権力には責任がつく。責任なんてとりたくない。
今の暮らしが最高なんだよ。
それなのに叔父の側近のリットレが来た。
あいつは叔父の信者だ。
叔父の口車に乗せられてすっかり叔父を信じている。
叔父の命令でどこかでヤバい魔法を学んでいたらしい。
奴が叔父から離れている間に叔父は失脚した。
奴も目論見が外れて大変だろうな。
「殿下、悔しいです。復讐しましょう。私は殿下に国王になってもらいたい。王弟殿下や側妃様が叶えられなかった夢を共に叶えようではありませんか!」
「俺はいい。他を当たってくれ」
こんな奴に俺の幸せをぶち壊されてたまるか!
「仕方ありませんね」
奴は何がゴニョゴニョと呪文のようなものを唱え始めた。
「わかった。一緒に復讐しよう」
ちょっとまて、俺は何を言ってるんだ。
「うまくかかったようだな」
奴は小さい声で何が言っている。
まさかヤバい魔法か? 魔法でおれを操るつもりか?
勘弁してくれよ。俺に叛意なんかない。
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