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今日の王宮での色々な出来事2 フィリップ視点&ユリウス視点
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*フィリップ視点、途中からはユリウス視点になります*
ーフィリップ視点ー
ライザと第3王子との顔合わせのあと、私は約束していた第1王子の元へ向かった。
案内されたサロンにはアンソニー殿下と護衛だろうか? 側近だろうか? 騎士と、美しい女性がいた。
美しい女性はきっと婚約者だろう。今日、ヴィオが一緒にお茶会をすると言っていたな。
「初めてお目にかかります。隣国から参りました。フィリップス・ヴァンガーリンです」
「ようこそおいでくださった。アンソニー・グリーロッドです」
アンソニー殿は手を差し出したので私もそれに応じ、握手をした。
「こちらは私の婚約者のクリスティーナだ」
「クリスティーナ・シュレッドでございます」
綺麗なカーテシーだ。私も挨拶をした。
「それと、私の側近で今は騎士団で副団長をしているユリウスだ」
ヴィオの婚約者か。綺麗だけど威圧感のある男だな。
「ユリウス・アルブランです」
この男、水魔法、いや氷魔法の使い手か? 纏う空気が冷たいな。いや、私に敵意があるのか?
あっ、そういうことか。
「アンソニー・グリーロッドです。あなたの事は従姉妹のヴィオレッタから聞いております」
この手の男は上手く懐に入らないとな。敵に回すとめんどくさい。
「ほ~。どんな風に聞いているのだ?」
アンソニー殿下は興味深そうな顔をして前のめり気味になる。私の答えを楽しみにしているようだ。
「好きだと」
「「「えっ?」」」
3人とも不思議な顔をしている。私の答えが意外だったようだ。
正確には「好きか嫌いかと聞かれたら間違いなく好きなんだけど」だったけど、嘘は言ってない。
「ヴィオが好きと言ったのですか?」
クリスティーナ嬢は目をまん丸に見開いている。
「はい。ただ、年齢が離れているので自分のような子供で申し訳ないと」
「そうか。まぁ、貴族は年が離れている場合も多い。嫡男が産まれたあと、夫は愛妾を持ち、夫人も同じくらいの年の恋人を作る夫婦もいるな」
「私は愛妾を持つような事はしないし、ヴィオも恋人を作るような人間では無い!」
アンソニー殿下の言葉に、アルブラン卿は激昂したように怒鳴りつけた。
側近が主を怒鳴りつけていいのか? 部屋の中が若干寒くなったような気がする。
「おいおい、何もお前がそうだとは言ってないだろう」
アンソニー殿下は面白そうに笑っている。
「はい。ヴィオレッタは愛妾は嫌だと言ってました」
クリスティーナ嬢が扇子で口元を隠しているが、かなり笑っているようだ。
「よかったですわねユリウス様。ヴィオはあなたを嫌いなわけではなかったのですね」
嫌われていると思っていたのか? こんな見目麗しいし、権力も金もある男なのに自信がないのか?
「ユリウスはヴィオレッタ嬢が絡むと壊れてしまうんだ。普通はデキる男なんだがな」
アンソニー殿下はため息をつく。
「仕方がないだろう……」
アルブラン卿はそうつぶやいて俯いた。
「まぁ、いいじゃないか。ユリウスはヴィオレッタ嬢に好かれている。愛妾を持たなければ嫌われないと言うことだ。今日は留学の相談だったな。幸せなユリウスのことはほっといて本題に入ろうか」
アンソニー殿下、アルブラン卿は置き去り?
そうか、この人は面白がりたい為にアルブラン卿を同席させたんだな。
怖いなぁ~。悪い顔して笑ってるよ。
ーユリウス視点ー
よかった。こいつヴィオを狙ってるわけじゃなかったんだな。
本当にただの従兄弟なんだ。
それに、ヴィオが俺のこと好きだとこいつに言っていたなんてめっちゃ嬉しい。
距離があったのは年が離れているから子供みたいな自分で申し訳ないと思っていたなんて。
申し訳ないわけないだろ。それなら、俺の方がおっさんで申し訳ないよ。
愛妾は嫌だと言ってくれたのも嬉しい! ヴィオなら私では無理だから、愛妾をもって下さいとか言いそうだもんな。
俺がほかの女とするのが嫌ってことだよな。
それって、嫉妬だよな。嫉妬してくれるなんて嬉しすぎる。
あ~~~~~~~
ヴィオに会いたい。今すぐ会いたい。
もう、俺ここに居なくていいよな。
「お話中、失礼します。急用を思い出しましたので、下がらせていただいてよろしいですか」
「いいよ」
俺は脱兎の如く王宮をあとにした。
俺が消えた後、残った3人がこんな会話をしていたことを俺は知らなかった。
クリスティーナ:
「ユリウス様はヴィオに会いにいったのかしら?」
アンソニー:
「そうだろう。昨日別れ際にヴィオレッタ嬢を怒らせたと塞ぎ込んで闇堕ちしそうな勢いだったからな。フィリップ殿、よく言ってくれた。だとえ、嘘だったとしても感謝する」
フィリップ:
「嘘ではありませんよ。少しばかり誇張はしましたが。ヴィオは逃げられませんね。きっと」
クリスティーナ:
「逃げられないわね。殿下、軟禁するのはダメだと釘を刺してくださいませね。私はこれからもヴィオと外出したり、お茶会したりしたいですわ」
アンソニー:
「軟禁か?」
クリスティーナ:
「あの男ならやりそうでしょ? まぁ、監禁まではいかないでしょうが、部屋に閉じ込めて、足枷とかつけそうだわ」
アンソニー&フィリップ:
「「確かに」」
*ユリウス、オモチャにされてます。
アンソニー殿下とクリスティーナは似合の腹黒夫婦になりそうです。
実はフィリップには政略結婚で決まった婚約者がいます。すれ違いでちょっと拗らせ中。妹のライザが邪魔するのでなかなか上手くいってません*
ーフィリップ視点ー
ライザと第3王子との顔合わせのあと、私は約束していた第1王子の元へ向かった。
案内されたサロンにはアンソニー殿下と護衛だろうか? 側近だろうか? 騎士と、美しい女性がいた。
美しい女性はきっと婚約者だろう。今日、ヴィオが一緒にお茶会をすると言っていたな。
「初めてお目にかかります。隣国から参りました。フィリップス・ヴァンガーリンです」
「ようこそおいでくださった。アンソニー・グリーロッドです」
アンソニー殿は手を差し出したので私もそれに応じ、握手をした。
「こちらは私の婚約者のクリスティーナだ」
「クリスティーナ・シュレッドでございます」
綺麗なカーテシーだ。私も挨拶をした。
「それと、私の側近で今は騎士団で副団長をしているユリウスだ」
ヴィオの婚約者か。綺麗だけど威圧感のある男だな。
「ユリウス・アルブランです」
この男、水魔法、いや氷魔法の使い手か? 纏う空気が冷たいな。いや、私に敵意があるのか?
あっ、そういうことか。
「アンソニー・グリーロッドです。あなたの事は従姉妹のヴィオレッタから聞いております」
この手の男は上手く懐に入らないとな。敵に回すとめんどくさい。
「ほ~。どんな風に聞いているのだ?」
アンソニー殿下は興味深そうな顔をして前のめり気味になる。私の答えを楽しみにしているようだ。
「好きだと」
「「「えっ?」」」
3人とも不思議な顔をしている。私の答えが意外だったようだ。
正確には「好きか嫌いかと聞かれたら間違いなく好きなんだけど」だったけど、嘘は言ってない。
「ヴィオが好きと言ったのですか?」
クリスティーナ嬢は目をまん丸に見開いている。
「はい。ただ、年齢が離れているので自分のような子供で申し訳ないと」
「そうか。まぁ、貴族は年が離れている場合も多い。嫡男が産まれたあと、夫は愛妾を持ち、夫人も同じくらいの年の恋人を作る夫婦もいるな」
「私は愛妾を持つような事はしないし、ヴィオも恋人を作るような人間では無い!」
アンソニー殿下の言葉に、アルブラン卿は激昂したように怒鳴りつけた。
側近が主を怒鳴りつけていいのか? 部屋の中が若干寒くなったような気がする。
「おいおい、何もお前がそうだとは言ってないだろう」
アンソニー殿下は面白そうに笑っている。
「はい。ヴィオレッタは愛妾は嫌だと言ってました」
クリスティーナ嬢が扇子で口元を隠しているが、かなり笑っているようだ。
「よかったですわねユリウス様。ヴィオはあなたを嫌いなわけではなかったのですね」
嫌われていると思っていたのか? こんな見目麗しいし、権力も金もある男なのに自信がないのか?
「ユリウスはヴィオレッタ嬢が絡むと壊れてしまうんだ。普通はデキる男なんだがな」
アンソニー殿下はため息をつく。
「仕方がないだろう……」
アルブラン卿はそうつぶやいて俯いた。
「まぁ、いいじゃないか。ユリウスはヴィオレッタ嬢に好かれている。愛妾を持たなければ嫌われないと言うことだ。今日は留学の相談だったな。幸せなユリウスのことはほっといて本題に入ろうか」
アンソニー殿下、アルブラン卿は置き去り?
そうか、この人は面白がりたい為にアルブラン卿を同席させたんだな。
怖いなぁ~。悪い顔して笑ってるよ。
ーユリウス視点ー
よかった。こいつヴィオを狙ってるわけじゃなかったんだな。
本当にただの従兄弟なんだ。
それに、ヴィオが俺のこと好きだとこいつに言っていたなんてめっちゃ嬉しい。
距離があったのは年が離れているから子供みたいな自分で申し訳ないと思っていたなんて。
申し訳ないわけないだろ。それなら、俺の方がおっさんで申し訳ないよ。
愛妾は嫌だと言ってくれたのも嬉しい! ヴィオなら私では無理だから、愛妾をもって下さいとか言いそうだもんな。
俺がほかの女とするのが嫌ってことだよな。
それって、嫉妬だよな。嫉妬してくれるなんて嬉しすぎる。
あ~~~~~~~
ヴィオに会いたい。今すぐ会いたい。
もう、俺ここに居なくていいよな。
「お話中、失礼します。急用を思い出しましたので、下がらせていただいてよろしいですか」
「いいよ」
俺は脱兎の如く王宮をあとにした。
俺が消えた後、残った3人がこんな会話をしていたことを俺は知らなかった。
クリスティーナ:
「ユリウス様はヴィオに会いにいったのかしら?」
アンソニー:
「そうだろう。昨日別れ際にヴィオレッタ嬢を怒らせたと塞ぎ込んで闇堕ちしそうな勢いだったからな。フィリップ殿、よく言ってくれた。だとえ、嘘だったとしても感謝する」
フィリップ:
「嘘ではありませんよ。少しばかり誇張はしましたが。ヴィオは逃げられませんね。きっと」
クリスティーナ:
「逃げられないわね。殿下、軟禁するのはダメだと釘を刺してくださいませね。私はこれからもヴィオと外出したり、お茶会したりしたいですわ」
アンソニー:
「軟禁か?」
クリスティーナ:
「あの男ならやりそうでしょ? まぁ、監禁まではいかないでしょうが、部屋に閉じ込めて、足枷とかつけそうだわ」
アンソニー&フィリップ:
「「確かに」」
*ユリウス、オモチャにされてます。
アンソニー殿下とクリスティーナは似合の腹黒夫婦になりそうです。
実はフィリップには政略結婚で決まった婚約者がいます。すれ違いでちょっと拗らせ中。妹のライザが邪魔するのでなかなか上手くいってません*
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